何も叶わない願いの中で、一つだけ叶うとすれば、彼に会えるという事だけ。
どんなに願っても、叶えられない自分の願い。
だから、残してくれたのかもしれない。たった一つだけの、自分の希望。
何も叶わない自分の願いの中で、たった一つ叶えられた願い事。
今、目の前に居るこの人に、会えたから……。
君の笑顔が見たいから 18
「どう言う、意味だ?」
そして、再度尋ねられたそれに、太一が困ったような表情を見せる。
自分には、太一に会った記憶など無い。
いや、会っていたとすれば、忘れる事は無いだろう。
「……そう言うと、間違いかもしれない……だって、本当には、会ってないから……」
自分の問い掛けに、困ったように返されたその言葉。
「会ってるのに、会ってない?」
言われる言葉の意味が分からないと言うように、ヤマトは尋ねるように太一を見詰める。
そんな自分の視線に、太一はそっと小さく息を吐き出した。
「……俺の会いたかった奴は、すごく変な奴だった…」
自分から視線を逸らして呟かれたそれに、ヤマトはただ黙ってその言葉の続きを待つ。
「もう来るなって言ったのに、俺なんかに会いたかったなんて言う、本当に変な奴だったんだ……」
泣き笑うような表情、そして、言われるその言葉は、自分とある人物しか知らない夢の出来事。
「な、なんで……」
信じられないその言葉に、ヤマトはただ驚いて太一を見詰めた。
自分の視線を受けて、太一は今まで見せていた笑顔とは全く違う、優しい微笑を見せる。
「…本当のヤマトに会いたい……それが、俺の望んだ願いの中でたった一つ叶えられた事だから……」
初めて見せられた笑顔と共に言われたそれは、信じられないものだった。
もう、あれはただの夢だと思っていた自分が居ることを知っていたから……。
会える筈の無い、夢の中の人物。
本当に会えると彼は、確かに言っていたけれど、余りにも現実離れしている出来事だからこそ、諦めていたのだ。
「…太一……」
「……ずっと会いたいと想っていたのは、多分俺の方だ……」
照れたように紡がれたそれは、聞き違いだったのかもしれない。
それだけ、相手が言っている事は、自分にとって都合のいいものなのだ。
最近になって、あの夢はただの夢だと諦めかけていた。
その夢の人物が、今目の前に居る人だと言われても、直ぐには納得できない。
嬉しいはずのその言葉の意味を理解出来ずに、ヤマトはただ呆然としたまま太一を見詰めた。
「……迷惑な話だよなぁ……2.3回しか会ってないのに、こんな風に思うなんて……だけど……だけど、これが俺の正直な気持ちだから……」
「…太一……」
そっと自分に笑顔を見せるその顔が、あの夢の中の少年と重なる。
もう、ただの夢だと諦めていはずの、ずっと会いたいと本気で思っていた少年の笑顔。
泣き笑うような少しだけ寂しそうなその笑顔を、自分はどうして忘れていたのだろうか?
確かに、この目の前に居る彼が、ずっと自分の望んでいた相手なのに……。
「……俺も、ずっと会いたかった」
寂しそうな笑顔を見せている太一に、そっとヤマトは自分の心を伝えるように口を開く。
「えっ?」
小さく呟かれたその言葉に、太一は驚いたようにヤマトを見詰める。
「同じだから……俺だって、ずっと夢の中で出会った相手の事、忘れられずに居た。……俺の初恋の相手は、その夢の中で会った…お前だって言ったら、信じてくれるか?」
「……ヤマト?」
優しい笑顔に、太一はただその名前を呼ぶ。
そんな相手に、ヤマトはもう一度笑顔を見せて、そっと太一を抱き寄せた。
「諦め掛けてた……あれは、ただの夢だったんじゃないかって……だから、お前があの夢の相手だって
分かって嬉しい……」
「…ヤマト……だけど、俺は……」
自分の事を優しく抱きしめてくれる相手に、太一は困ったようにそっと瞳を伏せる。
言ってもらえる言葉は、嬉しいものなのに、やはり素直に受け取れないのは、自分が普通とは違うから……。
「『だけど』なんて言葉は、聞かない。何も違わないから…俺は、太一の力の事を知っても、気持ちは変わってない」
「……ヤマト…」
真剣に自分を見詰めてくる相手に、太一は困ったようにその名前を呼ぶ。
不安気に揺れている瞳を前に、ヤマトはただ笑みを見せた。
「好きだから、太一の本当の笑顔が見たい。そう思うのは、俺の我侭だって事分かってるけど……」
伝えられる言葉を遮るように、そっと太一が手を伸ばしてヤマトの唇に指を当てる。
突然の太一の行動に、ヤマトは続く言葉を止められた。
「……ヤマトの心はずっと聞こえてた…だけど俺は、その声すらも聞こえないように耳を塞いでいたんだ…ヤマトがそう思うのは、俺の力の事を知らないからだって……ヤマトがそんな奴じゃないって、一番知ってた筈なのに、逃げてたんだ……全ての現実から……」
「…太一……」
「橘さんは、そんな俺の心が分かってたんだな……俺のような力を持ってる訳じゃないのに、あの人は、全部知ってた……」
苦笑う表情で見詰めてくる太一に、ヤマトは一瞬言葉を失ってしまう。
今、自分の友人である智成の名前が出てくるとは思っていなかったのだ。
「……智成と、どんな話をしたんだ?」
小さな嫉妬。
自分は、今ここに来てやっとで気持ちを伝える事が出来たのに、その前に智成と話をしていた事に対する下らないヤキモチ。
「……言われた。俺の心の向こう側を見れるのは、ヤマトだけだって……」
そして、ポツリと呟かれたその言葉に、内心ほっと胸を撫で下ろす。
「…それから……」
だが、それに付け足すようなそれに、ヤマトはそっと太一を見詰めた。
「……ヤマトの夢の相手が俺だって事、あんなにはっきりと言われるとは思ってなかったから……」
「と、智成が、そんな事言ったのか??」
戸惑いながら告げられた言葉に、ヤマトは驚いて首を捻る。
確かに、智成に夢の話をしたのは自分だ。
しかし、馬鹿にされたと思った事を、まさか太一相手に断言していたと言うのに、驚くなと言う方が無理な話である。
「……あの人は、不思議な人だ……」
「確かに、あいつの勘には、頭が下がるな……でも、そのお陰で、俺はこうして運命の相手に出会えたけどな」
「う、運命の相手って?!」
ウインク付きで言われたそれに、太一が真っ赤な顔をして声を上げる。
「運命の相手だろう?俺たちは、約束を果たす為に出会ったんだからな」
当然な事のように言われるそれに、太一は不思議そうに大和を見た。
「……約束を、果たす為?」
「そう、本当に出会えた時、名前を教えてくれるって約束しただろう?」
不思議そうに尋ねられた事に、ヤマトはただ笑顔のまま言葉を返す。
そして、尋ねられるように言われた事に、太一は思い出したように、頷いた。
「あっ、そう言えば……」
「八神太一……俺は、ずっとその名前が知りたかったんだ」
嬉しそうに呟かれる事に、太一はただ訳が分らないと言うように首を傾げる。
「……名前を呼べないのは、辛いから……」
「…ヤマト……」
「俺は、夢の中で会ったあいつの名前をずっと呼びたかったんだ……だから、有難う」
「えっ?」
突然誤られて、驚いてヤマトを見れば、ただ優しい笑顔が目の前にある。
「本当の事を話してくれて……そして、俺に会いに来てくれて……」

収集が付かない……xx
私は、何が書きたかったのでしょうか??
そして、何でこんなに甘い関係になってるんだ!?
もう、好きにしてくれ状態ですね。<苦笑>
次こそは終わってくれるかなぁ??
いや、もう、何度も書いている台詞なので、言い飽きましたが次こそは、終わります!(本当か??)
だって、次の話書きたい……。
と、とにかく頑張りますね。意味不明な文にならないように……(もう遅いって……><)
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