スペシャル

さよなら西部警察
「大門死す! 男達よ永遠に・・・・」

監督:小澤啓一 
脚本:永原秀一・峯尾基三


内容 感想
1984年、初夏。大門は国際刑事警察機構のシンポジウムに出席するためにパリにいた。ある時大門は、パリ市警に誘われ、国際テロリストの首領であるガストン・グレイスの逮捕に同行することになった。パリ市警に包囲されたガストンは、射殺されてしまう。
その5ヶ月後、東京で、殺害だけが目的の殺人事件が発生する。被害者はフランス国籍の二人。彼らは国営放送のプロデューサーで、来日の目的は日本でのドキュメンタリーの取材であった。その滞在ホテルから、謎のコードネームが記された文書が発見され、それを基に捜査が進む。そのコードネームは国際テロリストであり、
ガストンの後継者である藤崎礼示であることを掴む。
捜査が進む一方
ジュンは、アコとの交際を大門に認めてもらうことを決意する。しかし大門は、ジュンにとって警察本部に赴任するかどうかという大切な時期であることを考慮し、上司としてまたアコの兄として悩んでいた。が、その時に事件は核心に入ろうとしていた。藤崎を追っていると言うルポライター・唐沢と名乗る男から電話が来たのだ。
大門は直接唐沢と会って話を聞く。唐沢は、世界中のルポライターを経由して裏情報を手に入れていると言い、藤崎が北海道の武器弾薬輸送を狙うという情報を伝える。大門軍団は、その情報を基に北海道へその警備に赴くが、藤崎のテロリストに狙われて、さらにジュンが重症を追うことになってしまう。大門は、藤崎の真の狙いが武器ではなく、大門軍団の命であることに気付く。大門の推測は、その後防衛隊の武器庫から多量の武器が奪われる事件が発生することで、確信を得る。
東京に戻った
大門は、まず唐沢の存在に疑問を持つ。そして、大門軍団の捜査により、唐沢が実は日本にいないということを掴んでしまう。唐沢が実は藤崎自身であったのだ。
一方、日本経済の根幹を担う位置にいる亜細亜電機工場に爆破テロが発生する。さらに岡山では、亜細亜電機の
会長が、武田鉄矢司会の公開生番組中に、藤崎らによって襲撃されてしまう。そして、会長と観客の女の子を人質に取る。また静岡では、亜細亜電機社員の乗るバスがジャックされる。
会長が誘拐されたことで、ついに警察本部長が動き出す。そして、藤崎の要求もあり、本部長の指示で大門軍団は捜査から外されてしまう。
藤崎は、2000万ドルを第三国へ流し、さらに海外脱出を目論み、それらを政府に要求する。本部側は、その要求をただ飲み続けるだけであった。
大門は、木暮に対して突然、ジュンアコの交際を認めることを言い出す。木暮はその大門の意識の変化に、重大な決意を悟ってしまう。その決意とは、自分の首をかけて藤崎を逮捕することであった。またそれに気付いた大門軍団も、大門に命を預け、共に壮大なる命令違反を実行することになる。そこには、重症から奇跡的に回復したジュンの姿もあった。
大門軍団は、
藤崎らの要求する2000万ドルを強奪する。そして、藤崎らの潜伏する剣島へ乗り込む。大門軍団と藤崎らのテロリスト達の死闘の末、藤崎は自らの手榴弾に倒れ、誰もが大門軍団の勝利を確信した……と思いきや、傷だらけの大門を射抜く一発の銃弾。藤崎の女がまだ生き残っていたのだ。
大門は、部下達に囲まれて、壮絶な最期を遂げる。
最後に残された大門軍団達と
木暮、そしてアコ木暮大門の意志どおり、ジュンとアコの結婚を執り行う。

●今回はパリの撮影に始まり、北海道、岡山、九州など、色々なところを移動している、伏線のためとは言え、3時間の映画で考えても、非常に豪華であった。さすがテレビ映画の最終回と言ったところか。

●また今回の見所は、テロリスト藤崎を追う話と、ジュンとアコの交際の話が見事にうまく交錯されていることにも注目したい。ドラマに深みが生じたシナリオになっている。

●本庁での警察上層部の話し合いのシーンで、オフレコにして、重々しい音楽だけを流している。口パクだけであるのに、かなり秘密めいた雰囲気を醸し出すことに成功している。その後の首相官邸での上層部の話し合いのシーンも同様である。

●北海道・夕張の爆破ロケはすごい。車載カメラを始め、空、陸上、また建物内のカメラなどを駆使して、ド迫力の映像を生んでいる。また、爆発しそうなトレーラーを、大門が運転して建物に後ろから突っ込むシーンでは、ピンチの大門→大門に走り込むジュン→撃たれるジュン→そして大爆発、と流れが奇麗にまとまっていて、見事なシークエンスと化している。大門射殺のシークエンスの次に迫力あるシークエンスであった。

●北海道から帰ってすぐ、大門が唐沢に化けた藤崎と、喫茶店で会うシーンで、テーブルの上に置いたサングラスの反射を利用して、唐沢の姿を映している。鏡を利用して、平面的な画面に空間的な深みを生じさせ、小道具を生かした粋な映像を作り出していた。

●亜細亜電気関係のテロシーンでも、オフレコ手法が使われた。ここでは、その映像にかぶって、ワルキューレの騎行を流して、異様な雰囲気を生んでいた。

●係長だけを差し置いての命令違反に、係長が悔し涙を流すのという逸話を入れるのは、おもしろい。ドラマの展開において、非常にパンチが効いている。

●剣島に乗り込むシーンは、まさに戦争さながらの迫力! 撮影も相当の労力がかかっているはずである。

●大門と藤崎の決着のシーンでは、スローモーションを駆使して、劇的な映像を生んでいる。近づく大門軍団→大門の「来るな!」という必死の叫び→大爆発→一時は助かったと思われた大門→喜び駆け寄る大門軍団→しかし藤崎の女が大門を狙う→それが放つ銃弾が大門に! 再びスローモーション。そして皆の叫び声がエコーする。この展開は、本当に画面から見放せない、完璧なものであった。

●大門殉職のシーンは、ハトの「血が止まんねえよ!」とタイショーの「あんたが死んだら、これから俺たちは誰を頼りに生きりゃいいんだ!」などの名ゼリフが残り、放映後有名なシーンとなった。大門軍団の迫真の演技に重ね、さらにテンションがものすごい。

●また霊安室での木暮課長と眠る大門との対峙のシーンも有名。ドラマを超え、石原裕次郎の渡哲也に対する想いが語られている。大門にスポットライトが当たる中、裕次郎の演技を超えた涙に感動せずにはいられない。

●最後、木暮課長が埠頭で、大門と木暮の警察手帳を投げてエンディングに入るのが、非常に印象的であった。


壊れた車(内爆破)……6(4)意外に少ないが、代わりに建物の爆破が多かった。
死者……約20人+大門圭介

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