泡盛紀行-(各酒造所に出向いて南蛮甕にS程詰めてもらうことにした)
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1/20  このところ雨の日が続いている。スイヒ→ろ過→陶土(沈殿泥土)の天干しができず、予定どうりに仕事が進まない。
雨の日は、それなりにやる仕事を探せばいろいろあるが、こちらの思いどうりに仕事が運べず厄介だ。それでも
長雨の日の間に縄文古酒甕として作った壺のタックァサー(貼り付)の文様が何点か浮き上ってしまったので、漆で埋め合わせ、
今回の壺の多くは、泡盛を入れ窯場で寝かせることにした。恩納酒造所の「満座」Dを甕に入れてもらう。




1/22  曇り空、陶土の天干しをあきらめ、泡盛大全なる本を持って北部の泡盛酒造所を回ることにした。
1斗半ほど入る甕を3つと小さい5升の縄文古酒甕を車に乗せる。1個を窯場近くの神村酒造所に降ろす。
名護市許田に入り、看板を探しながら車を走らすが、目につかない。許田の「道の駅」で、昼食をとり、尋ねることにした。
山原に行く際、「なかゆくい」(ひとやすみ)地点として立ち寄るが、桜祭りもあってか、人が溢れていた。駐車場には止められず、
建物裏の空き地に止める。食堂で中味汁を注文する。豚と牛があるらしく、豚にする。正月に食べる中味そのもの、美味しかった。
食堂で聞いたとうりに、今来た道を引き返す。58号線と高速道路の合流地点を過ぎ、100m程行くと、旧道路の真上を高速道が
ゲタになっている。そこを左に入り、こじんまりとした家並みの小道をさらに奥に進むと、行き止まりになった広場に辿り着く。山を背
に白壁の古民家風の高い建物が三棟現れた。駐車場の右手にギャラリーがあり、蔵元の泡盛の製品が多種類並べられている。
専属の窯元の酒器も展示されていた。直接持ち込んだ甕詰めには、対応していないようで、甕に入れ寝かせる酒は720mlの
古酒「寿」を買って、お客様自身で詰めて下さいとのことであった。本部と今帰仁を先に回ることにした。旧名護市役所前
より旧道路から本部へ。伊豆味の道沿いにはタンカン、カワブチ等のみかんが何軒も並んで出されていた。タンカンを
買いながら酒造所を聞き、ここでも通り過ぎた道を引き返す。山川酒造所に、2つ目の甕を降す。
甕詰の客のリストなのかボードにはさまれた用紙には住所と名前がぎっしり並んで書かれていた、その後に記す。
詰め終わった後連絡をお願いし最後は今帰仁へ。今帰仁〜本部へは行き慣れているが、逆になると、解りにくい、
途中雑貨店で、場所を聞き今帰仁酒造所に着く。一斗半と5升甕を事務所に降ろす。今来た道を引き返し、再び許田の
ヘリオス酒造所へ古酒「寿」Eを8本買い、持ち帰えり5升甕に詰める。






酒壺を造ることにはまり込んでしまった。もっとも昔から、酒を入れる、鬼腕(ウニヌテイー)、酒甕、抱瓶(ダチビン)、
嘉瓶(ユシビン)、カラカラ、ぐい呑み等の酒器は個展作品(縄文風オブジェの花器がほとんどなのだが)と、並行して
作っていたが。生活に密着した面からみれば酒甕は最も主力な位置をしめる陶器かと。古酒を寝かせた甕、それも先代からの
熟成した古酒であれば、正月、盆、祝いに甕から移して、ぐいのみで旨さを肴に語り合えるし、三味線でもあれば奏でるでしょう。
子供の頃、盆、正月にはよく見られた光景であった。祖父の代は皆三味線が上手かったが、父の代になってからは三味線箱
に納められたまま今日に至っている。私の代になって、泡盛の入った古酒甕は置くであろうが、はたして三味線箱の蓋
は開けられるのだろうか。焼き〆の南蛮焼きを作っていることもあって、泡盛を甕に寝かせる壺を求める客が近年多い。
泡盛コレクターも多く、一人で何百もの甕に泡盛を寝かせている輩もいる。家屋に泡盛を寝かせた甕が5甕もあれば、
いつのまにかコレクターとなってさらに集めだす。単に甕に酒を詰めて寝かせるだけのことであるが、コレクターたるや
古酒(クース)にかける心情が熱ぽい。タイ米と黒麹菌、泡盛のルーツ。釉薬の掛かっていない焼き〆の甕が良いこと。
仕次ぎの仕方から、10、20年後にコクのある芳醇な泡盛に熟成すると、バニラの香りがする等ランランと輝いた眼で
語り続ける。それほどにと、他人には思えるが、琉球王朝時代、金庫の鍵を家来に預けても、酒蔵の鍵は主人
自らが保管したといわれていたそうで、誇張されているにせよ、やはりそれ相応の価値があったのであろう。




自身の酒飲みに関しては長所も短所も紙一重と思われるが、小生はマイナスの面が大きく自戒の念が付きまとう、
もはやいいように解しよう。酒を甕に封じ込め何年もした後に、芳醇にして、まろやかな、コクのある熟成した
泡盛が味わえる。そんな泡盛に自分を重ねたい思いが湧くのかもしれない。


  


1/29  自宅を出て直ぐに、携帯が鳴り、窯場に行かずに、北部の本部に向かう。一斗五升、甕に入ったとのこと、
山川酒造所「珊瑚礁」Fを取りに行く。今日は快晴、陶土を瓦に載せ天干しは帰ってからにしよう。


  

やちむん塾とネット販売を止め忙しさも無くなり、窯を焚くペースも落ちたが、その分しばらく縄文古酒壺とデザインを
変えた酒甕を作ってみようと思っている。2/3 今帰仁酒造所より「今帰仁城」Gを甕に詰めました。との連絡あり