「う〜ん」

 カレンダーを前に頭を抱え込む。
 毎年この時期になると頭を悩ませてしまうのは、俺がツナの事を分かっていないからなのかもしれない。

「うるせーぞ、何を唸ってやがる」

 って、勝手に人の部屋に入って来て文句言うのはどうしてなんでしょうか?
 だって、そんなに大きな声で唸ってないはずなんですが、俺。

「えっと、煩かったのなら謝るから、取り合えず銃を向けるのは止めてくれる?」
「ちっ」

 でも、そんな事文句を言える相手ではないので、オズオズと素直に謝罪してお願いしたら、舌打されちゃいました。
 うん、俺、多分悪くないよね?

「で、何を唸ってやがったんだ、ダメ
「ああ、うんと、もう直ぐツナの誕生日なんでそのプレゼントに頭悩ませてました」
「綱吉の?つーことは、おめぇの誕生日でもあるんじゃねぇのか?」

 複雑な気持ちを抱えている中、リボーンが始めの質問を再度してくる。
 それに、俺が素直に理由を話せばまたしても質問で返されてしまう。

「まぁ、確かに俺の誕生日でもあるんだけど……」

 質問された事に素直に頷いて、苦笑を零す。

 俺と綱吉は双子なんだから、誕生日が違うって言うのはどうなんだろう……ああ、でも双子でも深夜に生まれたら日が変わっちゃう事も考えられるのか
 でも、残念ながら、俺と綱吉は、同じ日生まれなので、この日にプレゼントの交換をするのが気が付けば当たり前になっていた。

「お互いに誕生日プレゼントの交換か?」
「うん、毎年恒例の行事なんだけど、何時もプレゼントに頭悩ませてるんだ」

 だって、ツナって欲しいのは自分でサッサと買っちゃうんだもん。
 だから、目を付けたモノとかって気が付いたら持ってるって言う事も結構あるんだよね。
 よしこれ買おう!って思ってる奴をもう既にツナが持ってるのを見た時は、本気でショックなんだけど、俺。

 こう考えると、俺ちゃんとツナの好みを知ってるって事だよね。うん、そんでもって、余りにも好みにヒットしてるから、泣きを見るって事なんだよね、きっと。

「お前らの誕生日って確か……」
「10月14日だよ」

 深々とため息をついた俺に、リボーンが一瞬考えるような素振りを見せて、質問。
 俺は、即答で日にちを返した。

「オレの誕生日は、その前日だぞ」
「はぁ?」

 日付を教えた俺に、ニヤリと意地の悪い笑みを見せて、リボーンがサラリととんでもない事を口にする。
 それに、俺は思わず間抜けな声を返してしまった。

 えっ、前日って、13日がリボーンの誕生日って事?誕生日が一日違い?!

「プレゼント楽しみにしてるからな」

 って、言いたい事だけ言って部屋から出て行かないで下さい!


 う〜っ、悩みが増えた……。

「後、綱吉への誕生日プレゼントなら、モノよりもお前が奉仕した方が喜ぶんじゃねぇのか」

 複雑な気持ちで頭を抱え込んだ瞬間、出て行ったと思ったリボーンが戻ってきてアドバイスをくれる。

 えっと、ご奉仕ってなんですか??

 ニヤニヤと笑いながら言われた言葉に、?マークが頭を占める。
 いや、意味は分かるんだけど、双子のしかも男にご奉仕されて嬉しいものなのか?!

 複雑な表情をした俺に、リボーンは気にした様子も無くドアを閉めて行ってしまった。

 う〜ん、ご奉仕、ねぇ……って、その前にリボーンの誕生日プレゼント考えないと!
 モカケーキでも作ろうかな……でも、料理は、ビアンキさんが心を込めて作りそうだし……食べれるかどうかは別として……

 母さんと相談して、派手に祝ってあげよう、うん。
 リボーンの誕生日プレゼントはまだ何とか考え付くんだけどなぁ、何でツナの誕生日プレゼントってこんなに悩むんだろう……


 まぁ、まだ日数あるから、頑張って考えてみよう!
 どうしてもダメなら、リボーンが言うようにご奉仕……いやいや、それもそれでどうなんだろうなぁ……






 リボーンの誕生日は、問題なく終わったと言っていいのだろうか?
 それは、また別な話という事で今回は省いちゃうんだけど、明日はとうとう誕生日当日。

 俺とツナの誕生日は皆にも知られてないみたいで、リボーンと一日違いってかなり驚かれちゃったのもちょっと悲しい別の話。

「なんだか、良く分からない一日だったんだけど……」
「そうだね。でも、一緒に俺達の誕生日も祝ってもらったんだから、ちょっと嬉しかったかも……」

 正直言って、友達に祝ってもらった事がなかったから、本当に嬉しかった。
 だって、ツナは兎も角、俺は祝ってもらうような友達って今まで居なかったから

 ツナも俺に遠慮してなのか、家に友達を連れてくれる事なかったから、最近は本当に家の中が賑やかになったとそう思う。

 うん、騒動だけじゃなく、ね。

 ツナの部屋を片付けながら、二人で仲良く会話中。
 もう皆帰って行ったので、家の中はかなり静かな状態。
 ランボくんも疲れて寝ちゃってるし、リボーンも今日はビアンキさんの部屋で休むと言ってツナの部屋には居ない。

「そうだ!ちょっと早いけど、誕生日プレゼント!」
「ねぇ、。それは、明日、貰っちゃダメ?」

 大分部屋の片付けも終わりかけて時計に目を向ければ、夜の10時を過ぎていた。
 そこで、思い出して俺は慌ててツナに必死で考えたプレゼントを渡そうと口を開けば、申し訳なさそうな声で質問されてしまう。

「ダ、ダメじゃない!!うん、そうだよね。だって、俺達が生まれたのは、今日じゃなくって明日なんだもん。ちゃんとその日にお祝いしなくっちゃだよね」
「有難う、

 心配そうに質問してくるツナにブンブンと首を振って返し、そう答えれば嬉しそうな笑顔でお礼を言われた。
 何でお礼言われたんだろう??

「もう大分片付いたから、は休んでもいいよ。階段は下ろしてあげるから」

 当然の事を言っただけなのに、何でお礼を言われたのか分からなくって首を傾げた俺に、ツナが続いて声を掛けてくる。
 確かに、これぐらい片付けば、ツナもちゃんと寝る事が出来るだろう。
 ビアンキさんの新技は、ツナの部屋に多大な傷跡を残していたから……

「ああ、うん……ねぇ、ツナ久し振りに一緒にお風呂に入らない?」
「はぁ?」

 突然の俺の申し出に、聞き返されちゃいました。

 うん、普通はそうだよね。
 中学生にもなって、お風呂一緒とか普通に考えたらあんまりない事だと思うし……

「えっと、い、今のは、その……」
「別にいいんだけど、珍しいね、がそんな事言うなんて」

 ツナの反応に困って冗談で済ませようと口を開きかけたそれは、少し驚いたように言われたツナの言葉で遮られてしまった。
 って、いいんだ、ツナ……。

「えっと、なんて言うか、久し振りに一緒に入りたいなぁなんて思って……」

 うん、嘘じゃない。
 嘘じゃないんだけど、何でこんなに恥ずかしいんだろう……。

 う〜っ、やっぱり言うんじゃなかった。

「それじゃ、着替え準備するから、はそこで待てて」
「あっ、うん」

 あれ?なんかツナの機嫌がいいように見えるのは気の所為かな?

 よし、頑張ってツナの背中流して、少しでもご奉仕を!
 って、何か違う〜っ

「お待たせ。って、どうしたの、?」

 必死で考えている中、ツナが声を掛けてきてかなり驚いた。

「ううん、なんでもない!」

 質問された事に、慌てて首を振って返せば、不思議そうな表情はされたけどそれ以上は何も聞いてこない事に、ホッとする。

「それじゃ、下に行こうか」
「うん、お願いします」

 本当は、階段を下りるのに人を抱えるのとか危ないと思うけど、何を言ってもツナが聞いてくれないから、最初からお願いする方が精神的には随分と楽になる事に気付いた。
 ツナの機嫌も悪くならないしね。

?」

 そんな事を考えている俺は、ツナが軽々と抱き上げてサッサと階段を下りてしまった事にも気付いていなかった。
 ギュッとツナに抱き付いていた俺は、名前を呼ばれてハッと我に返る。

「ご、ごめん」

 それに気付いて慌てて手を離して、下に下ろしてもらう。

「別に謝る事はないんだけど、それにしてもサービスがいいね」
「へ?」

 慌てて離れた俺に、ツナは何処か楽しそうに口を開く。
 えっと、あれ?なんで、サービスなんて……一緒にお風呂に入るって言うのと、ツナに抱き付いてただけなのに

「これで一緒に寝ようって言ってくれれば、すっごく嬉しいんだけど」
「……そ、そんな事で、嬉しいの、ツナ?」

 一瞬言われた事の意味が分からなくって、それでも必死で頭を働かせてから不思議に思って問い掛ければ、ちょっと驚いたようにツナが俺を見る。
 って、俺なんか変な事聞いたのか??

「嬉しいよ。オレはと一緒に居られる事が一番嬉しいから」
「ツナ……本当は、一緒に寝るって言うのも言うつもりだったんだけど、今言ってもいい?」
「勿論。ほら、は着替え取ってこないと行けないでしょ?早く取ってきなよ」
「うん!ツナは、先に入ってて!」
「分かったから!早くって言っても、走っちゃダメだよ!」

 自分の部屋に向けて動いた俺に、ツナが後ろから声を掛けてくる。
 それに、返事を返して出来るだけ急いで自分の部屋へと向かった。

 どうしよう、本当に嬉しかったんだけど
 だって、一緒にお風呂入る事も寝るって言うのも、本当は嫌がられると思っていたから
 だから、ツナが嬉しいって言ってくれた事がこんなにも嬉しい。

 でも、よくよく考えたら、俺って本当バカだった。
 お風呂って、裸で入るものなんだよなぁ……
 着替えを持って、お風呂場に来て服を脱ぎながら、その事実を思い出した俺って本当にバカだ。

 俺の貧弱な裸なんて、ツナに見せられるのか?!

?」

 何時までも入ってこない俺に、ツナが不思議に思ったのだろう、名前を呼ばれてしまった。
 それに適当に返事を返して、俺はこっそりとため息をつく。

「お、遅くなってごめん……って、もう体洗ってたんだ!」
「えっ?うん、オレはそんなに長風呂じゃないからね」

 中に入ったら既に体を洗ってるツナの姿が……俺、ツナの背中洗ってあげようと思ってたんだけど
 確かに、ツナはそんなに長くお風呂に入っているタイプじゃない。

 俺は逆に、のんびりと入るタイプだけど

「ツ、ツナ!背中洗ってあげる!」
「それはダメ。はまずお風呂に入って体を温めなきゃだよ」

 で、必死で申し出た言葉は却下されました。
 う〜っ、必死で言ったのに……

「逆にオレがの体を洗ってあげるよ」

 って、すっごく嬉しそうに言われちゃいました。

「な、なら!俺が、ツナの髪を洗ってもいい?」
「いいよ、でも先にお風呂に入るようにね」

 んで、必死で言った俺の言葉に、ツナが早く風呂に入るように促してくる。
 確かに、ここに立ってるだけで、体が冷えてしまう事は確かで、やっぱり体が冷えると古傷に悪いから、俺は言われるままにお風呂のお湯でまず掛け湯してから、お風呂に入った。

 うん、ちょうどイイ湯加減。

「本当、は幸せそうにお風呂入るのは、昔から変わってないよね」

 気持ちイイ湯加減に、ほんわかしていた俺は、突然ツナに笑いながら言われたそれに一瞬意味が分からず首を傾げてしまう。

「昔って、2年ぐらい前までは良く一緒に入ってたと思うんだけど……」
「そっ、だから昔」

 お風呂のタブに手を付いて体を洗ってる綱吉を見ながら呟けば、楽しそうに笑って返された。
 う〜ん、2年前って、確かに昔かもしれないけど、そんなに昔だとは思えないんだけど……

 って、俺、2年前から風呂に入ると幸せそうな顔してたのか?!

「それはそれで、複雑なんだけど……」
「大丈夫、大丈夫」

 嬉しそうに言いながらツナは体を洗ってるし……う〜っ、何ていうか均等に筋肉が付いてて、羨ましい体って言うのか……
 正直言って、双子なのになんでここまで違うんだろうって、情けなくなるくらいなんだけど

 いやいや、俺達二卵性だから、それも可笑しくないのか??

、じーっと見てくれるのは嬉しいんだけど、さすがに理性……恥ずかしいんだけど」

 まじまじと見詰め過ぎたのか、綱吉に呆れたように言われた言葉に我を取り戻す。

「ご、ごめん……でも、ツナってすっごく鍛えられてたんだね。実は着やせするタイプ?」

 だって、服の上から見るとそんな風には見えないのに、すっごくがっしりした体付き……まだ成長段階なのは十分分かってるけど、でもやっぱり鍛えられた体である事は間違いないと思うんだけど

「着痩せするかどうか分からないけど、最近はリボーンの所為でますます鍛えられてるのは否定できないかもね」

 俺の質問に、ツナが疲れたように盛大なため息をつく。

 ああ、忘れてたけど、リボーンって確かにツナの家庭教師としてここに来てたんだっけ
 でも、俺はリボーンが仕事してるところって見た事無いというか何と言うか……仕事してたんだ、リボーン。

「ツナ、修行してたんだな、俺、知らなかった」
「当たり前だよ。に情けない姿だけは見せたくないからね」

 リボーンの鍛え方って言うのがどんな事をしてるのか知らないけど、俺は一度もその場面を見た事無いんだけど
 そう思って、口にした言葉に当然と言うようにツナが言葉を返してくる。

「情けないって、俺はそんな風には思わないけど……」

 だって、頑張って鍛えている姿を見て、情けないなんて思えるはず無い。
 真剣にやってる相手に、そんな失礼な事。

「ほら、次はの番だよ。そろそろ出ないと逆上せちゃうからね」
「あっ、うん」

 何時の間にか体を洗い終わったツナが声を掛けてきたことに頷いて湯船から上がる。

「……、せめてタオルで前を隠すとかした方がいいと思うんだけど」

 お風呂に入る時には持ってきたタオルを腰に巻いてたんだけど、邪魔だから取っちゃった状態で立ち上がった俺に、ツナが慌てて顔を逸らして文句を言う。
 だって、別に兄弟だからいいかなぁって思ったんだけど……そう言えば、ツナはちゃんと腰にタオル巻いたままの状態だ。

 さすがに不味かったのかな?

「兄弟だから別にいいかなぁって……ごめん。うん、ちゃんと隠したから!」

 慌てて外したタオルを腰に巻いて、ツナに声を掛けたら、ホッとしたように顔を見せた。
 う〜ん、そんなに嫌だったのかなぁ、ツナの顔がちょっと赤くなってるように見えるのは気の所為?

「ツナ、もしかして逆上せちゃったのか?」

 なんだか赤く見える綱吉の顔に、ちょっと心配になって問い掛ける。
 でも、湯船に浸かってないのに、逆上せるもんなのか?

「大丈夫だよ!ほら、の頭も体も洗ってあげるからここに座って!」

 って、あれ?何時の間にそんな話になったんだろう?
 俺がツナの頭を洗ってあげるって言うのは確かに話したんだけど、ツナが俺の背中を洗ってくれるって言うからその交換条件と言うか何と言うか……何時の間に、俺の頭も体もツナが洗う事になってるんだ?!

「ツ、ツナ?」
「ほら、早くしないとオレの体も冷えちゃうよ」
「あっ、そうだよね、ごめん」

 思わず問い掛けようとした言葉が、急かすようなツナの言葉で、謝罪へと変わる。
 慌ててツナの前に座った。あれ?何で、俺素直に謝ってんだろう??

 その後、ツナに本当に体と頭を洗ってもらっちゃいました。うん、俺もツナの頭洗ったんだけど、何か理不尽と言うか何と言うか……

、髪乾かすから、そこに座ってくれる」

 って、俺の部屋に入るなり、ツナが椅子に座るように言ってくる。
 う〜ん、至れり尽くせりって言うのは、こう言う事を言うんじゃないだろうか?

「ツナの髪は俺がするから!」
「はい、はい」

 ドライヤー片手に、ツナが俺の主張に返事を返す。
 ツナにしっかりと髪を乾かしてもらって、代わりに俺がツナの髪を乾かして、そうこうしてる間に時間はすっかりと過ぎていた。

「もう直ぐ、オレ達の誕生日だね」

 ツナの言葉に時計を見れば、俺とツナの誕生日まで秒読み開始。
 二人でじっと時計を見て、その時計の針が12時を示した瞬間、二人で同時に顔を見合わせる。

「誕生日おめでとう、ツナ」
「誕生日おめでとう、

 そして、同時にお祝いの言葉を口にした。
 それぞれのお祝いの言葉。俺とツナが生まれてきた日。

「それじゃ、もう寝ないと今日も普通に学校だからね」
「うん、プレゼントは朝に渡すね」

 二人でお祝いの言葉を口にして、なんだか照れ臭くって笑い合ってから、直ぐにツナが言い出したことに素直に頷く。
 準備した誕生日プレゼントを今渡してもいいけど、何か今すぐじゃなくってもいいかなぁなんて思ったから

「そうだね、オレも朝に渡すよ」

 俺の言葉に頷いて、ツナも同じように返してくれた事が嬉しくって、ニッコリと笑えば、行き成りベッドに押し倒されてしまった。

「ツナ?」

 突然の事に驚いて名前を呼べば、ただギュって抱き締められてしまう。
 あ〜、ツナの体温だ、すっごく安心できる。

「何でもないよ、お休み、

 俺の問い掛けるような呼びかけに、ツナは何も言わずにそのまま俺を抱き締め挨拶の言葉をくれた。
 そして、ポンポンとあやすように背中を撫でる手に、一気に眠気が襲って来る。

 だって、俺にとって、ツナの腕の中はこれ以上ないぐらい安心できる場所だから

?」

 何処か遠くでツナの声が聞こえてくるけど、俺はツナの暖かな体温に包まれて、そのまま意識が遠くなるのを感じた。

「……相変わらず、寝ちゃうの早い……ねぇ、本当はお風呂に入るのも、こうやって一緒に寝るのも、ドキドキしてるって、は知らないんだよね」

 遠くでツナが何かを言ってるのが聞こえるけど、俺はそれを何処か子守唄のように聞いていて、何を言っているのか理解できない。

「本当は、このままを自分のモノにしてしまいたいんだ……誰にも、を渡したくない」

 ギュッと更に強く抱き締められて一瞬意識が浮上するけど、それでも俺はには眠気の方が強くってそのまま夢現状態。

「好きだよ……ううん、愛してる。ずっと、だけを……」

 聞こえてくる声に、自分も同じだと返したかったけど、俺には返事を返す事が出来なかった。


 あれが、夢だったのか良く分からない。
 だって、次の日俺を起こしてくれた綱吉は何時もと変わりなかったから

 でもね、時々思い出すんだ。
 夢の中で、真剣に俺の事を愛してるって言ってくれた綱吉のこと

 だから、俺もこの気持ちを抱えていてもいいよね。

 俺も、綱吉だけが大切で、大好きだって事。






 −おまけ−

「改めて、誕生日おめでとう!これ、俺から綱吉への誕生日プレゼント」
「有難う、。それじゃ、オレからも、誕生日おめでとう、。これがオレからのプレゼントだよ」

 朝起きてまず始めに朝の挨拶をしてから、今日と言う特別な日を祝う言葉を口にする。
 そして、差し出したプレゼントを受け取って、綱吉が俺にプレゼントをくれた。

 何か、不思議な感じだけど、これが俺達の毎年の恒例。

「有難う、開けてもいい?」
「勿論、オレも開けてもいいかな?」
「うん!」

 お互いに確認してからプレゼントを開くのも、毎年同じ。
 綺麗に包装を剥がして出てきたのは、小さな箱。
 その箱を見た瞬間、一瞬なんていうのか不思議な気持ちを感じてしまった。

 何だろう、同じような箱を、俺もツナに今渡したような気がするんだけど……

「何か、オレが渡したヤツと同じ箱だね」

 って、俺と同じように包装紙を綺麗に開いた綱吉が、楽しそうに笑いながらその箱を取り出した。
 そして、綱吉の持っている箱の中に入っているのは……

「クローバーのストラップ?」

 うん、俺が渡したのは四葉のクローバーが飾りに付いているストラップ。
 色々考えたんだけど、何ていうのか幸せになって欲しいと言う願いを込めて、これを選んだんだけど

「芸がなくってごめん、他に思い付かなくって……」
「いいよ、オレ達、本当に似たもの同士だよね」

 って、つまらないモノを渡した俺が謝罪すれば、くすくすと楽しそうに綱吉が笑う。
 えっと、それってどう言う意味?

「開けてみれば分かるよ」

 言われるままに箱を開ければ、そこに入っていたのは四葉のクローバーをモチーフにした飾りが付いているストラップ。

「オレも、に幸せになってもらいたくって、それを選んだんだけど」

 ああ、確かに似たもの同士だね。
 同じようなモノをプレゼントしあうなんて

「有難う、大切にするね」
「うん、オレも大切にするよ」

 嬉しくって、素直にお礼を言えば、同じように返してくれる。

 今日、俺達が生まれた日。
 これからも一緒に祝えるように、貰ったクローバーに願いを込めて


 でも、確か四葉のクローバーって、4枚の葉を合わせて真実の愛って言う意味があったような……
 まぁ、間違いじゃないから、いいか!