今日も何事もなく一日が終わって帰ろうかなっと思った時に、ツナが教室に顔を見せた。
別にそれ事態は珍しい事じゃないんだけど、どうしたのかなぁと鞄を持って教室を出る。
「ツナ、何かあったの?」
用事がない時は大体一緒に帰ってはいるんだけど、教室に顔を出してくることは少なくて、そう言う時は大体用事がある時だ。
「何もないよ。ただ一緒に帰ろかと思ったんだ」
俺の質問ににっこりと笑顔を見せるツナに、周りから悲鳴が聞こえたのは気の所為じゃないよね?
まぁ、教室に迎えに来た事は今日が初めてじゃない。
でも教室に迎えに来る時って、俺が無茶な事をした時で、ツナが心配して迎えに来るのが殆どだ。
「……俺、今日何かしたっけ?」
無茶な事をした記憶はないんだけど、無意識にツナに心配掛けるような事しちゃったんだろうか?
心配になって、恐る恐る質問する。
だって、ツナを怒らせるのは、嫌だから
「どうしてそう思うの?」
恐る恐る質問した俺に、クスッとツナが笑って逆に質問で返されてしまった。
「ツナが迎えに来る時って、大体俺が心配掛けた時だから……」
質問された内容に、ボソボソと返事を返す。
心配は掛けたくないけど、俺はツナに言わせると無茶ばかりするらしいので、どうしても心配を掛けてしまうのだ。
申し訳ないとは思うけど、どうすれば心配を掛けないように出来るのか俺には分からないから
「自覚がある事はいい事だけど、今日は違うよ。オレが確実にと一緒に帰りたかったんだ」
ボソボソと返事を返した俺に、ツナが満足そうに頷いてから今日は違うのだと否定してくれた。
大体ツナは、用事がない時は校門で待ってくれている。
校門にツナが居ない時は用事がある時なので、待たずに帰るようにと言われているのだ。
もっとも、校門に居ない時と言うのを体験した事がない。
ツナは用事が出来た時は態々教室に出向いてくれるので、校門で待っていないと言う状況になった事がないのだ。
そう言うところは几帳面と言うか、律儀だよね、ツナは
「えっと、それじゃ、帰ろう」
一緒に帰りたいと言ってくれたツナの言葉が嬉しくて、なんと返したらいいのか分からなくなる。
最後に考えて返した言葉は、相手を促す言葉だった。
「そうだね、帰ろうか」
俺のその言葉に、ツナがクスリと笑って頷いてくれる。
その笑顔に、周りからまた悲鳴が聞こえて来たのはきっと気の所為じゃないだろう。
他愛のない話をしながら家に帰れば、何だろう家に黒いスーツを来た人が沢山居るんだけど……
「何かあったのかなぁ?」
お葬式……いや、でも家で葬式って、誰も死んでない。
まさか、父さんに不幸が……!
「……なんか、嫌な予感がするんだけど……」
脳内で不安に思っている俺に気付くことなく、ボソリとツナが呟いたその声に意識が引き戻される。
「ツナ、父さんに不幸があったとかじゃないよね?」
嫌な予感=不幸と言う方程式が出来上がっている俺は、不安に思いながらもツナに質問。
でも、父さんの夢は見なかったんだけど……って事は俺にとって、父さんは大事じゃないって事になるのか?!
「あのくそオヤジは殺しても死なないから心配ないと思うよ。それに、あの連中どう見ても堅気には見えないしね」
恐る恐る質問した俺に、ツナが力強く返事を返してくれる。
いや、殺しても死なないって、そんな力込めて言わなくても……
それにしても、堅気に見えないって……言われて見ればなんだか怖そうな顔の人が多い事に気付いた。
確かに、どう見ても一般人には見えないね。
「ツナの言うように、失礼だけど普通の人には見えないね……でもこれじゃ家に入れないんだけど……」
「なんだ、今この家は沢田家の人間しか通せないんだ…」
それに納得してしまうのは失礼だとは思ったんだけど、思わず同意してしまった。
その後、どうしようかと呟けばその声が聞こえたのか一人の男の人からダメ出しされてしまう。
「一応、ここの家の者だけど」
その言われた内容に、ツナが少し不機嫌な声で返す。
「何?!では、この方が?!」
ツナが返したそれに対して、そこに居た人達が驚いたような声を上げる。
一体、何の事なのか分からないんだけど……
「戻ってきたみてぇだな。おい、二人ともさっさと部屋に入って来い」
そのざわめきが聞こえたのか、綱吉の部屋からリボーンが顔を出す。
「やっぱり、あいつの仕業か……」
リボーンは言いたい事だけを言うと、顔を引っ込めてしまう。
それにツナが嫌そうにため息を付いた事に、俺はただ苦笑を零す事しか出来なかった。
「それじゃ、はまず自分の部屋で制服を着替えておいでよ」
許可を貰ったので家の中に入って、そのままツナの部屋に行く事になるのかと思ったら、何故かツナが制服を着替えてくる事を勧められる。
「でも、リボーンが部屋に来いって……」
「制服を着替えるぐらいの時間はあってもいいと思うよ。どうせ面倒事しか待ってないんだから、動きやすい服を着てた方がいいからね」
い、一理あるけど、それってリボーンの機嫌が悪くなるんじゃ……
でも、だからって、ここで何かを言い返すよりも俺が早く服を着替える方が効率的には良いかもしれない。
「分かった。それじゃ、着替えてくるね」
多分、ツナは俺が服を着替えてくるのをここで待っていてくれるつもりなのだろう。
俺がそう言えば、満足そうに頷いた。
なので、出来るだけ急いで部屋に戻って荷物を机の上に置いてから、慌てて制服を着替えた。
「お、お待たせ、ツナ」
「そんなに急がなくても良かったのに……それじゃ、嫌だけど面倒事に巻き込まれにいこうか」
着替えて部屋を出れば、ツナがその場で待っていてくれたので声を掛ければ盛大なため息をつく。
確かに、それを考えると憂鬱になるんだけど
複雑な気持ちで、何時ものようにツナに抱えられて2階の部屋へと向かう。
2階に上がってから、俺を下ろしたツナが先に自分の部屋へと入るためにドアを開ける。
開かれた部屋の中にも、黒いスーツ姿の男の人が2人居た。
一体、この人達は誰なんだろう。
「遅かったじゃねぇか」
疑問に思った瞬間、聞こえてきた声に意識を引き戻される。
「偽赤ん坊、また何の厄介事?」
その声に対して、ツナが不機嫌な声で問い掛けた。
何で、そんなに喧嘩腰なんだろう。
「いよぉ、ボンゴレの大将」
だけど、ツナの不機嫌な問い掛けに対して知らない声が聞こえてきた。
声の方へと視線を向ければ、見慣れない椅子がツナの部屋に……も、もしかして態々運びこんだのかなぁ?
「はるばる、遊びにきてやったぜ」
見慣れない椅子に疑問に思っていれば、ゆっくりとその椅子がクルリと回る。
「オレは、キャバローネファミリー10代目ボスディーノだ」
クルリと回ったその椅子に座っていたのは、金髪で茶色の瞳のカッコいいと言える男の人。
「あっそ、そう言うのは興味ないんだけど、オレ」
「ツナ!」
自己紹介した相手に対して、ツナはまったく興味ないと言うように言い捨てる。
それに俺が、慌てて名前を呼んでも仕方ないだろう。
「す、すみません。俺は沢田です。こっちは、俺の双子の兄で沢田綱吉……あ、あの、一つ気になる事を言ってもいいですか?」
ツナの失礼な態度を謝罪してから、俺も自己紹介する。
勿論、ツナは絶対にしないだろうから、俺が名前を教えた。
もしかしたら、リボーンから説明されているかもしれないけど、これは礼儀だと思うしね。
そして、最後にどうしても気になったと言うか、言い出しにくいんだけどこの人達が部屋の中に居ても靴を履いている事を疑問に思ったので、思わず質問してしまう。
「んっ?ああ、お前らの事はリボーンから聞いてるぜ。で、気になる事って何だ?」
自己紹介した俺に、ディーノさんが頷いて返してくれる。
更に、俺が質問した事を促すように視線が向けられた。
「えっと……」
気前良く言ってくれたディーノさんに靴を履いている事を質問しようとした瞬間、最近では聞きなれてしまった笑い声が聞こえてくる。
それと同時に、バタバタと走り回っている派手な足音が聞こえた。
『ランボ、やめるアル』
「枝つきブロッコリーだぞ〜!」
派手な足音をさせて、ツナの部屋に飛び込んできたのはイーピンちゃんとランボくん。
何時ものように、イーピンちゃんがランボくんに追い駆けられているようだ。
「また、こいつらは……」
部屋に飛び込んできた二人に、ツナが盛大なため息をつくのを見て思わず苦笑を零してしまう。
「おい、バカ牛手榴弾持って走り回るなよ」
そして、ランボくんの手に持っているそれに対して注意する。
うん、確かにその注意は間違いじゃないと思うんだけど、何か違うように思うんだけど……
ツナの注意に対して複雑な気持ちになっていれば、ランボくんが何もないところで器用に躓いて転んでしまう。
「ランボくん!」
それに驚いて名前を呼べば、ムクリと起き上がったランボくんが不思議そうに自分の手にあるそれを見た。
って、持っていた手榴弾はどこに行ったの?!
「やべーな、外にはディーノの部下がいるぞ」
疑問に思った瞬間、リボーンの声が聞こえて視線を向けると、ランボくんが持っていた手榴弾が外に放り出されているのが見えた。
しかも、ピンは見事にランボくんの手の中に残っているので、爆発準備は万端。
大惨事になるっと思って焦った瞬間、ディーノさんがバッと窓から飛び出した。
「てめーらふせろ!!」
そして外に居る人達に声を掛け、鞭を取り出してランボくんの手から外に飛び出して行った手榴弾を器用にも鞭に絡めて頭上へと放り投げる。
高く上がった手榴弾が、派手な爆発音を響かせた。
「……ディーノさんて、凄い人だね」
その後、綺麗に着地したディーノさんに、部下の人達が笑いながら声を掛けている。
それを見ただけで、ディーノさんが部下の人達から好かれている事が良く分かった。
「?」
思わずポツリと呟いたオレの言葉を聞き逃したのか、ツナが名前を呼んでくる。
「ううん、なんでもない。リボーン、どうしてディーノさんが家に来てるの?」
それに対して首を振って返してから、疑問に思った事をリボーンに聞く。
だって、どう考えてもディーノさんをここに呼んだのはリボーンだろうから
「そうだな、バカ牛の所為で説明が遅れたが、あいつはお前等にとっては兄弟子になるから、紹介しておこうと思ったんだぞ」
「兄弟子?」
俺の質問に、あっさりとリボーンが説明してくれる。
だけど、言われた内容に俺は意味が分からないというように首を傾げた。
兄弟子と言う事は、師匠が一緒って事だよね?
えっと、それってつまりは……
「オレはここにくるまでディーノをマフィアのボスにすべく教育してたんだぞ」
「で、今はオレ達の教育に来てるって……迷惑な話だね」
リボーンの言葉の意味を考えていた俺に、まるでその考えを読んだようにリボーンが続けて説明する。
リボーンの説明に対して、ツナが不機嫌な声でボソリと呟いた。
その声が聞こえた俺は、苦笑を零してしまうのを止められない。
「リボーンの言ってた通りみたいだな。本当に昔のオレにそっくりだ!」
そして、その声が聞こえていたのは部屋に戻ってきたディーノさんも同じだったようで、楽しそうに笑っている。
えっと、ツナとディーノさんがそっくりって……
「オレも昔はマフィアのボスなんてクソくらえと思っていて、教育に来たリボーンを鬱陶しがっていたからな」
想像がつかなくて疑問に思っていたら、ディーノさんが理由を説明してくれる。
ああ、確かにそれは似ているかも……
「それに、ハナからマフィアを目指す奴にロクな奴はいね――…おまえは信用できる男だ」
そう言ったディーノさんの顔は本当にカッコいい男の顔をしていた。
「……毒気が抜けた。あんたに信用されてもねぇ……オレはただ将来医者になっての足を直す事だけが目標だから、マフィアのボスになるつもりなんてないよ」
「それも聞いてるぞ。医者になるとか、ますます信用出来るじゃねぇか!頼りになるボスになれるぜ」
ディーノさんの言葉にツナが盛大なため息と付く、それに対してディーノさんは嬉しそうに返す。
その時、一瞬だけ俺の方に視線が向けられたのは気の所為だろうか?
「それじゃ、ディーノ、今日は泊まってけ」
「ん、オレはいいけどこいつらがな」
疑問に思った瞬間、リボーンがディーノさんに声を掛ける。
それにあっさりとディーノさんが頷いて、部下の人達を指差した。
「部下は帰してもいいぞ」
「お前、またそんな勝手な事を……」
ディーノさんの心配に、これまたあっさりとリボーンが返せば、それを聞いていたツナがうんざりした様にため息をつく。
まぁ、リボーンの勝手は今に始まった事じゃないから、俺も苦笑を零す事しか出来ないんだけど
「リボーンさんのとこなら安心だな」
「あー、せーせーすらー」
リボーンのその言葉を聞いて部屋の中に居たディーノさんの部下の人達が笑いながら部屋を出て行く。
多分、外の人達にも説明に言ったのだろう。
そんな訳で、ディーノさんのお泊りが、あっけなく決定してしまった。
あれ、そう言えば、俺の気になってた事って保留のままなのかなぁ、理由は何となく分かったから別にいいんだけど……
「いただきます」
「はい、どーぞ」
夕飯一緒に食べる事になるのは当然で、母さんが作ってくれた美味しい夕飯に手をつける。
「そーいや、ツナ達のファミリーはできたのか?」
「今のとこ、獄寺と山本。あと候補がヒバリと笹川了平と…」
「……一応、友達と先輩のはずだけど……」
今日も美味しいと思いながらご飯を食べていると、ディーノさんが唐突に質問してきた。
その質問に答えたのは、ツナではなくリボーンで、それにツナが盛大なため息をつきながら突っ込みを入れる。
うん、一応じゃなくて、友達と先輩だから、と俺も心の中で思わず突っ込みをしてしまった。
「っていうか、リボーンはなんでウチに来てんだよ。この人との方がうまくやってけそうなのに」
「ボンゴレは、オレ達同盟ファミリーの中心なんだぜ。何にしてもオレ達のどのファミリーより優先されるんだ」
「えっ?!ボンゴレって、そんなに凄いファミリーなんですか?」
そして、ツナがうんざりした様にリボーンに質問した内容に、ディーノさんが説明してくれる。
その言われた内容に、黙って話を聞いていた俺は、思わず驚きの声が上げてしまった。
だって、同盟ファミリーの中心ってことは、かなり大きなファミリーって事になるんだよね?
そんな事を前にリボーンが言っていたような気がするんだけど、実際同盟ファミリーのボスから話を聞かされると、驚かされてしまうのだ。
「そーだぞ」
「あれ?は、知らなかったんだっけ?」
って、そこで二人して意外そうに返さないでください。
リボーンはともかくとして、何でツナまでそんな事知ってるんですか?!
「まぁ、ディーノ君。あらあら、こぼしちゃって…」
驚いている俺には、まったく気付かずに暢気な声が聞こえてきて現実へと引き戻される。
その声に視線を向ければ、確かにディーノさんの周りが酷い事になっていた。
「ディーノは部下がいねーと、半人前だからな」
「何それ?」
そんな状態に更に驚いていると、リボーンがあっさりと口を開く。
その言われた事に、ツナが不思議そうに聞き返した。
「こいつは、ファミリーのためとか、ファミリーの前じゃねーと力を発揮できないタイプなんだ。部下がいねぇと運動能力が極端に下がるんだ」
ツナの問いに、淡々とした口調でリボーンが説明する。
えっと、それって……
「それって、究極のボス体質な訳?ある意味では、迷惑な話なんだけど……」
うん、究極のボス体質だよね。
「またリボーンはそーゆーことを…ツナ達が信じるだろ?普段、フォークとナイフだから、ハシがうまく使えねぇだけだよ」
リボーンの話を聞いて、ツナが呆れたように呟いたその言葉に俺も思わず頷いてしまう。
いや、迷惑とは思わないけど、凄いボス気質なんだなぇと、本気でそう思ったから
呟いたその言葉に、慌てたようにディーノさんがそれを否定した。
ああ、確かに普段はフォークとナイフを使っているんだから、お箸使うのは難しいかもしれない。
「それじゃ、フォークとナイフ持って来ましょうか?」
「いや、良いぜ。サンキュな、」
ニッと笑顔で言われたそれに、ドキッとしてしまう。
あれ?そう言えば、俺ディーノさんに名前呼ばれたの、初めてかも……
「それじゃ、おフロ入れてくるわね」
ちょっとだけ顔が赤くなった自分に驚きながら、なんだか嬉しくて思わず笑ってしまう。
何だろう、ディーノさんって、お兄さんって感じなんだよね。安心するって言うか……
いや、ツナも俺の兄で間違いなんだけど、同じ年だから、年の離れた兄って、こんな感じなのかなぁって……
母さんの声を何処か遠くに聞きながら、自分で感じたその気持ちを考えてみる。
「キャアアアア!!」
「母さん!」
だけどその考えは、突然聞こえた悲鳴によって遮られた。
聞こえて来たのは、間違いなく母さんの悲鳴。
「どーしたんだ!!!」
その声で慌てて椅子から立ち上がった俺に続いて、ディーノさんやツナも同じように席を立つ。
だけど、その瞬間、ビターンと音が聞こえてきそうな程派手にディーノさんがコケてしまった。
「えっ、あれ?」
突然のそれに、驚く事しか出来ない。
あれ?何でディーノさん転んだんだろう?
「だ、大丈夫ですか?!」
疑問に思ったけど、派手に転んだディーノさんを心配して声を掛ける。
「自分で、自分の足をふんじまった」
「えっ?」
心配して声を掛けたら、ディーノさんが転んだ理由を口に出す。
その言われた内容は、信じられないものだったんだけど
「ほれみろ、運動音痴じゃねーか」
その理由を聞いて、リボーンはバカにしたように口を開く。
えっと、それってつまり……
「オフロに、オフロに〜〜っ」
リボーンの言葉の意味を考えようとした瞬間、バタバタと母さんが部屋に入って来た。
その言われている内容に、思わず首を傾げてしまう。
オフロに何があるんだろう??
母さんが慌てている事からも、お風呂場に何かがあるって事なんだと思うんだけど、一体何が……
「は、ここに居て!見てくるから!!」
疑問に思って風呂場に向かおうとした俺は、しっかりとツナから止められてしまう。
確かに、何があるのか分からないので、俺が行くのは足手まといになってしまうのが想像で来て素直に頷く。
俺が頷いた事で、満足したのかツナはフッと笑ってから、部屋を出て行ってしまった。
ツナ達が揃って部屋を出て行くのを見送って、まだ小さく震えている母さんに声を掛ける。
「一体、何があったの?」
「それが、カメみたいなのか、オフロを食べてたのよ!」
カメみたいなものが、お風呂を食べていた?
えっと、それってどう言う事なんだろう。
カメって、お風呂を食べるの?いや、その前に、お風呂を食べるカメって、どんなの??
母さんの説明を聞いて、余計に何があったのか分からなくなって首を傾げていた俺は、元凶を連れて戻ってきたツナ達の説明で漸く納得する事が出来た。
でも、水を吸って大きくなるカメなんて、迷惑なペットを飼ってるんだね、ディーノさんって……
いや違うか、そんな迷惑なペットを渡すリボーンが一番迷惑なのかかも……
そんな訳で、お風呂が壊されてしまったので、今日は皆で銭湯に行く事になった。
でも、俺はシャワーが壊れてなかったので、ウチのお風呂で済ます。
だって、皆と一緒にお風呂に入る自信が流石になかったから……
ど、どうせ、俺は貧弱ですよ!