【トラブル事例】 2004.10.19 New!

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 スターターモーター不良により灯火類が点灯しなくなる
 Yさん K75S ’86年式

症状
・ヘッドライトが点灯しない。メーターのライトも点灯しない。ホーンが鳴らない
・パーキングライトは点灯する
・スターターモーターが回らない。スターターリレーからはカチカチと音がする
・ウインカースイッチを押している間だけハザードになる
・押し掛けではエンジンがかかる
・エンジンがかかるとライトが点灯することもあるが、消えてしまうこともある
・ギアを入れてバイクを前後にゆすったりすると直ることがある
・直る時はライト、ホーン等全てが直る
・電装系の改造等は特に行っていない
 
修理履歴
・ヒューズを新品に交換 → 効果なし
・イグニッションスイッチ裏ハンダやり直し → 効果なしリレーボックス内
・リレー、コネクタ類清掃 → 効果なし
・右コンビネーションスイッチ清掃 → 効果なし
・バッテリー充電 → 効果なし
・ハンドル回り配線導通チェック → 問題なし
・リレーボックス内でリリーフリレーとホーンリレーを入れ替え → 効果なし
・イグニッションスイッチONの状態で7番ヒューズの電圧を測定 → 電圧なし
・リリーフリレーを抜いた状態でリレーコネクタの電圧を測定 → 電圧なしスターターモーター内(清掃後)
・スターターモーター分解点検 → ブラシの粉がスプーン一杯ほどたまっており、コミュテータ部分も変色
・コミュテータ研磨、ブラシ交換 → 症状解消!!
 
解説
 リリーフリレーはスターターモーター動作時にヘッドライトやホーンへの電源を遮断し、スターターモーターに電力を集中させる役目を持っている。
リリーフリレー動作原理図
★イグニションキーがONでスターターを回していないときの電気の流れ方は図の左半分。イグニション系からの+12V電源はリリーフリレーのコイルを通り、さらにスターターモーターを経由してGNDに落ちる。スターターモーターの内部抵抗はリレーのコイルと比べてかなり小さいので12Vのうちほとんどがリレーにかかり、スターターモーターが回ることはない。
★スターターボタンを押したときの電気の流れ方は図の右半分。スターターリレーの接点が閉じるので、電流がスターターモーターに流れ込む。このとき、スターターモーターの+側端子が「+12V」になるが、ここにはリリーフリレーのGND側もつながっている。リリーフリレーの電源側の電圧も「+12V」なので(+12)−(+12)=0 となり、リリーフリレーはOFFする。


 今回のトラブルは、スターターモーターのブラシかコミュテータの酸化皮膜により抵抗が大きくなり電圧降下を起こした結果、リリーフリレーのコイルにかかる電圧がその分減ってしまったものと思われる。
車体をゆすると動作したのは、ブラシ部分の当たりが車体の振動で変化したため。パーキングライトが点灯したのは、リリーフリレーを経由していないため。また、ウインカーの誤動作はリリーフリレーが中途半端にONしウインカーリレーにかかる電圧が低下していたのではないかと推測される。

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