『秋の夜長に徹夜して読む本!第参部』



☆『リプレイ』 ケン・グリムウッド
                         (新潮文庫) 税込み600円

 リプレイを読んだことがないと言う方。絶対、後悔はさせません。一度、読んで見て下さい。下手な推理小説よりも、最後が気になって気になって仕方がない……そういう小説です。決して最後から読まないで下さい。
 平成2年初版ですが、おそらくさほど捜さなくても見つかると思います。

☆『ファザーランド』 R・ハリス
                         (文春文庫) 税込み600円

 ベルリン、1964年、冬。一人の老人の死体が発見された。それが全ての始まりだった……。第二次世界大戦に勝利し、全ヨーロッパを支配する大ナチス帝國が秘匿した恐るべき秘密とは? うーん、なんとも「そそる」背景世界ではありませんか。ああ、内容は流行りの仮想戦記物とは全く趣がちがいますので念のため。ともかく、読んでみて下さい。いやあ、まさかこういう展開になろうとは……あ、そうそう、この本、決して後書きから読んではいけません。
 初版は1992年ですから、入手はさほど困難ではないと思います。

☆『宇宙船∞(メビウス)号の冒険』 川又千秋
                          (新潮文庫) 税別320円

 2489年、人類は絶滅した。残された機械知性体は最後の人間メビウスの遺言を果たすべく、巨大な恒星間宇宙船を建造する……。この小説でもっとも考えさせられるのは、序章で人類が絶滅するくだりでしょう。おそらく、このやり方で人類を滅亡させた小説はこれが初めてではないでしょうか? 何故人類は絶滅したのか……。一度、読んでみて下さい。人類絶滅が現実問題としてひしひしと迫ってきます。初版は昭和60年ですが、そんなに苦労しなくても見つかると思います。
 ちなみに、「惑星オネイロスの伝説」という外伝も出ていますが、こちらは本作ほどのインパクトはありません。興味を持たれた方はどうぞ。

☆『火星甲殻団』 川又千秋
                       (ハヤカワ文庫) 税別420円

 ともかくハードなSFです。戦闘妖精雪風を読んで感動した人なら、読んで見て損はしないと思います。人工知性体と人間の関係を描いた小説ですが、常に人工知性体を冷たく、最後まで人間とは相容れないものとして描いた戦闘妖精雪風とは、また違う描き方がされています。しかし、最後は……。後は、読んで見て下さい。続編として『──火星甲殻団──ワイルドマシン』が出ています。
 90年初版ですが、本屋で捜すのは難しいかもしれません。(ハヤカワだというのに……)


もどる

Presented By Dark Knight.