「ママンは、気付いているのか?」
ツナとを見送って居るママンに、オレはそっと問い掛けた。
自分には、気付いているからこそ、綱吉に協力しているようにも見えたので、聞かずにはいられなかったのだ。
「本当は、親としては止めないといけないのは分かってるんだけど……」
オレの質問に、ママンが苦笑交じりに答えるそれは、知っていると言う肯定の言葉。
綱吉が、弟の事だけを本気で愛してると言う事。
それは、兄弟にとっては、禁断とも言える想い。
「でもね、仕方がないのよ・……ツっくんが、ちゃんを好きになったのは……」
そして、ポツリと呟かれたその言葉に、オレはママンを見上げた。
その表情は、複雑な色を見せている。
「どう言う事だ?」
オレの質問に、ママンが少しだけ困ったような表情を見せた。
「ツっくんが今生きていられるのはね、ちゃんのお陰なの」
そして、言われた言葉に、オレはただママンの顔を見上げる。
ママンは、もう姿の見えなくなった二人の姿を探すように先を見ながら、小さく息を吐き出した。
「ちゃんが、自分の体を犠牲にして、ツっくんを助けてくれたのよ……だから、ちゃんの足は……」
言い難そうに言われた言葉に、オレももう見えなくなった二人の姿を探すように視線を前へと向ける。
そう言う事だったのか……。
ここに来た時、綱吉が言っていた言葉。
何も知らないくせに…。
……確かに、資料にはそこまで書かれてはいなかった。
「ちゃんの足はね、本当は二度と歩けないって言われていたのよ。だけど、あの子は、ツっくんが悲しむからって、必死でリハビリして、漸くあそこまで歩けるようになったの。あの子が歩けるようになったのは、奇跡だって言われたわ」
言われた言葉は、確かにオレが知らなかった事だ。
何も知らないくせに……
そう言われても、仕方がない。
「だから、ツナの気持ちを応援してるのか?」
「応援してるように見えるかしら?」
オレはそっと俯いて、質問する。それに、ママンが楽しそうな声で質問を返してきた。
「見えるぞ」
楽しそうに笑いながら質問されたそれに、素直に返事を返して顔を上げる。
「リボーンくんに、そう見えるなら、そうなのかもしれないわね……だってね、ちゃんの事を思ってるツっくんは、本気でかっこいいのよ!我息子ながら、ホレボレしちゃうわ」
夢見る少女のように言われた言葉に、オレは思わず苦笑を零してしまう。
そう言う事で、ツナを応援しているところが、ママンらしい。
「それにね、ちゃんはまだ気付いてないんだけど、ちゃんにとっても、ツっくんは特別なのよ」
子供みたいなママンに、呆れていたオレの耳に、ポツリと聞えて来たその声に顔を上げて思わずママンを見てしまう。
それは、の気持ちも気付いて居ると言う事。
これが、母親と言うものなのだろうか?
「それじゃ、そろそろランボくんも起きてくるだろうから、朝御飯の準備しちゃいましょうか!」
元気良く言われた言葉に、ただ頷いて返す。
今はまだ、どうなるか分からない二人の関係。
もう暫く、見守ってみるのも面白いかもしれねーな。