苦手な任務が終って、溜まったストレスを発散する為に料理作って、作りながらナルトやシカマルに食わせたいなぁなんて考えて、心話でシカマルに連絡とってから今に至る。
ナルトに、『おいしい』って言ってもらって、気分も上々。
そう例え、嫌な任務があっても、その後が良ければ全部許す。
まぁ、ちょっとばっかり三代目の事を脅しちまったのは、否定しねぇけど……。
ナルトとシカマルに今回俺が調べた任務が行く事なんて分かり切っていたから、だからちょっと我侭言っただけ。
いいだろう!そのお陰で、二人に1週間近くも会えなかったんだからな!!
『で、任務の事は、ちゃんと説明したのか?』
『昼』と『夜』を呼んで、作った弁当を全部平らげた時、『昼』が俺に質問。
「おう!ちゃんと同行する事は、話した」
『……そっちじゃないだろう!正確な任務内容だ。三代目から、直接お前が話すようにと言っていただろうが!!』
「えっ?そうだっけ??」
質問された事に満足気に返事を返せば、呆れたような盛大なため息と共に、何時ものように怒られてしまった。
でも、言われた内容に、心当たりがない。
きっと、我侭言った内容が通った事に満足して、聞いてなかったみたいだな……。そりゃ、『昼』に呆れられても仕方ねぇかも…。
「…悪い、聞いてなかった……」
「お前なぁ…」
ちゃんと自分の否を認めて、素直に謝罪すれば、シカマルまで呆れたようにため息をつく。
「だから、悪かったって!」
「それで、任務内容は?」
そんなシカマルにもう一度謝罪の言葉を口にすれば、真剣な表情でナルトが問い掛けてくる。その表情は、何時ものナルトではなく、暗部『光』のもの。
だから、俺も真剣になる為に一つ咳をしてから、口を開いた。
「今回の任務は……」
『要砦壊滅任務だね』
だが、俺が言葉にして伝える前に、あっさりと『夜』が言葉を続ける。
「……俺、真剣に言うつもりだったんだけど……」
『だって、ボクも話に加わりたかったんだもん。それに、今回はボクも手伝ったんだよ』
『えっへん』とばかりに胸を張る『夜』に俺は思わず苦笑を零す。
「珍しいな、『夜』には殆ど任務の手伝いはさせねぇのに……それだけ、面倒って事かよ」
そんな『夜』の言葉に、シカマルが少し驚いたように言って、その後ボソリと本音がでる。
まぁ、確かに面倒だと言えば面倒だろう。何せ、俺が下調べした任務だからな。俺が調べたって事は、他の奴等じゃ、調べられなかったって事だから、任務ないようとしては、特Sランク。
幾つもの大名達から出された任務なので、かなりの位置に属している。
「……残念な事に、特Sランク。面倒な事には変りねぇよ。ちなみに、三代目脅したってのは否定しねぇけど、俺が同行するのには、ちゃんと理由がある」
『理由など、あったのか?』
うん、確かに俺は三代目を脅したけど、何にもなくって脅したりなんて絶対にしねぇぞ。
だからその事を説明しようと思ってそう言えば、横から『昼』の突っ込み。
……頼むから、俺にも真剣に言わせてくれ……。
「……『昼』、分かってて邪魔するな!」
一緒に下調べしたから、知らねぇはずないのに、どうして俺の邪魔するかなぁ……。
「それじゃ、理由はなんだ?」
盛大なため息をついたところで、ナルトが質問してくる。
「……要砦に、術者が居るんだ」
「術者?」
「あ〜っ、どれぐらい居んだよ」
ナルトの質問に、真剣に言葉を返す。
俺の言葉に、ナルトは意味が分からなかったようだが、シカマルは理解したのだろう更に質問を投げ掛けてきた。
「……砦にいる忍が上忍から中忍合わせて100近く。術者は、20人近くぐらいだな。勿論、大した奴じゃねぇんだけど……」
「あ〜、めんどくせぇ……」
「一体、何が面倒なのか説明しろ!術者って何モンなんだ?」
シカマルの質問に答えた後、一人意味がわかっていないナルトが、不機嫌そうに睨んでくる。
まぁ、普通の忍には、術者を知らなくっても仕方ないだろう。シカマルは、家の書庫の常連だから知っているだけ。
「…ナルト、俺も術者」
だから、簡潔に自分の事を指差して、一言。
「えっ?は、忍だろう?」
だけどナルトは、驚いたように首を傾げて問い返してきた。
「う〜ん、忍ってのは否定しねぇ。けど、俺はどっちかって言えば、払い屋であり術者、そんでもって守護者だな」
って、自分で言ってなんだけど、俺ってもしかしなくっても、最強??それだけの能力あれば、怖い者無しって気分だな…。まぁ、忍としては、ナルトの足元にも及ばないけど…。
「……払い屋は、一族の事が書かれた文献で分かる。でも、術者って言うのは?」
「術者って言うのは、忍術を使わずに術を発動させる事が出来る。例えば……」
ナルトの疑問を解決させる為に、俺はポーチから一枚の紙を取り出す。それは使い慣れた式用の紙。
それを手に取り少しだけ自分の気を移す。そうすれば、ただの紙が真っ白な鳥になった。
「これは、術者が良く使う式。ただの紙を何かに変える事が出来る。まぁ、俺達で言う変化の術の応用みたいなもんかな…ちょっと違うけど…」
「へぇ、器用だな」
紙で出来た鳥を興味津々と言った様子で見詰めて居るナルトに、俺は笑みを零す。
こんな風にしていると子供らしいなぁ、なんて、本人が聞いたら怒りそうな事を思った。
「んで、術者のレベルは?」
「……シカマル、人が幸せに浸っているのに、現実に戻すなよなぁ……文句言っても仕方ないけど……術者のレベルは、2にも満たない奴ばっかりだ。でも、忍と違って、術者が数人集まると色々厄介なんだ」
俺が作った鳥を見ているナルトに、和まされている中、真剣にシカマルが質問してくる。
まぁ、こいつの場合、既に頭の中で今度の任務の作戦準備を始めているところだろうから、俺に文句は言えないんで、素直に質問に答えた。
「……あ〜、そんな事言っていたなぁ……で、どう出るだ?」
俺の言葉に、シカマルが面倒臭そうに盛大なため息をついて、更に質問。
それに俺は小さく息を吐き出してから、口を開いた。
「正直言う、今回の任務お前らに倒してもらうのは、忍だけでいい」
「ああ?俺等の任務は、要砦壊滅だろう?」
「だな。忍だけじゃなく、術者って言うのも始末しなきゃいけないんだろう?」
俺の言葉に、意外そうにシカマルが質問してきて、ナルトも訳が分からないと言うように首を傾げる。
『要砦に関しては、その術者達の特殊な結界が張られている。だから、この情報を集める任務は、にしか出来無かったと言って良いだろう』
『うん、何時もなら2人でやってるんだけど、今回は大変だったみたいだから、ボクも手伝ったんだよ』
二人の質問に、俺ではなく『昼』と『夜』がそれぞれ口を開く。
だが、それは質問の答えじゃない。俺は苦笑を零してから、二人を見た。
「結界を張っている術者は俺が引き受ける。お前達には、術者の相手は無理だと思うからな……って言っても、そっちの方が、100人近くの忍を相手にするんだから大変だろうけど……」
シカマルは、術者の事を知っているといっても、書物で呼んで知識として知っているだけだ。ナルトに関しては、術者について、何の知識も持っていない。だからこそ、術者を相手にするのは、自分が一番適任と言う事。
「……それが、一番のベストちゃ、ベストだな……めんどくせぇが、おめぇは、大丈夫なのかよ」
シカマルも一瞬考えて、眉根を寄せる。
自分で考えた作戦も、きっと俺と同じものになったのだろう。付け足したように言われた言葉に、俺は笑顔を見せた。
「俺には、最強のパートナーが居るからな」
『の事は、オレ達に任せておけ。詳しい任務の作戦は、今夜話すとして、器のガキと奈良のガキは、アカデミーの授業はいいのか?とっくの昔に授業が始まっているようだぞ』
「あっ!」
「……めんどくせぇが、すっかり忘れちまってたぜ……」
話は決まったと言う処で、『昼』の言葉に、ナルトとシカマルが思い出したとばかりに複雑な表情を見せた。
そう言えば、今はアカデミーの昼休みだったっけ……。俺もすっかり忘れていた……二人とも、イルカ中忍の説教確定だな…。俺の所為だけど、忘れていた二人も悪いって事で……。
結界、張っといたの失敗したかなぁ……チャイムの音も聞こえなかったし……。
綺麗に無くなった重箱を片付けながら、俺は走り去って行く二人を見送った。