アーロン殿は何故老けたのか考察

 今回の語りスフィアのタイトルは単純明快にして単刀直入、何故アーロン殿は老化したのかを考えてみようかと(笑)。ティーダの回想シーンでは、アーロン殿はすでに35歳ヴァージョン。ということは、アーロン殿は10年間で段々と年を取ったわけではなく、死人になった時にはもうすでに渋アーロンだったのではないか、と想像できマス。そして渋殿の外見を見るにつけ、どう考えても35にしては老け過ぎな外見が不自然に感じられます。そもそも、死人は基本的に生前の姿を留めるのが定石(ベルゲミーネもユウナレスカも若いままだし)。そこで、アーロン殿は死人となった時に、外見を老化させなければならないような何らかの理由があったのではないか、という推測が成り立ちます。

 アーロン殿が年を取らなくてはならなかった理由を考えるにあたっては、ザナルカンド遺跡に辿り着いてから、渋殿が苦々しく
『あの頃の俺はただの若造だ。(中略)
 何かを変えたいと願ってはいたが…
 結局は何もできなかった。』
と言う、この台詞がカギになりそうな気がしマス。この台詞は、裏を返せば『もし自分がもう少し年齢を重ね、経験を積んだ人間であったなら、もしかしたら何かを変えられたかも知れない』ということだと思うのデス。死の間際にも、守れなかった友との約束や理不尽な死の螺旋を紡ぐユウナレスカへの怒りと共に、きっとそんなことが頭をよぎったのではないかと。更に、共に旅した仲間は2人とも自分より10歳年上。アーロン殿は何かにつけて自分の『若さ』を思い知らされたのではないでしょーか。

 それでは、死人とはどんな存在なのかをもう1回おさらいしてみましょう。前の語りスフィア05で儂は、死人とは『強い意志を持った人物が、自然死以外の原因で死を遂げたとき、その死の間際に遺された純粋な想いを核として、魔物にもならずスピラに留まる』存在だと勝手に定義づけました(苦笑)。死の間際にアーロン殿が抱いたさまざまな想いの中に、若い自分を腑甲斐無く思う心があったとすると、アーロン殿が死人となって年を取った理由もそこから自ずと見えてきます。死人は、死人本人の想いを核として形作られるが故に、外見にもその『想い』が反映されるのだろう、と。ぶっちゃけた話、もっと年取ってたらなあという願望がそのまま外見に反映されてしまったということですな(苦笑)。

 想いが死人の外見に反映するといえば、渋殿の傷痕もそれにあたるのではないかと踏んでます。死人は幻光体であるが故にある程度自由に外見をコントロールできるようデス(シーモアなんかはかなり自由自在)。しかしそうであれば、渋殿はわざわざあんな痛々しい傷痕を残しておく理由はないハズです。あの傷のせいで見た目もカタギの人間には見えないし、更には隻眼のせいで貴重な『命中』と『すばやさ』を犠牲にまでしてます。死人となった時に修正してしまうこともできたハズでしょうが、あの傷は渋殿にとっては彼の直接の死因にも関わった因縁の傷痕であり、なおかつあのユウナレスカの一撃は心にも大きな傷を残した。死人の心に残った傷は、そのまま外見にも反映されてしまったのでしょうな。そう考えるとあの傷痕がすごく切ないものに見えてくるのデスよー。