死人のヒミツを考察する会

 アーロン殿が死人であるということは、エボン・ドームから出た後の、彼自身の告白によって明らかになります。では、その死人ってのは一体何ぞやと言えば、強い意志を持った人物が、自然死以外の原因で死を遂げたとき、その死の間際に遺された純粋な想いを核として、魔物にもならずスピラに留まる存在だと、儂は解釈しておりマス。まあ、死人発生のメカニズムはこんなところなのでしょうが、では、死人そのものは一体どんな性質を持つものなのかというと、これがいま一つ判然としない。なので、ここでは『死人ってなんだろう』をテーマに話を進めて逝きたいと思っとります。

 では、ゲーム中で一番身近な死人であるアーロン殿を観察してみましょう。まず、毒を喰らってダメージを受けます。何だかゾンビ状態にもなります。戦闘不能になってブッ倒れもします。更に回復系の魔法やアイテムも普通に受け付けるようです。…こうして見ていくと、体構造は生者とあまり変わらないらしいということが分かります。しかし、ちょっとくらい不自然な特徴があったっていいハズだと、儂は思うのです。鏡に映らないとか(それ違う)。夢ザナル生活中、アーロン殿はどうやらティーダと同居していたのではないようですが、それは多分、いつもティーダの側にいてやりたいのはやまやまだが、何か別居せざるを得ない事情があったのでは?と勘ぐってみたり。儂が考えるに、その事情とは『四六時中ティーダと一緒にいることになれば、いずれ正体がバレてしまうから』だと考えておるのです。子供の観察眼はあなどれませんからねえ…(笑)。なので、つかず離れずの距離を保ちつつ見守ることにしたのではないかと。

 異界の入口で留守番していたアーロン殿、最後のほうはかなり苦しそうですが、異界と死人とは一体どんな関係にあるのかは、ゲーム中ではイマイチよく分かりません。しかし、あの場でアーロン殿を取り巻いていた幻光虫は、多分アーロン殿から出たものではないかな、という予想はつきます。そうなると、異界というものは、幻光虫を吸い寄せる作用を持った、幻光虫濃度の非常に濃い場所と推理できます。生者の幻光虫は肉体という器の中に封じられているため、異界の持つ引力に抗うことができる。しかし、幻光虫100%で構成された幻光体は、マトモに引力の影響を受けてしまうのでしょうな。異界のすぐ外でも、その引力は確実に幻光虫を引付け、ゆっくりとした幻光体の分解が始まってしまう。しかし、本人の意志はその引力に抗い、スピラに留まろうとする…この相反する作用が死人を苦しませるのだと考えております。異界とスピラの境目が、死人にとってはさしづめブラックホールにおける事象の地平面のようなものなんじゃないでしょうかねえ(分かりづらい説明だな)。