2月2日(月) 谷底を目指せ〜サウスカイバブ・トレイルの旅〜 トレイルを下りはじめて1時間。最初の休憩所に着いた。
■10:00AM シーダー・リッジ到着 とても静かで巨大な渓谷の内部。 だだっぴろい空間の中に自分たちがポツンと存在している。 その孤独感がなんとも心地よい。 でも、たまにほかの旅人を見かけたり、人の気配を感じたりするときは安心感を覚える。 登りのハイカーとすれ違う度に、「Hello」「Hi」「Good Luck」等と声をかけあう。 だいたいみんな笑顔で挨拶を返してくれるけど、なんか疲れてるような・・・。 僕らは下りでルンルン気分だが、すれ違う人たちは谷底から登ってきてるのだ。明日は我が身。 途中、トレイル上にある大きな岩盤を、ドリルで砕く作業をしている人がいた。 かたわらには、彼が乗ってきたラバが繋がれている。自分たちのような素人の 足でも谷底を目指せるのは、こういったスタッフが道を整備してくれているおかげ。 「ガガガガガ!!!」とかなり大きな音を出していたのだけど、 通り過ぎてしばらくするとその音もはるか後方の谷の中に消えて、また静かになる。 ・・・・。 時には急な崖をスイッチバックで、また時には緩やかな斜面をまっすぐにのびる道。 複雑な地形の渓谷内の少しでも歩きやすいところを縫うように、トレイルは続く。 どんどん変わる風景。 真っ赤で巨大な岩のかたまり、まばらに生えている植物などを目にしつつ、道を進んで行く。
■11:20AM リスに出会う この辺りで緑色のリス2匹と出会う。ちょっとホコリっぽい砂漠の植物の色。 保護色で注意しないと見失ってしまいそう。 「手を出す」「えさをやる」等は自然保護の観点から御法度なので、 距離を保ったままカメラに収めようとしたが、 岩と岩の間へ隠れてしまったきり見えなくなる。 生き物なんて住んでそうには見えなかったが、こんなところで何食べて生きているんだろうか。 ほどなくして登りのラバ5頭とすれ違う。 観光客のツアーではなく、物資を運ぶラバらしく、先頭の1頭だけに人が乗ってる。 後ろの4頭は、おとなしく先頭について歩く。 たった今僕らが下りてきた斜面のスイッチバックを、折り返し折り返しきちんと並んで登って行く。 エライもんだ。【写真】
■11:30AM コロラド川が見えた 歩きはじめて、川が谷の死角に入って見えなくなると音もパッタリ消える。 途中暑くなり、コートを脱いでリュックにつめる。 やや緑がかった地層を歩いて行くと、緩やかな斜面が広々とした開けたところに出る。 はるか前方には対岸の崖壁が、左から右へとそびえ立っている。 【写真】
■12:00PM 次の休憩所に到着
■12:30PM 食事終了、再出発 また真っ赤な土が目立つ層に至る。植物は少なくなり、いっそう荒涼とした風景。 巨大な岩土の山すそを道がのびている。 先を歩いている旅人がとても小さく見え、渓谷の巨大さが感じられる。【写真】 はるか対岸の崖の地層と、自分たちのいる土の色を見比べて、今どのくらいの高さの位置にいるのかを見当つけると同時に、自分たちの存在のちっぽけさも何度となく感じた。 このあたりだったかな? "パノラマポイント" という標識の立った場所があった。 近くに岩壁などの障害物がなく、360度グルリとキャニオンを見渡せる場所だ。 写真を撮ろうとしたが、この迫力をフィルムに収めることは不可能と思い、あきらめた。 やがて、眼下に吊り橋が見えた。 谷底を流れるコロラド川もかなり見渡せるようになってきた。迫力の流れ。 その轟音を耳にしながら、橋めがけてスイッチバックする崖の道を下って行く。 傾斜が急なので、油断するとついつい早足になってしまう。スピードをおさえつつ、一歩一歩確実に歩む。 小さかった吊り橋が、近づいてくる。川も次第に大きくなってくる。【写真】 吊り橋の手前は、岩を掘った短い洞穴。暗闇の道を抜けると、突然コロラド川の真上に出た!
■13:40 吊り橋を渡る。 橋を渡ると道は川に沿ってのびていた。左手に川を見ながら西へ向かう。 もうここは谷の最下層なので、傾斜はほとんどなくて楽チン。 川辺なので植物もそれなりに多い。サボテンも生えている。 インディアンの遺跡もある。こんなところで、どんな生活をしていたんだろう。 振り返ると10頭弱のラバのツアーが、さっき僕らが渡ってきた橋を一列に並んで通過していた。【写真】 ブラックブリッジを渡って20〜30分歩くと、1本の小川がコロラド川に合流している地点にたどり着く。 上から見たときはわからなかったが、コロラド川の削ったメインの渓谷に対して垂直方向に、谷を刻んでいる小川の1つだ。 ここでさっきのラバツアーに追いつかれる。 ラバの上にのってるお客さんたちは楽しそうな顔で「Hi!」と声をかけてくるので、手を振り替えす。 一方ラバを見ると、荷物も人間も区別してない(?)らしい。 先頭の1頭に黙々とついていってるだけのようにも見える。 小川はブライトエンジェル・クリークという名前。『ファントム・ランチ』は、その上流にある。 コロラド川を背に、小川の上流方向に向かう。小川沿いはさらに緑が多い。 "グランドキャニオン"という言葉からイメージされる、不毛の砂漠的な気候ではない。 気温も暖かく、春のよう。 川の合流地点から歩くこと5分か10分。前方に木造の建物群が見えてきた。 さっきのラバツアーのラバたちが停められており、その横で人たちが談笑している。 挨拶をかわして小さな門をくぐる。
■14:20 ファントムランチに到着 5時間以上にわたる、谷底への旅もついにゴール。【写真】
|