牟呂用水の思い出 File−02

★笹舟レース
                                       島 文男さん

 私の家は、花田小学校から牟呂用水沿いにあります。登下校はいつも今の花田小の
子ども達と同じく、牟呂用水の流れを見ながらの毎日です。春のうららかな日差しのもと
田植えの季節になって牟呂用水に水が入ると、仲のよい友達3人ぐ らいで帰りはいつも
一緒でした。

 誰が言い出すのでもなく、「笹舟を作って競争 だ!」笹の葉で作ったそれぞれじまんの
船で、橋の上からよーいドン!パッと指を放すとレースの始まりです。「僕のが一番だ。」
「俺のが早いぞ。」子供の うちは空想が現実、すぐその気になってしまいます。実際に橋
の上からじーっと流れを見つめていると。まるで大きな船に乗った気分です。

「あ、僕の船が座礁 した。大変だ。」レースに勝つために、木の枝を拾ってきてつついたり、
届かなければ、障害物目掛けて石をぶつけたりしました。(今なら、おこられるかな?)
やっと、動きだしたと思ったら、今度は、ナイアガラの滝だ。(もちろん、笹舟のスケールで
すがね。)
 やあ!やあ!わいわい!言いながら、みんなで 決めたゴールまでたどり着くのです。
惟が、私のとても楽しかった思い出です。

 その頃の牟呂用水の岸には、ところどころ石段が川面まで降りていて、冷たく て気持ち
の良い流れに触れることも出来ました。そういえば、洗濯をしているお ばあさんも見かけ
ました。桑の実や、イチジクの木などがあってランドセル背負ったままよく食べたっけ。懐
かしいですね。

 私達の時代(今から、ざっと40年近く前)は、車も少なくて危ないことなんて、あまりなかっ
たんですね。空き地で暗くなる迄、遊んでばかりいました。そのかわり、どこかのおじさんに
叱られることも今よりずっと多かったのですけどね。

File01ヘ
 , 牟呂用水/羽根井・花田