筑波決戦2004

99年に初めて開催された筑波決戦、毎年開催されて今年で6回目となった。

過去の決戦情報は以下を参照に復習されたし。

99年 筑波決戦
00年 筑波決戦直前情報
00年 筑波決戦
01年 間瀬決戦
01年 筑波決戦直前情報
01年 筑波決戦笑細
02年 筑波決戦直前情報
02年 筑波決戦笑細
04年 筑波決戦直前情報

今年の長岡勢は私と友人Tと茶太郎の3台だ。直前情報でお伝えしたように、今年の長岡勢は全員が捨て身の覚悟で挑む(笑)。

決戦前日、私は朝からタイヤをSタイヤに交換し、リヤウイングを取り付け、荷物を積み込む。毎年深夜に筑波入りして朝まで宴会、二日酔いで走るという最悪の状況を打破するべく、今年は昼過ぎに出発してさっさと筑波入りしてさっさと寝るという計画だ。友人Tと共に3時頃の出発するが、友人Tはニトロガスボンベを取りに埼玉に寄ると言う。さすがにソレには付き合えないので私は途中から一人で筑波を目指す事にする。途中からエキサイティングな大雨、ハイドロプレーンに襲われて低速走行を強いられた友人Tが後方にフェイドアウトしていく。私は別に何とも無いのだが、友人Tはハイドロに襲われているらしい。電波が雨に流されて電話もフェイドアウトしていく。さようなら、友人T。がんばってガスボンベを取りに行ってね。そう言えば危険物積んで関越トンネル走ると捕まるから気を付けてねぇ〜(笑)。ここで友人Tは私の視界から消えていった。ちなみに茶太郎は仕事が終わってからの夜間強行軍で筑波入りする予定。

無事に筑波入りした私は、誰もいないモナーク(宿泊施設ね)でビールを飲み、つぶやきを更新したり、フロに入ったり。徐々に知ってる顔が到着し始める。友人Tも着弾し、モナークの駐車場で触媒を外す(笑)。茶太郎も深夜に到着したらしいが、道に迷って筑波サーキットの周りをグルグルと周回したらしい。

そして迎えた朝、筑波サーキットは霧に包まれていた。しかしその霧の向こうには確かに快晴の空が有るのだっ!


やっぱし晴れたっっ! ちなみに筑波決戦は雨が降った事が無い。いつもドライなのだ。朝6時前のパドック。参加者全員が真剣にセットアップを進める。


パドックで注目の的はやっぱしニトロ(笑)。 クルマを取り囲んでニトロシステムの観察会。


怪しげな配管が並ぶニトロ噴射システム。ガソリンとニトロを混合してスロットルバルブの上流に噴射する。


助手席の替わりにどーんと居座るのは高圧液化ガスボンベ。気化促進の為のヒータが巻かれている。


シフトレバー前方のパネルに付いている巨大な赤いボタンが自爆ボタンニトロ噴射ボタンだ。ボタンを押している間だけ噴射する。手を離すと噴射は止まる。いろいろ事情が有ってこのようなアニマル制御マニュアル制御になっている。シフトアップの度に手動で噴射するというステキなシステム(笑)。


日の出直後の早朝ドライバーズミーティング。通常の走行会とちょっと異なる決戦ルールの説明など。筑波決戦では1本目のタイムで2本目の出走順が決まり、2本目のタイムで3本目の出走順が決まる。つまり、自分の前にいるのは自分より速いヒトなわけで、前にいるのは全員が自分よりもハイレベルなヒト達なのだ。目標にもなるし引っ張ってもらってタイムを出す事も出来るし、遅いクルマに前を塞がれる事も無く思いっきりタイムアタックが可能なのだ。同レベルのヒトが前後に並ぶのでバトルも楽しめる。また、コースインした1周目はゆっくりと走って追い越し禁止で全員が隊列を作る事になっている。これにより、トップ車が1周回ってきたら最後にコースインしたクルマが目の前にいてクリアラップが取れないって事が無くなる。この特別ルールのおかげでクリアラップが取り易く、全走車や周回遅れと絡まずに安定したタイムアタックが出来る。


1本目のコースイン。路面は昨日の雨がまだ乾かずにウェットだ。ところが、ウェット路面でもそこそこのタイムを出しておかないと2本目で遅いクルマに囲まれてタイムアタックが出来ない可能性が有る。ここで気合一発タイムを出しておけば2本目でかなり速いクルマと一緒に走れる。2本目以降でタイムを狙う為にここは一発タイムを出しておいたほうが有利だ。と、私は考えながらパレードラップを走る。しかしウェット路面の筑波は初めてだ。ムリは出来ない。そしてローリングスタート!

1コーナにゆっくりと進入...したハズ...だったのだが、つる〜っっと滑って見事なまでのスピン! 180度逆向きになって1コーナイン側に止まった私を抜いて行く全員の顔が笑っている(^^; だが、コースアウトしたわけでもなく、ドンケツで再スタート。

そー言えば筑波を走るのが1年ブリどころか、サーキットを走るのも1年ブリだ。水害で峠も走ってない、ミニサーキットすら走ってない。コーナリングGを感じ取る感覚が狂いまくってる。フルブレーキングの感覚も鈍ってる。練習不足をハッキリ実感。しかし、クルマは良い。今までで一番良い。それも大幅に良い。これなら行ける。直線も他のクルマに負けてない。足のセッティングも空力セッティングも今回は成功だ。エンジンも良い。路面が乾けばベストタイム更新は間違い無い。途中、ABIT号や友人T号と絡む。去年はすごい勢いで直線で離されたが、今年は同等だ。友人Tはニトロを使ってるのか、使ってないのか? と、思いながらしばらく友人Tと絡む。友人Tがシフトアップした瞬間...

どかんっ!

と音がしてアフターバーンでオレンジ色の巨大な炎と黒煙を噴いた。使ってるのね、ニトロ。(^^;;;


私の見た目で絵に書くとこうだ。当然ながら写真は無い(笑)。

そしてウェットのまま1本目が終わり、私のタイムは9秒1だった。ウェット路面ですでに去年のタイムを上回る!


1本目トップはこの2台(写真は2本目のモノと思われる)。直前情報ではネタにしてなかった飲茶号(前方)がトップで7秒207! 後方の水色のがマチルダ号で7秒257で僅差の2位。

7秒台が3台、8秒台が3台、9秒台が4台、10秒台が6台、とてもじゃないがウェット路面のロドスタ走行会のタイムとは思えない(^^;;;;

1本目が終わって私はセッティングを変更するかこのまま行くか悩むが、とりあえず良い感じなのでそのまま行く事にした。2本目は確実にドライになるので、ドライを1本走ってダメなら3本目に向けてセッティングを変更しようと考える。


そして2本目。路面は完全にドライ。思いっきり行く。最終コーナのアンダーは極僅かで、オーバステアも出ない。空力セッティングは成功だ!これなら行ける。ノーマルラジエタで心配だった水温は90〜94度で安定、油温は110度を超えてちょっと高めだがノッキングは出ない。空燃比も安定している。大丈夫、ガンガンいっちゃえーっ!

が、タイヤがすぐにボロボロになってしまうので早めに切り上げてピットに入る。欠場しているF氏がモニタの前に座っていてタイムを教えてくれた。出ました7秒台! 7秒924 やったっ! 8秒台を目標にしてたが一気に7秒台だ。いえいっ!




2本目を終わってトップななんとこのクルマ、ダート仕様タナボタ号の6秒735!! 車幅より広そうなウイングが効いてるのか? いやいや、ダートをショートカットしたでしょ?(笑)


ニトロパワー全開で捨て身の友人Tは7秒256だ。

2本目、 6秒台が2台、7秒台が6台、8秒台が2台、9秒台が3台。超ハイレベルなタイムバトルが繰り広げられている。もちろんノーマルエンジンのクルマやラジアルタイヤのクルマも混じってるわけで、かなりのハイレベル。

2本目を走り終わってタイヤを点検すると、やはり左タイヤの編磨耗が激しい。外側だけが異常磨耗し、内側は角が立ったままだ。これが55Sの特性なのか、それともリム幅が狭いのが悪いのか、原因は定かではないがタイヤの接地面を生かせてないのは確かだ。他の参加者を見るとSタイヤ勢は全員がYHのA048で1台だけDLのディレッツァ、しかしBSの55Sは1台も発見出来なかった。Fire号より柔らかい足や高い車高でキャンバが小さいクルマでもFire号の55Sのような磨耗をしているタイヤは他には無い。やっぱ55Sってダメなんじゃないのか? とりあえず目標だった8秒台を通り越して7秒台が出てる事だし、ちょっとセッティングを変更してみる事にする。前後共に車高を7ミリほど下げた。これでキャンバが強くなり、タイヤの接地面を生かせるようになるハズ。


謎のアンダステアに悩み10秒を切れないIさじ号@Nゼロ仕様ラジアルタイヤクラスも、3本目に向けてフロントの車高を下げている。友人Tはリヤの車高を下げた。みんな真剣だ。最後の3本目に向けて緊張感が漂う。

で、今回、個人的に最高に楽しかったのが3本目のバトル。


友人T、大市民号、あきやま号、Fire号、の4台が絡んでのテールツーノーズのバトル。これは面白かった。絡んでるとタイムは出ないんだろうけど、もうタイムなんてどうでも良いと思った。突っ込み過ぎてオーバステア気味にカウンタを当てたり、相手のミスを付いて抜いたり抜かれたりの激しいバトル。ちなみにこの3本目では友人T号のニトロはネタ切れでパワーダウンしていた(笑)。

3本目の私の結果は、7秒705だった。ベストタイムだ。タイヤがイマイチだったが、クルマは今までで一番良かった。ブレーキもエンジンも足も空力も全部良かった。タイヤを変更して私がもうちょっと練習すれば6秒台は出るクルマになってると思う。


ちなみにFire号の1ヘアコーナリング中のフロントタイヤ。停止時にはリムよりタイヤの方が大幅に太くてハミ出しているのだが、コーナリング中には見事なまでにヨレヨレになっていた。ショルダー部よりリムの方が外に出ているかのようだ。50タイヤとは思えんぞ。これが55Sの特性なのか? リム幅が狭いのが原因なのか? いずれにせよ55Sはもう買わないと思う。




注目の総合結果は、


1位はなんとタナボタ号の2本目、6秒735 マル秘アライメントと巨大GTウイングが効いたか? 99年の最終コーナコースアウト事件のトラウマ、00年のエンジンブローのトラウマ、間瀬決戦でのキャブレタセッティング失敗のトラウマ、大雪走行会...数え切れいないほどのトラウマを克服し、ついに念願のトップに踊り出たタナボタ号! 誰もが「信じられない」を連発!(笑) やっぱしショートカットしてるでしょ?(笑)


2位は3本目に気合のタイムを叩き出したあきやま号、6秒843 目標タイム達成で2位! ノーマルエンジン+ターボでブースト0.6(!)まで上げた気合の仕様。 去年の8秒台から一気にタイムアップ! ASA足で1秒、GTウイングで1秒短縮か?


3位はマチルダ号の2本目、6秒913 ついにこのヒトも6秒台。Nゼロ制限が無くなって軽量化したら一気にタイムアップ! ここまで1〜3位は全車KONIのASA足だ。


4位 飲茶号の2本目、7秒131 ウェットでもドライでも3本のアタックすべてで7秒台、すごいぞ(^^;;; 去年からクルマを10Kgほど軽量化してのベストタイム更新! 6秒台はすぐそこか?


5位 友人T号の2本目 7秒256 6秒台はもうすぐか? ウェットだった1本目で面白がってニトロをムダ使い、肝心のドライの3本目にはすでにネタ切れ、発射ボタンを押した瞬間にガソリンだけがむなしく噴射で失速。タイムは2本目に出たモノ。3本目にニトロを温存しておけばもっとタイムは出たか?(笑) ノーマルピストンの限界を感じ、来年は新エンジンを組んで来ると思われる。


6位 去年の優勝者だった大市民号の2本目 7秒486 去年の6秒台はマグレか?(笑) 去年のままの仕様で今年に挑んでタイムを伸ばせず。一説によると怪しげな燃料添加剤を2倍増量で入れたのが敗因ではないかと?(笑)


7位 Fire号の3本目 7秒705 やっと大市民氏の背中が見えました。1本目で大市民号から0.9秒遅れ、2本目で0.5秒遅れ、3本目ではついにコース上のバトルで大市民号と直接対決でブチ抜く事に成功! 3本目のタイムは大市民号を上回り、個人的には去年の雪辱を果たした気分(笑)。 入魂の新エンジンと去年の失敗をフィードバックしたセッティングで9秒台から一気にタイムアップ!


8位 ちくび号 7秒873 残念ながら走行写真は無かったです。ゴメンなさい。ウイング無し車の中ではブッチ切りの最上位。1本目に1コーナブレーキング争いに敗れ、早々にコースアウトしてオブジェになりながらも1本目は4位のタイムを記録。2本目は欠場で3本目に7秒台を記録! が、3本目も1コーナ立ち上がりでコースアウトでスポンジバリアの餌食に(^^;;; 参加者の中では極端に周回数が少ないのにこのタイムはスゴイ! コースアウトとベストタイムは紙一重か? クルマがほとんど無傷で良かったです。次回はきっと凄いタイムを出してくるのでは? 来年も参加して雪辱してくださいね!


9位 ドラえもん号 7秒885 ホントにドラえもん色ですね(^^; 3本目に私の後方にいてずーっとバトルしてました。


10位 茶太郎の3本目 8秒141 新エンジンで1秒以上のタイムアップ。1本目は13秒で撃沈、しかし3本目は速かった。目標タイムは達成! 7秒台が見えて来たぞ! ウイング無しNA6でこのタイムは立派? ウイング装着でたちまち7秒台突入か? ちなみにこのクルマまでの10位以内にASA足がなんと6台! KONI-ASA強しっ!


11位 てっしー号 8秒670 上位では一番ノーマルに近いクルマかもしれない。元国際A級ライダーの走りのセンスは侮れない。 毎年タイムアップしているが、いつもトップから2秒落ちだというてっしー号。全員がレベルアップしてるって事ですね。


12位 ABIT号 8秒704 タイヤを用意できなかったABIT号、おやぢレーシングから使い古しSタイヤを恵んでもらって前日に組んだ。トップタイム狙いはやめて楽しむ事に専念。それでも86mmピストンのパワーで8秒台! すでに来年に向けての考えを始動させているらしい。


13位 (ラジアル1位) 青年部1号 9秒628 Nゼロ仕様+ラジアルで10秒を切った! さすがNゼロチャンピオン!


14位 (ラジアル2位) いさじ号 9秒972 外観は派手だが中身はノーマルのNゼロ仕様。NゼロラジアルクラスではNB8勢の中に混じる唯一のNA6。NA6でNB8と互角の戦いを演じ、ついに10秒を切って目標タイム達成! しかし青年部1号に負けたのが悔しいらしく、すでに来年に向けて燃え上がるいさじ号!


15位 (ラジアル3位) ウェーバーRS号 9秒981 このヒトもNゼロ+ラジアル仕様。タイム差0.4秒以内に集中するこの3台のバトルは熱い!

走行23台中、ここまでが10秒を切ったヒト達。11秒台までで数えると21台。99年のトップタイムは11秒前後だったので、脅威的なレベルアップです。ラジアルタイヤやノーマルエンジンのヒトも多いわけで、シロートが集まったロドスタ走行会としてはビックリですね。


走行後の余韻を残したまま、昼食と共に恒例の表彰式&景品配りがモナークで開催される。今年は総合優勝とラジアルクラス優勝者にトロフィーを進呈。


総合優勝のタナボタ氏。優勝したのに眉毛がネガティブキャンバ気味なのはなぜか? (笑)


ラジアルクラス優勝の青年部1号氏。

表彰式が終わり、参加者全員が持ち寄った景品を抽選で配り、全員が気持ち良い笑顔でモナークを出る。モナーク駐車場は触媒を取り付けるヒトや、談笑を楽しむ人達で埋まる。


モナーク駐車場にてFire号のウイングのガーニーフラップや角度に付いての論議中。

このあと、長岡勢といさじ氏は最後まで駐車場で談話を楽しみ、決戦の余韻を楽しむ。そしてすでに全員の思いは来年に向かっていた。

今回、個人的には今までで一番楽しかったと思う。自分のクルマが納得できるレベルになってたってのも理由の一つだけど、試行錯誤して開催されてきた筑波決戦が今回で完全に結晶化したような気がする。本当にステキなイベントになった。ギャラリーの人達でさえかなり楽しめたのではないだろうか?

いつもの事ながら、幹事をやってくれた人達に感謝です。





最後にオマケ。


今回、パドックの話題を独占したのはなんと言ってもこのヒト。60気圧の高圧ガスボンベを抱えて満面の笑み(笑)

# 大市民氏のサイトで今回のバトルの動画が少しだけアップされてます。下の方の筑波決戦予告編です。





.