K100資料室・電装品編 '06/11/26更新

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リレー類
 電気仕掛けのK100は、ガソリンタンク下にいくつかのリレー類が配置されている。リレー類これらのリレーについて少し調べてみた。
タンク下のリレーボックスの中には10個のリレー類がある。4Vの回路図を元に名前と用途、パーツナンバーを挙げてみると・・・
1、Indicator transmitter
  いわゆるウインカーリレー。リレーボックスの左手前の黒い箱。
  昔は緑色だったらしい。
リレー類   61 31 1 459 224 (2V/4V共通)
2、Starter relay
  スターターリレー。リレーボックスの右手前の黒い箱。
  溶着しやすいのはこれ。
  61 31 1 459 008 (2V/4V共通)
3、Bulb monitoring device
  リレーボックスの左中央の黒い箱。
  テールランプやウインカーの球切れを検知しているのはこれ。
  61 31 1 459 003 (2V/4V共通)
4、ABS relay
  リレーボックスの奥一番左の青いリレー。
  イグニッションに連動して前後のABSモジュレータ−に電源を供給している。
  61 31 1 459 676 (4V、〜'93.6)
5、ABS warning relay
  リレーボックスの奥左から2番目の青いリレー。
  ABS警告ランプに電力を供給するリレー。点滅信号はABSコントロールユニットより。
  61 31 1 459 675 (4V、〜'93.6)
 
これ以降の5個はボックスの奥に並んでいる黒いリレーだが、パーツナンバーは全て同じ。
  61 31 1 459 677 (4V) *2Vは別
6、Motoronic relay
  イグニッションスイッチON、キルスイッチOFFで作動し、モトロニックユニットやインパネに電源を供給する。
7、Fuel pump relay
  上記モトロニックリレーがON、サイドスタンド格納で作動。フューエルポンプとインジェクターに電源を供給する。(インジェクターへはプラスコモンを供給。実際の動作はモトロニックがマイナス側で制御)
8、Horn relay
  イグニッションスイッチがONでホーンボタンを押した時に作動。ホーンに電源を供給する。
9、Relief relay
  別名「Load shedding relay」。イグニッションスイッチがONで作動し、ホーンや灯火類に電源を供給する。ただし、スターターモーターを回しているときだけはOFFし、スターターモーターに電力を集中させる。
10、Fan relay
  モトロニックからの信号で作動し、ファンモーターに電源を供給する。なお、プラス電源は上記のリリーフリレーを介しているのでエンジン始動時にはOFFする。
 
電気回路図
 回路図はフレーム編エンジン編に分かれている。これは4バルブ'91−'92のものだが、基本的な考え方は他のモデルでも似たようなものである。なお、細かい仕様や配線の色は実機と違っていることがあるので注意が必要だ。
 以下に、いくつか例をあげて解説する。
1、冷却ファン     ・・・リリーフリレー経由なので、セルを回しているときは動作しない。
 ・センサー入力系: 「GND」〜「水温センサー」〜(茶/黄)〜「モトロニックユニット」
 ・ファンリレー入力系: 「バッテリー(+)」〜(赤)〜リリーフリレー接点」〜(緑/青)〜
   「7番ヒューズ」〜(緑/茶)〜「ファンリレーコイル」〜(青/黄)〜「モトロニックユニット」
 ・ファンリレー出力系: 「バッテリー(+)」〜(赤)〜「リリーフリレー接点」〜(緑/青)〜
   「7番ヒューズ」〜(緑/茶)〜「ファンリレー接点」〜(紫/黄)〜「ファン」〜(茶)〜「GND」
2、リリーフリレー 動作原理図
 ・リレー入力系: 「バッテリー(+)」〜(赤)〜「イグニッションスイッチ」〜(緑)〜
   「リリーフリレーコイル」〜(黒)〜「セルモーター(+)」〜「(セルモーター)GND」
    *リリーフリレーのコイルの内部抵抗が大きいため、セルモーターに流れる電流は微弱。
                                       (=モーターは回らない)
    *セルモーターが回ると、リリーフリレーのコイル両端が同電位(+12V)になるため、リリーフリレー
     はOFFする
    ★★ トラブル事例 ★★
3、ホーン     ・・・リリーフリレー経由なので、セルを回しているときは動作しない。
 ・ホーンリレー入力系: 「バッテリー(+)」〜(赤)〜「リリーフリレー接点」〜(緑/青)〜
   「7番ヒューズ」〜(緑/茶)〜「ホーンリレーコイル」〜(茶/黄)〜「ホーンスイッチ」〜
   (茶)〜「GND」
 ・ホーンリレー出力系: 「バッテリー(+)」〜(赤)〜「リリーフリレー接点」〜(緑/青)〜
   「7番ヒューズ」〜(緑/茶)〜「ホーンリレー接点」〜(緑/灰)〜「ホーン」〜(茶)〜「GND」
4、スターターモーター
    ・・・ニュートラルが出ているかクラッチを握っているかどちらかでないと動作しない。
 ・スターターリレー入力系: 「バッテリー(+)」〜(赤)〜「*番ヒューズ」〜(赤/黄)〜
   「モトロニックリレー接点」〜(緑/黒:★A)〜「クラッチスイッチ」〜(黒/緑:★B)〜
   「スターターボタン」〜(黒/黄)〜「スターターリレーコイル」〜(茶)〜「GND」
                  (緑/黒:★A)〜「ギアポジションインジケータ」〜(?/?)〜
   (ニュートラルランプ)〜「逆流防止ダイオード」〜(黒/緑:★B)〜
 ・スターターリレー出力系: 「バッテリー(+)」〜(赤)〜「スターターリレー接点」〜
   (黒:★C)〜「スターターモーター」〜「GND」
   (黒:★C)〜「リリーフリレーコイル」〜・・・
5、モトロニックリレー
 ・リレー入力系: 「バッテリー(+)」〜(赤)〜「イグニッションスイッチ」〜(緑)〜
   「キルスイッチ」〜(緑/黄)〜「モトロニックリレーコイル」〜(茶)〜「GND」
6、ヒューエルポンプ     ・・・サイドスタンドが出ていると動作しない。モトロニックも関係。
 ・ポンプリレー入力系: 「バッテリー(+)」〜(赤)〜「イグニッションスイッチ」〜(緑)〜
   「キルスイッチ」〜(緑/黄)〜「サイドスタンドスイッチ」〜(緑/赤)〜「ポンプリレーコイル」〜
   (青/茶)〜「モトロニックユニット」〜・・・
    *オプションのサイドスタンドリレーが装着されている場合、この動作とは違う。
 ・ポンプリレー出力系: 「バッテリー(+)」〜(赤)〜「6番ヒューズ」〜(赤/緑)〜
   「ポンプリレー接点」〜(緑/白)〜「ヒューエルポンプ」〜(茶)〜「GND」
7、インジェクション ソレノイド     ・・・電源供給側はヒューエルポンプリレー出力系と共通。
   「バッテリー(+)」〜(赤)〜「6番ヒューズ」〜(赤/緑)〜「ポンプリレー接点」〜
   (緑/白)〜「イグニッションコイル(4個並列)」〜(黄/灰)〜「モトロニックユニット」
    *4気筒同時噴射。
8、ヘッドライト(Hi/Lo/Pass)     ・・・リリーフリレー経由。
 Hi/Lo: 「バッテリー(+)」〜(赤)〜「リリーフリレー接点」〜(緑/青)〜
   「左ハンドルスイッチ(通過のみ)」〜(緑/青)〜「右ハンドルスイッチ」〜(白/黄)〜
   「左ハンドルスイッチ(Hi/Lo切替)」〜(白:★D または黄色)〜「ヘッドライト」〜(茶)
   〜「GND」
 Pass: 「バッテリー(+)」〜(赤)〜「リリーフリレー接点」〜(緑/青)〜
   「左ハンドルスイッチ」〜(白:★D)〜「ヘッドライト」〜(茶)〜「GND」
   (白:★D)〜「Hiビーム警告灯」〜(茶)〜「GND」
9、メーター照明     ・・・右ハンドルスイッチまではヘッドライトと共通。
   「バッテリー(+)」〜(赤)〜「リリーフリレー接点」〜(緑/青)〜
   「左ハンドルスイッチ(通過のみ)」〜(緑/青)〜「右ハンドルスイッチ」〜(灰/青)〜
   「メーター照明球」〜(茶)〜「GND」
    *回路図ではイグニションをONにすると即点灯するように読めるが、実際には点灯しない。
    イグニッションスイッチからの(灰/青)は接続されていない??
10、チャージランプ
   「バッテリー(+)」〜(赤)〜「*番ヒューズ」〜(赤/黄)〜「モトロニックリレー接点」〜
   (緑/黒)〜「チャージランプ」〜(青)〜「ジェネレーター」〜★E
    *エンジンが停止している時はジェネレーター側(★E)がGNDレベルなので、ランプは点灯する。
    *エンジンを始動し、ジェネレーターが発電を始めると、★Eの電位はバッテリー側と同様になる
     ため、ランプは消灯する。
    *エンジン回転が低下し、ジェネレーターの発電電圧がバッテリー電圧を下回り始めると、
     ランプはぼんやりと点灯する。
    *内臓レギュレーターの故障などでジェネレーターの出力電圧が高くなりすぎると、ランプが点灯
     する。(ランプに流れる電流の向きはエンジン停止時と逆)
11、油圧ランプ     ・・・ランプの+側端子まではチャージランプと共通。
   「バッテリー(+)」〜(赤)〜「*番ヒューズ」〜(赤/黄)〜「モトロニックリレー接点」〜
   (緑/黒)〜「油圧ランプ」〜(茶/緑)〜「油圧スイッチ」〜(GND)
 
スピードメーター駆動回路
 スピードメーターが不調になったのを期に、回路構成を徹底的に調査してみた。調査した結果は全体構成図パルス整形基板回路に分かれている。
構成
 ・パルスセンサ: ファイナルギアボックスに取り付けられており、後輪の回転速度に応じたパルスを発生する。信号レベルはかなり微弱で1V程度。
 ・シート右下コネクタ: パルスセンサとメインハーネスとの接続点。水がかかりやすいので、最もトラブルの原因となる場所。
 ・メータ裏コネクタ: メインハーネスとメーターハウジングとの接続点。
 ・パルス整形基板: パルスセンサが発生した微弱なパルスを整形、増幅する。このパルスはスピードメーター回路とウインカーキャンセル回路に送られる。
 ・スピードメーター基板: スピードメーター、距離計などとひとかたまりになっている。スピードメーターの校正はこの基板にあるポテンショで行う。
 
ギアポジション表示回路
 ギアポジション表示回路はメーターの中にあり、回路図でいうと「エンジン編」の一番左の部分である。この図面は4バルブ'91−'92のものだが、基本的な考え方は他のモデルも同じである。
1、ギアスイッチ
 トランスミッションの後ろに取り付けられている。このスイッチはスイングアームの後ろにありアプローチするのはかなり大変な作業になるため、交換は最後の手段としたい。
 ギアスイッチはロータリー式で、信号線は3本、コモン線1本である。3本の信号線とコモン線の間の導通のありなしでギアポジションに応じた信号を出すようになっている。
 このスイッチの出す信号は別表の通り。
  茶   : コモン
  黄/青 : 1
  黄/黒 : 2
  黄/白 : 4
になり、コモンとの間で導通が「ないとき」がその数字に相当する。例えば3速なら「1」+「2」なので、黄/青(1)と黄/黒(2)がコモンと導通がなく、黄/白(4)だけがコモンと導通がありる。ニュートラルは「0」相当で、3本の線の全てがコモンとつながっている。
 ギアスイッチとメーターユニットの間を接続しているコネクタはタンクの下にあるので、ここを抜いてジャンパー線で別表の通りの信号を作ってやればギアスイッチが壊れているかどうかは判断できる。
2、ギアポジション表示基板
 メーター内にあり、上記ギアスイッチからの信号を受けて「ギアポジションの表示」および「ニュートラル信号の出力」を行っている。
 メーター裏のコネクタで、ギアスイッチからの信号は2,3,4番ピン、スターターを回す回路につながるニュートラル信号は5番ピンである。
 
グリップヒータ回路
 グリップヒータの回路図は回路図はこちら。図面は1993年以降のK1100RS、K1100LTとなっているが、4Vも同様のようである。
Hi/Lo切り替え方法
 ヒューズ経由でグリップヒータ回路に送られてきた+12Vライン(緑/黒)はハンドルパッド部のHi/Lo切り替えスイッチでHi側の電線(黒)またはLo側の電線(オレンジ)に接続されるが、分圧線このLo側の電線はただの電線ではなく抵抗を持っており、ヒータ本体にかかる電圧を減圧する仕組みになっている。
 実測してみたところ、Lo側の電線(オレンジ)の抵抗値は約2オーム。ヒータ本体の抵抗値は約5オーム強なので、Lo側に切り替えた時はヒータ本体にかかる電圧は約8.6Vとなる。
 なお、分圧しているということはこのオレンジ側の線も発熱しているはずだが、計算してみると5.7W。この程度ならタンクの下に押し込んであっても大丈夫である。
 

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