本気で、ランボに対して殺意を持つ事が出来る。
が優しいから、懐くのは分かるけど、まずそれが許せない。
更に、を見付けて抱き付く所も気に入らない。
それで何度が倒れそうになったのか、もう数えたくもない。
その度に本気で怒っていると言うのに、全く改善されないってどういう事なんだろうね。
オレ達が5歳の頃って、もっと落ち着いてたはずなんだけど、自分達と比べる方が間違ってるんだろうか?
今日も何時ものように呼び出しを食らったお陰で、と一緒に帰れなかった事を少しだけ恨みながら帰り辿り着いた先では、大差なく戻ってきたのだろうの姿が玄関に見えて声を掛けようとした瞬間、その体がバランスを崩した。
「!」
それに気付いて、慌ててその名前を呼び体を後ろから抱き止める。
そして、見えたのはの足に纏わり付いている本気で排除したくなるような子供の姿。
「ツ、ツナ、助かった……」
咄嗟の事に目を瞑っていたのだろうが、ゆっくりとその目を開く。
開いた瞳にオレの顔が映される。
琥珀と金色の瞳が、安心したように細められた。
そんなにオレも思わず笑みを浮かべて、その体制を元に戻しさっと怪我がない事を確認して再度ホッと心の中で胸を撫で下ろす。
「ランボ!に抱き付くなって何度も言ったはずだよな?」
そして、がバランスを崩す原因になったであろうその子供を睨み付け、怒鳴った。
何度言っても、それをするこの子供を本気で消し去りたいんだけど
「ツ、ツナ、そんなに怒らなくても……」
「何度怒っても聞かないんだから、これぐらいじゃ足りないぐらいだよ!」
オレの殺気に気付いたのか、がオロオロとした様子で声を掛けてきた内容に、逆にを叱る事でその先を遮る。
自分が怪我をするかもしれないのに、何こんな子供庇ってるの!
が獄寺曰くバカ牛の事を庇うのに、更にイライラが増して行く。
本気で、この子供を消し去ってしまいたい。
「お帰りなさい、二人とも。どうかしたの?」
オレに怒鳴られたことで、何時ものように泣き出したランボの声を聞き付けたのだろう母さんが中から玄関へと顔を出す。
今はそんなのんきな声にさえ、イライラするんだけど
「どうしたじゃないよ!またこいつがに抱き付いて、危なかったんだからね!!」
「あらあら、それでまたツっ君に怒られちゃったのね」
ランボは既に、姿を見せた母さんへと泣き付いている。
母さんは、オレが返したそれに少しだけ困ったようにランボを慰めるようにその背をあやした。
「母さんがランボをちゃんとみてないから、悪さばっかりするんじゃないか!」
「母さんに怒るのはおかしいんじゃないのかしら…」
そんな母さんに更にイライラして、最期には母さんにまで怒鳴る。
そうでも言わないと、このイライラを落ち着かせる事が出来なかったから
オレに怒鳴られて、母さんが少しだけ困った表情を見せながらしっかりと言葉を返してきた。
確かに、母さんを怒るのは間違っているのは自分でも分かている。
だけど、こいつの所為でが怪我をするかもしれないと思うと、怒らずには居られない。
「そーよ、情けない男ね。そんなにイヤならアホ牛に保育係をつければいいでしょ?」
「保育係?」
母さんを怒鳴ったオレに対して、続々と玄関に姿を現してきたのはビアンキとその腕にはリボーン。
そしてビアンキの口から出てきたその言葉に、が不思議そうに聞き返す。
確かに、行き成り保育係と言われても直ぐに手配できるものじゃないだろう、ましてやウチは一応表向きは一般家庭なんだから
「仕方ねぇな、オレの知り合いの保育係を手配してやろーか?」
「お前がそんな事言うなんて珍しい。どう言う風の吹き回し?」
「こいつの所為で、ダメが怪我しちまうのは、オレも困るからな」
まぁ、どうせ無理だろうと諦めかけていれば、リボーンが信じられない事を口にする。
言われたその言葉に、オレは信じられなくってその真意を探る為に視線をリボーンへと向けて問い掛けた。
それに返ってきたのは、ちょっと予想外の言葉。
「ふーん、一応候補を護る仕事をしようって事。だったらお願いするよ」
それでも、に危害が及ばないと言うのなら、断る必要がない。
そう思って、返事を返せば、ニヤリとリボーンが笑う。
その笑みを前に、少しだけ誤った選択をしたかもしれないと思わずにいられなかった。
次の日、授業が終ったオレとはリボーンに言われた場所へと一緒に向かう。
だけど、その向かった先に居たのは獄寺と山本。
「何スか、10代目」
「小僧に呼ばれたんだが」
勿論事情を知らないのだろう二人がオレに質問してくるけど、オレの方が逆に質問したいんだけど、なんで君達が居るのかを!
多分、二人に聞いても無駄だと分かっているから、オレは自分を落ち着かせる為に盛大なため息をつく。
「で、コレはどういう事なのか説明してくれるんだよね?」
「俺も、ランボくんの保育係を紹介してくれるって聞いたはずなんだけど……」
そして、直ぐ近くに感じた気配に、不機嫌なそれを隠す事もせずに問い掛けた。
オレの問い掛けに続いて、も不思議そうに口を開く。
「紹介してんじゃねーか、ボスであるお前らの部下から決めるにきまってんだろ」
だけど、返されたのは何ていうか予想通りとでも言うべきなのか、そんな言葉。
今になって、あの笑みの理由が良く分かった。
「…お前に期待した自分がバカだったよ」
少しでも期待してしまった自分を振り返り、再度ため息をつく事を止められない。
「ガハハハハ、ランボさん登場――っ!!!」
オレがため息をついた瞬間、賑やかな声が聞こえて来て、思わず眉間に皺が寄ってしまったのが自分でも分かる。
本気で、今すぐに消し去りたいんだけど、あのバカ牛。
「またうぜーのがきやがった。ションベンタレはすっこんでろ」
無意識のうちに殺気だって居たが、獄寺の言葉が聞こえて来て何とか自分を落ち着かせる。
獄寺と同レベルには、流石になりたくないからね。
「ちっ、ちがうもんね!もらしたフリしたんだぞ!!」
獄寺にバカにされ、バカ牛が真っ赤な顔をして反論する。
その言葉に、意味が分からないと言うようにが首を傾げるのが見えた。
そう言えば、は知らないんだっけ?
「あいつ、この前獄寺達の前でお漏らししたんだよ」
が首を傾げたのを見て、この前あった事を簡潔に話す。
オレの言葉に、が納得したように頷いた。
「だまされてんじゃねーぞ、バカ者共ォ!!」
まぁ、アレをフリだと言い張るのは勝手だけど、人の事をバカにするあの牛は、さっさと消し去った方が世の為人の為に成るんじゃないかと本気で思うんだけど
も、その様子を見ながら、困ったようにため息をつく。
「てんめ〜っ、いっぺん痛い目みなきゃわかんねーみてーだな!」
だけど、目の前で馬鹿にされた獄寺は、我慢出来なかったのだろう子供相手だろうが容赦なく怒鳴り散らす。
まぁ、その気持は分からなくもないんだけど、流石に大人気ない態度と、子供染みたその態度には呆れてしまうのは仕方ないだろう。
「あら、あれ何?」
「ん?」
山本はそんな二人を見て楽しそうにしているし、はでハラハラしながらそんな二人を見ているのが良く分かる。
「バカは見る」
そして、からかうバカ牛が獄寺の顔を思いっ切り殴った。
何ていうか、そんな古典的な手に引っ掛かるのもどうかと思うんだけど……
やっぱり、こいつって本気でマフィアに向いてないんじゃないのか?
「死にやがれ!!」
呆れたように見詰める中、獄寺の怒鳴り声が聞こえて、その後に容赦なくバカ牛を蹴り付ける。
まぁ、オレとしても、そのバカ牛の息の根を止めてもらえるのは好都合なんだけど、それは残念な事に山本の手によって止められてしまった。
「んじゃ、ランボの保育係の適性テストをはじめるぞ」
「お前、今まで何見てたんだ?どう考えても、無理だろう」
そんな中、リボーンが当然だと言うように口を開いた内容に思わず盛大なため息をついて突っ込みを入れる。
今までの遣り取りを見ていて、そんな言葉が出てくる事事態が信じられないんだけど
「こいつの保育係ってのは遠慮しときます。オレ、コイツ大嫌いなんで」
流石にそれは獄寺も分かっているのか、キッパリと辞退の言葉を口にした。
まぁ、これで喜んでと言われる方が驚きだけどね。
「オレはいいぜ」
だけど、意外な声が続けて聞こえてくる。
その声に、少しだけ驚かされた。
まぁ、相手はあの山本なのだから仕方ないと言えば仕方ないかもしれないけど
「山本、いいの?」
「ああ、今日はなんの遊びだ?」
聞こえて来たその声に、が恐る恐る聞き返す。
それに、山本は何時もの笑みを浮かべて頷いて返し、更に楽しそうに質問で返してきた。
本気で、山本の頭の中の構造を知りたいと思ったのは、オレだけじゃないだろう。
「ちなみに、保育係になった奴がボスの右腕だからな」
「な!…右腕…」
「そりゃいーな」
だが、辞退した獄寺を煽るように、リボーンがニヤリと笑いながら一つの提案を口にする。
それに獄寺は顔を色を悪くし、山本はただ楽しそうに笑った。
オレとしては、右腕とかには本気で興味ない。
その前に、マフィアのボス事態に興味ないんだけどね。
「オ、オレ…本当はランボ大好きです」
必死で考えるような表情をした後、獄寺が顔を引き攣らせながら明らかに嘘と分かる事を口にした。
まぁ、その内容は流石に無理がり過ぎだ。
「ルールは簡単だぞ、あいつを笑わせた方が勝ちだ」
簡単にルールを説明するリボーンに、もう一度ため息をついて、チラリとへと視線を向ければ、その頭が突然勢い良く左右へと振られる。
しかも、その顔はちょっとだけ赤い。
「?」
「な、何でもない!」
不思議なの行動に、問い掛けるようにその名前を呼ぶ。
そうすれば、勢い良く返事を返された。
いや、どう見ても何でもないようには見えないんだけど
「山本、てめーにだけは負けねーぞ。今日こそ白黒つけてやる」
「よっしゃ、やるからには勝たねーとな」
そんなオレ達の事など全く気にした様子もなく、山本と獄寺はもう既にリボーンが提示したその内容に白熱していた。
どうやら、オレの右腕と言う内容に燃えているらしい。
いや、そんな内容の勝負に勝ってもなれないし、するつもりはないから!
「オレ、先攻でいくぜ」
「がんばれヨ!」
気合十分に獄寺が、先行の声を上げる。
獄寺のその言葉に、山本が応援の声を上げた。
「制限時間は3分だぞ」
山本の応援の声に続いてリボーンが制限時間を告げる。
それに獄寺が頷き、ゆっくりとした足取りでバカ牛へと近付き始めた。
だがその瞬間、バカ牛の鳴き声が更に大きなモノへと変わる。どうやら、バカ牛も獄寺を勝たせるつもりは全くないらしい。
「さっきは悪かったな、仲なおりしよーぜ」
バカ牛のその様子に、顔を引き攣らせながらも、何とか自分を落ち着かせているのか片膝を付いて、そっとその手を差し出す。
「んっ」
その差し出された手に、バカ牛は当然と言うように取り出したそれを手渡した。
見えたのは、手榴弾。
「うわっ!!」
それを確認した瞬間、獄寺が慌ててそれを放り投げる。
同時に辺りに響いたのは最近馴染み深いと感じられるようになった爆発音。
「やっぱてめー死んでこい!!!」
当然そんな物を渡したバカ牛に対して、獄寺が我慢出来るはずもなく、本気でその首を絞め始める。
「おちつけ獄寺!!」
本気でバカ牛を殺しかねない獄寺の迫力に、と山本が慌てて止めに入った。
山本は獄寺を後ろから羽交い絞め状態で引き止め、は首を絞められた事で大泣きし始めたランボを抱き上げて、出来るだけ獄寺達から引き離す。
「はなせ山本〜!クソガキコロス」
山本に羽交い絞めされた状態で、獄寺の怒鳴り声が聞こえてくる。
そんな中、オレはに抱き付いて大泣きしているバカ牛へと視線を向けた。
こいつ、に泣き付くなんて、本気で許せないんだけど
「……そのままトドメさした方が良かったんじゃないの?」
に抱きついた状態で泣いているバカ牛に本気で殺意が浮かぶ。
なんで、もそんなバカ牛を抱き上げてる訳、足に負担がかかるっていうのに!!
が必死でバカ牛を慰めるのを殺気の篭った視線で見付めるのを止められない。
そのバカ牛が何とか落ち着いてきた頃、獄寺を慰め終わったのだろう山本も戻って来た。
「次、山本だぞ」
「オッケー」
戻ってきて早々リボーンが促すように言えば、嬉しそうに片手を上げて返事を返し、ゆっくりとランボへと近付いて行く。
先程までに抱き付いて泣いていたランボは、今は落ち着いて不思議そうに山本を見上げた。
「真打登場だな、どーやってランボと打ちとけるのか見物だな」
そんな様子を見て、ニヤリと嬉しそうな笑みを見せたリボーンに、オレは複雑な表情をする。
本当に、そうだといいんだけど、あいつ自身一癖も二癖もある奴だからなぁ……
「確かに、山本なら子供に好かれそうだよね」
だけど、オレの心情なんて気付かないが、ポツリとリボーンの言葉に同意するように口を開く。
どうやらは、山本の事をまだ良く分かってないのかもしれない。
「おまえ、キャッチボールやったことあっか?」
内心複雑なモノを隠せない状態で、何処か微笑ましいと言うように山本とバカ牛を見ているに、こっそりとバレないようにため息をつく。
まぁ、何が起こるかは分からないけど、何事もなく終わる事はないだろうっ事だけは、想像が付く。
メンバーがメンバーだからね。
「グローブで、このボールをとるんだぜ」
キャッチボールの説明をする山本に、これにはバカ牛も興味を持ったみたいで、その手が山本の差し出したグローブへと伸ばされた。
「ほらいくぞ、そー・・・」
バカ牛がグローブを受け取ったのを確認して、早速始められるのは山本とランボのキャッチボール。
準備が整って、山本がボールを投げる動作を見せた瞬間、その空気が一変した。
「れっ!!」
それを決定付けるように、山本の投げたボールは明らかに子供に向けるスピードじゃない。
本気で投げられたボールをバカ牛が取れるはずもなく、それは顔面に直撃してその小さな体を吹き飛ばした。
「わ!わりい!野球の動作に入るとつい加減ができなくてな」
その状態に、慌てて山本がバカ牛に謝罪する。
当然の事ながら、折角落ち着いていたバカ牛は火が点いた様に泣き出してしまった。
「山本にも、こんな一面があったなんてね」
「あいつにしては初めていい仕事しましたね」
説明された山本のそれに、思わず感心したように呟けば、隣で獄寺が嬉しそうに山本を褒める言葉を口にした。
まぁ、確かに止めを刺してくれれば、もっと有難かったんだけどね。
「何やってるんですか――!!!」
思わず心の中で獄寺に同意していれば、聞こえて来た声に小さくため息をついてしまう。
近くに居る事は知っていたんだけど、また厄介なのが現れたんだけど
「ハルちゃん?」
その声に、が信じられないと言うような表情を見せて、視線を彼女へと向けた。
「なんで君がうちの学校に?」
大体、なんでここに居るのか分からないので、素直にその理由を質問。
「転入か?」
「ちがいます!新体操部の交流試合にきたんです。やっとツナさんを見つけたと思ったらランボちゃんを泣かしてるなんて」
オレの質問に、獄寺が続けて質問すればそれを速攻で否定して、ここに居る理由を説明する。
「へ〜、ハルが新体操ねぇ……想像できないんだけど……」
「た、確かにそうですね」
「ランボちゃん、大丈夫?」
だけど言われた内容に、思わず複雑な気分になってしまった。
優雅さの欠片もないハルが新体操……
ぼぞりと呟いたオレに同意するように獄寺も隣で複雑な表情をしている。
だけど、オレ達のそんな様子には全く気付いていないのか、ハルが泣いているランボへと駆け寄って心配そうに声を掛けた。
「こんないたいけなチャイルドを泣かして!!」
「いや、これはオレが…」
そして、ランボを抱き上げて、キッとオレと獄寺を睨み付けてくる。
別に、オレ達が泣かした訳じゃないんだけどね……まぁ、泣かしたいどころか、葬り去りたいとは常々思ってるから別に気にしないけど
オレ達を怒鳴るハルに、困ったように山本が説明するけど、今のハルには聞こえてないだろう。
「たとえツナさんでも、ランボちゃんをいじめたら、ハルが許しません!!」
大事そうにランボを抱えたまま、更にオレに怒鳴ってくるハルに、こっそりとため息をつく。
「あいつが一番保育係に向いてるな…」
「確かにね」
「……じゃあ、奴が右腕…?」
オレを睨み付けてくるハルを前に、リボーンが感心したように呟いたその内容に同意する。
あいつが、一番のはまり役かもしれない。
だけど、オレ達の呟きに、どうやら獄寺はショックを受けたようで銜えていたタバコを落とした。
まだ、右腕に拘っていたのか、こいつ。
「わあああああああああ!」
「はひ?」
ハルに抱えられたままの状態で、何時ものようにランボが何処から取り出したのか分からないバズーカを手に持ち自分に向けて撃つ。
辺りに爆発音が響いた後には、当然のように姿を現すのは、10年後のバカ牛。
「ヒャッ」
突然大きくなったランボに、それを抱えていたハルは当然のように支えられなくなり、体制を崩してしまう。
その為、ランボの尾骶骨を膝で打ち付ける攻撃を……あれ、どう見てもかなりの攻撃だよね。
「やれやれ、なぜいつも10年前にくると痛いのだろう…」
その攻撃を受けて10年後ランボが涙目になりながら、腰をさすってその痛みに耐えているようだ。
「はひ―――誰ですか――――!!?」
そんなランボの姿に、ハルが驚いたように声を上げる。
「そう言えば、ハルは大人ランボに会うのは初めてだっけ?」
「お久しぶりです。親愛なる若きハルさん」
かなりの驚きを見せるハルに、そう言えばと口を開けば復活したランボがハルに挨拶した。
「キャアアアアア!エロ!ヘンタイ!!」
が、そんなランボを前に、ハルが顔を真っ赤に染め上げてその顔を叩く。
突然のハルの行動には、流石にオレも驚いた。
「胸のボタンしめないとワイセツ罪でつーほーしますよ!!」
「こ、これは、ファッションで…」
「何か全体的にエロイ!!!」
ハルに叩かれて、かなりのショックを受けているランボに対して、更に追い討ちをかけるようにハルが文句を言う。
どうやら、ハルにとって10年後ランボは受け入れられない存在のようだ。
「ハル、わかるぞ!おまえの言う事はもっともだ。それに何だこの変てこな首輪は」
だが、それに嬉しそうに便乗したのは、獄寺で早速と言うように、ランボへと絡んでいく。
「おめーは、鼻輪が似合ってるんだよ、アホ牛!!」
どう見ても、先程の仕返しをしてるようにしか見えない獄寺が嬉々としてランボをバカにする。
やっている事は、子供染みていて情けないんだけど
「オ…オレ…失礼します」
獄寺に馬鹿にされて、ランボはかなりのショックを受けたのかフラフラしながらオレ達に背を向けた。
「おー、帰れ帰れ!」
「ご、獄寺くん!」
そんなランボにも、容赦なく獄寺が言葉を返すのに大して、流石にが咎めるようにその名前を呼ぶ。
ハルはハルで、オレの後ろに隠れるようにしているけど、その顔はまだ赤い。
どう見ても、助けに入るつもりはないんだろう。
「ガ・マ・ン」
立ち直れないと言うようにフラフラなランボを、が心配そうに見詰めているのが気に入らない。
「おい、おまえ、角落としてるぞ」
だけど意外な所から、ランボへと声が掛けられる。
まぁ、慰める為のものじゃないけどね。
どうやら落ちていた角に気が付いて、山本がランボへと声を掛けた。
山本に声を掛けられて、ランボが振り返る。
「あ…投げてください」
そして、当然のように言われた言葉。
投げる、ねぇ……
「ちょ…」
「あいよ」
その言葉に、慌てたようにが口を開きかける前に、山本は気にした様子もなく手にしたそれをまたしても力任せに投げた。
そして、投げられたそれは、ランボの額に突き刺さる。
……アレが直撃しても生きてるって言うのが凄いと思うのは、オレだけだろうか?
「ラ、ランボくん!!!」
だが流石に、衝撃はあったらしく、ランボの体がバタリと倒れてしまった。
それに、慌てたようにがランボへと駆け寄る。
って、そんな奴の為に駆け寄るってどういう事、また足に負担かかるような事して……
「わりぃ!!」
元凶となった山本が、素直に謝罪するけど、そう言う問題じゃない。
山本の所為で、がまた足を酷使したんだよね……後で、覚えてろよ、山本。
「が…ま…うわああああ」
何とか立ち上がったランボだったが、やはりと言うか何時ものように泣き出してしまう。
予想通りといえば予想通りの展開だろう。
「まぁ、結局こうなる訳だ」
そんなランボを見て、思わず盛大なため息をつく事を止められない。
呟いたオレに、が何処か複雑な表情を見せて見詰めてきたけど、諦めたようにため息をついてポケットからハンカチを取り出すと優しくランボの怪我にそれを当てる。
「大丈夫?」
「…さん…オ、オレ……」
「うん、大変だったね……10年後に戻ったら、少しでも早く手当てしてもらって」
それから、心配そうに声を掛ければ、ランボのバカが縋るようにを見た。
それに、何処か困ったような表情を見せながらも、慰めるようにがその頭を撫でる。
「やっぱりが面倒見るしかねーな」
「……そんな事、オレが認める訳ないだろう」
そんな光景を前に、ボソリと呟かれたりボーンの言葉に、ピクリと肩が震えた。
そして、絶対に許さないと言うように近くに居る赤ん坊モドキを睨み付ける。
だけど、それぐらいで納得してくれるような子供なら困る事はない。
当然のようにオレとリボーンの睨み合いは、5分経って戻ってきたバカ牛がまた獄寺に泣かされた大声によって、漸く収集を終えた。
もっとも、内容に関しては、保留のままだけど