豊川
河口付近
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写真左:前芝の燈明台 写真右:しじみをつむおじさん
前芝の燈明台は,豊川放水路河口付近の堤防沿いにあり,愛知県の指定史跡である。。
この燈明台は,寛文9年(1669年)に,吉田藩主小笠原長矩(ながのり)によって建てられた。
その前年,吉田藩の御用船が,夜中に現在の蒲郡市三谷沖で,暴風雨にあって遭難したことが建設のきっかけ
だそうだ。この燈明台は,明治40年(1907年),近くに県営燈台が建てられるまで,約240年にわたって
付近の航海安全に,役立ったそうである。
「今日は,20だな」
軽トラの荷台に積まれたしじみの袋を数えたおじさんが,つぶやいた。
この方は,前芝海岸の堤防で,豊川(とよがわ)でとれたしじみを買って,前芝の問屋さんに持っていくという。
ちょうど,2人のおばさんがとれたしじみをはかりに載せて量っていた。1袋20kgで,5000円だそうである。
おじさんは,「年寄りのこづかいかせぎだよ」と,言った。
でも,この人たちのおかげで,私たちはおいしいしじみを食べることができるのだ。なんだかうれしくなる。
平成11年7月取材 (豊橋市前芝町にて)
海苔創業者杢野甚七碑 しじみの重さを量る
取材に行って
前芝の燈明台の写真を写しに来た。しかし,なかなか絵になる写真が撮れない。そんなとき,堤防の切れ目から
見えたのが,この人たちだ。勝手に写真を撮っては,あやしまれるので,おそるおそる近づいてみると,どうやらしじみ
の重さを量っている。
「やったあ」
前芝といえば,その昔は,漁業の町。漁業に関係するテーマで,写真が撮れないかと思っていた私にとっては,
本当にグッドタイミングであった。私が,写真を撮った数分後には,おばさんたちは,船で沖へ出発。しじみを買った
おじさんも,問屋へしじみを売りに出発した。
「豊橋・くらしのなかの史跡」の取材を通して,「その史跡を訪れてみることがいちばん大切だ」と実感している。
実際に,行ってみると,ガイドブックでは得られない何かがきっと見つかるからだ。