…「行ってきました」現地レポートです。

◎125は小山知良が全日本最年少記録でチャンピオンに輝く。
◎スーパーバイクは終盤戦に苦しんだ、井筒仁康が念願の全日本チャンピオンに輝く

開催日　2000年11月3･4･5日

R2-1もいよいよ第11戦・MFJグランプリ茂木大会が最終戦となる。チャンピオンが決まってないクラスは2クラス。泣いても笑っても今シーズン最後の戦いとなる。今大会に限り、ボーナスポイントとして、1〜15位に通常ポイントにプラス3ポイントが加算される。
　125クラスは、仲城がポールを獲得。ランキングトップの小山は、WGP茂木にワイルドカードで走っている。その時より走りに磨きがかかった。しかし決勝は、あくまでチャンピオンを取りに行く姿勢を崩さず、慎重にレースをするとコメント。
　250クラスは、大崎が2戦連続のポールポジションを獲得。ここのところコンスタントに表彰台に上っているだけに優勝の期待がかかる。久しぶりに嘉陽がフロントローにマシンを並べた。WGPでスポット参戦した500で何かを学んだのか？畠山は予選で骨折して欠場。
　スーパーバイククラスは、昨年ここで、スーパーバイク初優勝した、玉田が絶好調で予選2セッションともトップタイム。今回は世界選手権から岡田忠之・加藤大治郎、ワールドスーパーバイクからは柳川明・ボストロム・芳賀紀行らがスポット参戦する。カワサキ勢の柳川・芹沢は、雨の練習走行で転倒し2人とも鎖骨骨折をして欠場してしまう。残るボストロムは今一つのラップタイム。午後の予選において、井筒もS字コーナーの進入で接触転倒して、右肩を強打。井筒のチャンピオンに黄色信号が点滅した。

全日本選手権第11戦・MFJ グランプリ　ツインリンクもてぎ
予選結果　2000年11月4日

●125クラス
1位　仲城　英幸…最後のレースは勝ってシーズンを締めくくりたい、昨年のチャンピオン。
2位　小山　知良…WGP茂木にワイルドカードで参戦時よりタイムアップ一回り大きくなった
3位　大野　亮　…彼もティーンエイジャーだ。転倒が多いが表彰台を狙える速さはある。
4位　柚木　伸介…WGP茂木にワイルドカードで走っている。R6以来、表彰台から遠のいてる。

●250クラス
1位　大崎　誠之…2戦連続のP.P.ここのところ転倒もなくなり安定した速さがある。目指すは優勝のみ。
2位　中富　伸一…チャンピオン獲得後、今一つ走りに精彩がない。
3位　嘉陽　哲久…久しぶりのフロントローからのレース。優勝なるか！？
4位　稲垣　誠　…予選での走りが、今一つ決勝につながらない。課題は安定感。

●スーパーバイククラス
1位　玉田　誠　…今季4度目、TIに続き2戦連続P.P.を獲得。昨年の最終戦茂木でもポールtoウィン。
2位　伊藤　真一…前回のTIで今季初優勝している。タイヤをダンロップに変更してから上り調子。
3位　岡田　忠之…95･99年の鈴鹿8時間耐久の優勝者。昨年の茂木スポット参戦では3位。
　　　　　　　 94年の250でランキング2位。97年の500でランキング2位。500で4勝。
4位　加賀山就臣…昨年の茂木スポット参戦では2位。

全日本選手権第11戦 MFJ グランプリ　ツインリンクもてぎ 決勝結果　2000年11月5日

●125クラス
優勝　加藤　直樹…全日本初優勝。来年が楽しみなライダーだ。
2位　小山　知良…全日本最年少記録のチャンピオンに輝く。若干17歳。
　　　　　　　　　チャンピオン争いの菊池が転倒してからの走りは凄かった。
3位　柚木　伸介…久しぶりに表彰台をゲット。シーズン後半安定感に欠けたのが残念だった。

＊決勝レース
　スタートで飛び出したのは、仲城と菊池だった。チャンピオン争いにあとのない菊池だったが、仲城と2分0秒台の激しい競り合いを強いられた。一方、ランキングトップの小山はランキング2位の菊池のポジションを確認しながら、自分の居場所を考えながら走っていた。小山は6番手あたりに落ち着き、小山の予選タイムからおよそ1秒以上遅い、2分2秒台のローペースでこのグループを引っ張り周回を重ねた。ちょうどこの頃、菊池がダウンヒルストレート後のブレーキングで転倒を喫してしまう。この時点で小山の全日本最年少記録のチャンピオンが決定した。菊池の転倒にも助けられ、仲城は単独走行でトップをひた走っていた。
　レース中盤。菊池の転倒後、小山はそれまでとは違い、2分1秒台前半へとペースを上げ猛然とトップを走る仲城を追う。それに反して、仲城がセカンドグループに8秒近くのアドバンテージを得ていたが、ペースダウンを余儀なくされた。それは、仲城はソフトタイヤ（柔らかい）を装着しての出走だったため、序盤のハイペースがたたってしまったものによる。仲城は2分2秒台にペースが落ちる。小山と仲城の差は毎周確実に詰まっていった。
　レース終盤。小山は相変わらずのハイペースで周回を重ねる。それに釣られるように加藤と柚木もペースが上がり小山について行く。ラスト2周あたりになると、小山・加藤・柚木らがトップの仲城に追いつく。トップグループは一気に膨れ上がった。しかし、仲城はこの後もペースを上げることが出来ず、順位を落としてしまう。ラストラップでトップに立った小山だったが、ダウンヒルストレート後のブレーキングで加藤に抜かれる。しかし小山もコーナー立ち上がりで加藤に並ぶ。2台は並走しながらビクトリーコーナー（最終コーナー）へ入って行く。結果、加藤はトップを守って最終コーナーを立ち上がりそのままチェッカーを受けた。
1位には全日本初優勝の加藤。2位には全日本最年少記録のチャンピオンを決めた小山。3位には久しぶりに表彰台を獲得した柚木が入った。4位は藤岡。5位は仲城。

●250クラス
優勝　嘉陽　哲久…全日本初優勝。辛いシーズンだったが、今回の嘉陽は積極的だった。
2位　亀谷　長純…R6以来の表彰台獲得。レース後半の追い上げは素晴らしかった。
3位　酒井　大作…250クラス、初表彰台。今までとは違い、レース後半にタレる事無く走りきった。

＊決勝レース
　絶妙なスタートで、ホールショットを奪ったのは、3番手スタートの嘉陽だった。トップ嘉陽に酒井・野田・大崎などが食い下がる。2周目にはスタートで出遅れた青山と中富がトップグループに追いつく。トップグループに追いついてすぐに中富が2番手、青山が3番手と一気に浮上する。更にトップを狙う2台。しかし、2番手に浮上した青山と中富が、最終コーナーで接触して2台とも転倒してしまう。レース序盤から波乱の展開となる。
　レース中盤になると嘉陽が一歩抜きに出る。しかしその差は2秒程で、余談を許せない状況だ。2番手争いは激しく、野田・酒井・大崎。
　レース終盤になると2番手争いに、中洲賀・宮崎・関口らも追いつき混戦模様となる。更にその数周後には亀谷もこのセカンドグループに追いつく。数周に渡り激しく順位を入れ変えながら周回を重ねる。
　結局、嘉陽が6.5秒のアドバンテージを築いて全日本初優勝を上げる。2位には久しぶりに表彰台を獲得した亀谷。3位には250クラス初の表彰台を獲得した酒井が入った。4位は宮崎。5位は中洲賀。6位は野田が入った。

●スーパーバイククラス
優勝　玉田　誠…昨年の最終戦茂木と同じく、ポールtoウィン。今季2勝目。
2位　伊藤　真一…最終ラップのミスが敗因となってしまった。
3位　芳賀　紀行…今回で2戦目となる茂木で表彰台に立てたから「まぁいいかな」。　
4.岡田忠之　5.吉川和多留　6.加賀山就臣　7.山口辰也　8.梁明　9.井筒仁康

＊決勝レース
　シグナルがグリーン。加賀山が絶妙のスタートを切り第1コーナーへ入って行く。北川は第1コーナーで転倒。1周目は、加賀山・梁・伊藤・玉田・岡田・芳賀・辻村と言ったオーダー。2周目のダウンヒルストレートのブレーキングで、伊藤が加賀山をパスしてトップに出る。この後、伊藤は14周目までトップを走行。3周目には芳賀が梁をパスして3番手に上がるが、4周目には梁が抜き返す。しかし6周目には梁がオーバーランして順位を落とす。トップは伊藤・加賀山・芳賀・玉田・梁・岡田・吉川・山口と続く。7周目には玉田が芳賀をパスして3番手へ浮上。9周目には玉田が加賀山をパスして2位に上がるが、トップ伊藤は2秒ほどのアドバンテージを得ている。10周目には芳賀が加賀山を抜き3番手となる。この後、加賀山は徐々に後退してしまう。
　レース中盤、ペースを上げた玉田が伊藤との差を徐々に詰め、12周目には、伊藤の背後にピタリと迫る。玉田について行けなかった芳賀は、単独の3番手走行となる。トップグループは玉田・伊藤、3番手は単独走行の芳賀、以下、加賀山・岡田・吉川・梁・山口・辻村となる。注目の井筒は単独の11番手走行。このままの順位でゴールすれば、井筒のチャンピオンが決定するのだが…。
15周目に入ると玉田は伊藤をパスして、今レース初めてのトップとなる。
　レース後半の17周目には、伊藤が玉田をパスしてトップへ返り咲く。ホンダのトップでゴールしたいと常々言う玉田。ホンダの看板を背負って立つ伊藤。まさに意地のぶつかり合いだ。
迎えた最終ラップの22周目。トップを走るのは伊藤、第1･2コーナーとブロックラインを通り、第3コーナーへ。ここでもブロックラインで早めにコーナーのイン寄った。が、しかし伊藤はブレーキングし終えるのが精一杯で若干失速する。その隙を逃さなかった玉田は、第3コーナーと第4コーナーの短い区間で伊藤をパス。
　このまま玉田は逃げ切りトップでチェッカーを受ける。2位には玉田に破れた伊藤。3位には予選でセットアップに苦労していた芳賀が入った。WSBランキング2位の意地を見た。9位に入った井筒が初のチャンピオンに輝いた。加藤と渡辺はレース中盤にマシントラブルでリタイア。辻村は最終ラップにマシントラブルでリタイアとなった。

○井筒が初のチャンピオンを獲得した。
○梁は2年連続のランキング2位となってしまった。
○最終戦の玉田は強かった。玉田がTIで言った「絶対勝ちます」を有言実行した。