ホットイナズマ

ホットイナズマだそうだ。なんだそれ?(笑) 毎度のようにお断りしておくが、私はこの手の商品が大っ嫌いである。話題にするだけでもムズムズしてくる。うわー、気持ち悪い。

アースの流行に続いて出てきたのがこの手のコンデンサ型の商品だろうか? 中身はただのコンデンサなわけだが、例によってトルクアップ燃費向上云々と、生体エネルギーを吸い取られそうな能書きが並ぶ。くだらん...。

この手のコンデンサ型商品でいちばん有名なのがこのホットイナズマだろうか? ホットイナズマの詳細は説明するのもアホらしいので、ホットイナズマのサイトでも読んで頂きたい。テストしたのは高回転型のTYPE-HRってヤツだ。ナニが違うんだろう? ネーミングと外観が違うのかな?(笑) それともコンデンサの容量でも変えてあるんだろうか?

さて、意味が有るかどうかは別として、コンデンサ型商品の能書きは電圧の安定化とかノイズの吸収とか、蓄電効果によるバッテリ補助効果とか、そんなモンだろう。それにより燃費向上、トルクアップ、パワーアップ、云々とお決まりの効能書きが並ぶ。ま、コンデンサなんだからノイズの吸収やリップルの減少は有り得るカモしれない。それによる燃費だのトルクだのが向上するかどうかは別として、リップルに変化が有るかどうかは興味有るところ。測ってみてリップルに変化が有ればノイズ低減などの効果は有るだろう。変化が無いのなら空っぽの箱と同じだ。

それではまず、自動車の発電機とリップルについて書いておこう。詳しい人は読み飛ばして下さい。

自動車の発電機は三相交流発電機だ。これをダイオードで整流して直流に変換している。ダイオードとは電流を一方向にしか流さない半導体だ。電流の一方通行ね。


紙にマジックで書いてみた(^^; 単相交流波形とは、左上の図のような正弦波だ。家庭用100Vもコレ。これをダイオードに通すと逆向きの電流を流さないので、右上のような半欠けの波形になる。しかし、これでは電圧変動が激しいし、途切れ途切れの電流になってしまう。そこで、同じ波形を3つ作りだし、これを位相をズラして合成すると左下の図になる。この合成によって生まれる波形が右下。直流電流になるわけ。


自動車の場合は定格12Vの直流になるのだが、この一見すると直流電流に見えるこの波形を超拡大して観測すると、整流時に残った交流成分が見えてくる。この電圧変動がリップルである。自動車のリップル電圧は大体 20mV 程度だ。定格12Vだが、実際には14Vくらい有るので、リップル率は上記計算よりもっと小さくなる。

この20mVのリップルをコンデンサが吸収してより平滑な直流電流にしてくれるなら、ノイズ低減などには効果が有るカモしれない。特にラジオに乗るオルタネータノイズ減少には有効だろう。

それでは実験。


取り付け状態はこんな感じ。検体は2JZ-GTEが乗ってるJZX100だったか90だったかのマークIIだったからクレスタだったか? 良く解らんがドリフト曲乗り暴走族のクルマだ。 バッテリのプラスとマイナスに繋いであるだけ。LEDが変色点滅を繰り返している。マイナス側を付けたり外したりしてみると、付ける時も外す時もパチっとスパークする。コンデンサが充放電する瞬間のスパークか? ちゃんとコンデンサは入ってるようだ。空箱ではないらしい。


取り外し状態。↓測定画面拡大。

縦軸の1目盛りは20mV、横軸の1目盛りは500マイクロ秒だ(つまり2目盛りで1/1000秒)。

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続いて取り付け状態。↓測定画面拡大。

変わらない....。

何回も測定を繰り返したが、波形の違いは観測できなかった。あまりにも違いが無いので、取り付け状態なのか取り外し状態なのか解るように外観写真と測定画面写真を続けて撮っておかないと区別出来ない。これではノイズ低減効果すら疑わしい...。

というわけで、やっぱし何の効果も無いと思うんだよね(笑)。

毎回思うのだが、1万円で販売出来るくらいのデバイスで本当に効果が有ったら自動車メーカが標準装備するっつーの。ほんの僅かな効率向上に数百億円かけてメーカは設計開発してるのに、コンデンサだのアースの1個や2個ケチるわけないと思うんですよ(笑)。

この手の商品に重要なのは、やはり見た目の豪華さだ。ヒートシンク型のアルミボディは欠かせない。熱なんか持たなくてもヒートシンクは必要なのだ。熱いエンジンルームにヒートシンクを置いたら放熱どころか吸熱してしまうのだが、そんな事はどうでも良いのだ(エンジンルーム温度よりも高温に発熱するようなコンデンサがホントに付いてたら嫌だな(笑))。中身なんか空っぽでも良いのだ。意味の無いLEDの点滅も欠かせない。この商品の場合はご丁寧にLEDが赤と黄色に交互に変色しながら点灯するという手の懲りようだ。LED点滅用基盤の電源だけ有れば良いのだが、配線は出来るだけ太くて偉そうでスゴそうなモノを使わなければいけないのだ。価格も気軽に買えて且つ効果が有りそうな価格に設定しなければならない。1万円をちょっと越えるくらいが丁度良い。安すぎてもプラシーボ効果が減るからある程度高くしなければならないのだ(笑)。 高級感あふれるアルミボディの見た目の豪華さ、「買った」という満足感と商品への期待感が得られる価格設定、自動車工学や電気工学に詳しくないヒトに効果が有りそうだと思わせるもっともらしい能書き、買ってみようかと思わせる夢のような効能書き。これにより演出されるプラシーボ効果は絶大であり、買ってしまったヒトは自分の失敗を認めたくない心理も働き、「効果が有る」と感じてしまう。そして信者が生まれるのである。壺を買って幸せになったヒトもいるわけで、騙されてお金を使って幸せになれるのならそれでも良いのカモしれない。測定機の観測波形に違いが現れなくても霊的なパワーで燃費やトルクが変わるのかもしれない。それはもう私の知らない世界なので調査も実験も出来ませんがね(笑)。

ちなみに、この手のコンデンサ型デバイスを自作して実験した驚きの結果を得たF&Fこちらも見た事無いヒトは見てね。ウチのアース実験ネタも脅威的なアクセス数がずーっと続いてます。見た事無いヒトはそちらも合わせてご覧有れ。

2009年エコランアタックで似たような電気モノをテストしました。フューエルバンクEVOIIという商品。高そうなアルミケースに収めらられたオカルト商品。こちらもご覧あれ。





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