たく、何でこいつが係る任務つーのは、こんな面倒なのが多いんだか……。
 しかも、可笑しいと思っていたてぇのに、その原因を後回しにしやがるなんて、忍びとしてもどうかと思うぞ。

 まぁ、こいつらしいちゃらし過ぎて、笑えねぇんだが……。

「『昼』どう言う状況だったのか、説明してくれ」

 盛大なため息をついて、少しでも自分達が優位に立つ為の情報を手に入れようと、俺は『昼』へと声を掛けた。

『状況としては、まず術者達に動きは見られなかった。忍び連中は、武器を手に準備をしていた処だったぞ』
「あ〜っ、アレだな、城攻める役は、忍びで、術者は呪詛担当って処だろう。呪詛なんて、弱れば弱るだけ効果は覿面だし、あの人数なら流石に数打ちゃ当たるってやつだろうかんなぁ……」
「そうなのか?」

 『昼』の説明に、『』が盛大なため息をついて、言葉を付け足す。
 その言葉に、ナルト…『光』が不思議そうに首を傾げて問い掛ける。本当、こう言う姿見てっと、こいつが里の1暗部には見えねぇよなぁ……。

「そう。心が弱っちまうと、そこに付け込むスキが出来る。入っちまえば後は簡単。内からゆっくりとさらに追い詰めればイイだけだからな」

 『光』の質問に、苦笑を零しながら呪詛の説明をしている『』の声を聞いて、俺は思考を巡らせる。

 なら、忍び連中は既に、砦から出ていると考えていいだろう。

「『影』お前の指示通りに動く、どうするのか説明頼む。もう着くからな」

 頭の中で考えていた瞬間、声を掛けられる。それに、俺は頷いた。時間にして5分も過ぎていないだろう。
 本当に便利だよな、この術。もっとも、俺達忍びには絶対に使えねぇみてぇだけど……。

「『影』?」

 目まぐるしく働く頭が全く違う事を考えた瞬間、『光』から心配そうに名前を呼ばれて、意識を取り戻す。

「ああ、最初の計画通り、俺と『光』は、忍びの相手。『』は、術者を頼む……一人で大丈夫か?」

 そっと問い掛けた最後の言葉は、へと向けたモノ。
 俺の質問に、ニッと笑顔を向けられる。

「心配ねぇよ。『昼』も居るんだからな。そっちこそ注意しろよ。予定と違って、一箇所には居てくれないぜ」

 そして心配は、逆に返されてしまう。

 確かに、砦に全員が居てくれるなんて、そんな事が望めない状態なのだから、かなり面倒な事になっているつーことは認める。
 100人以上の忍びの数。それが例え人数だけだとしても、マジで厄介な事この上ない。

「だな……『光』、影分身で何とかなるか?」
「問題ない」

 俺の質問に、ナルトが頷く。

 何時も思うが、任務になると極端に口数少なくなるよな、こいつ……。
 まぁ、俺と組む前はずっと単独任務だったから気持ちは分からなくもねぇけど。

『出るぞ』

 考え込んでいる俺の耳に、『昼』の声が聞えて来る。
 その瞬間、空気が張り詰めたモノへと変わった。こう言う時に感じる空気は、身を刺すような冷たさを持つ。

「忍び達の動きは、大きく分ければ6……大体一つの塊が20人くらい。それなら、影分身遣えば楽勝だろう」

 渡りから砦の直ぐ傍に着いた瞬間に、『』が気配を読んで、笑みを浮かべる。

 相変わらずの早業に、感心せずには居られない。
 こいつは、ナルトよりも気配には敏感。その上、こいつは気配…いや、存在自体消す事など、容易く遣って退ける。ナルトにさえその存在を感じさせないそれは、まさに神業だ。
 そう、まるで空気と同じ存在。
 まぁ、最近では、勘でこいつの存在が分かるようになったつーのは、一応進歩したってことなのかもしれねぇ……。

「だよな?」

 そんな『』の言葉に感心していた俺に、問い掛けてくるように声が掛けられる。

「……そうだな……」

 『光』も同じように気配を読んだのだろう。『』の問い掛けに頷いた。

「問題ねぇよ……」
「んじゃ、予定通り……気を付けてな」
「お前もな」
「それじゃ、またここで!」

 言って『』の姿が一瞬で消える。そうなると、その気配を探す事は出来ない。

「……見事だな…」

 消えた気配に、感心したような声が聞えて、俺はただ小さく頷いた。

「それじゃ、俺達も行こう」
「おう、たくめんどくせぇが、さっさと終わらせるか」

 言って二人同時に一つの印を組む。
 禁術とされている、影分身。分身と違って、実態を作り出す術。
 ちっとばかりチャクラを多く遣う事になるが、使いこなせばかなり楽になれる術だ。

「それじゃ、また後で」
「行くぞ」

 お互いに3人に別れて、気配の先へと向かう。
 後は、単体での行動。まぁ、こいつは里で一番の実力者だから、心配はしてねぇ。問題は、一番弱い俺だよなぁ……。

 人数だけみてぇだし、なんとかなるか…?