2月1日(日) 昼
グランドキャニオン サウスリム村にて

グランドキャニオンでの宿は、日本からFAXのやりとりで「サンダーバード
・ロッジ」というロッジを予約していた。まずここで一泊の予定。で、次の日
は谷の底にある「ファントム・ランチ」というところで一泊、そのさらに翌日
に谷の上まで戻ってきて、再び「サンダーバード・ロッジ」で三泊することに
なっている。

とりあえずチェックインしなくては・・・。

受け取ったFAXには、「ブライトエンジェル・ロッジ」のフロントでチェッ
クインを行うよう書かれていた。サンダーバード・ロッジをはじめ、いくつか
の宿泊施設はブライトエンジェル・ロッジの別館となっているようだ。

数分間ウロウロしたあげく、ブライトエンジェル・ロッジを見つける。グラン
ドキャニオン鉄道駅舎と同様、ログハウス風の建物だ。公園内にあるほとんど
の建造物は、自然の景観を損なわないよう "木" と "石" を基調にデザインさ
れていて、なかなか雰囲気がよい。

ブライトエンジェルロッジは、サウスリムの中でも中心的な建物。各ロッジへ
のチェックインが出来るフロントの他、ツアー窓口、シャトルバスの発着場、
おみやげ屋さん、レストラン、バー、手荷物預かり所とひととおり揃っていて、
つねに観光客でにぎわっている。ロビーには本物の暖炉があってくつろげる。
僕らが泊まったサンダーバードロッジはこのすぐ隣りなので、滞在中は幾度と
なく足を運んで、この暖炉にあたって疲れを癒した。

裏の扉から出ると、すぐそこにグランドキャニオンが広がっている。
毎日のように、添乗員に引率された日本人ツアー団が来ていたのもこのあたり。
それだけ"定番"な場所ということだ。

フロントへ予約確認FAXを見せてチェックインする。何やらいろいろ説明を
受け、なんとなくわかったような気になり、テキトーに「お〜いぇ〜」とか「
おっけ〜」とか相づちをうつ。英会話は雰囲気とノリだ(爆)。

『明日、"ファントム・ランチ" に泊まるんですが・・・』とたずねると、
『あちらの"トランスポーテーション・オフィス" でチェックインをどうぞ』と
言われ、そちらの窓口へ。

トランスポーテーション・オフィス・・・要は各種ツアー問い合わせ&受付窓
口みたいなものだ。シャトルバスの時刻表や、公園内ツアーの案内等がそこら
中に張り紙されている。

その窓口にはネイティブ・アメリカン(俗に言う"インディアン")の血を引く
らしいおじさんがいた。モンゴロイドの僕らとしては親しみがわく。言葉は英
語なんだけど、なぜか白人のおじさんと話す時よりも話しやすかった。不思議
なものだ。人種というより、そのおじさん個人の持つ雰囲気なのかもしれない
けど。

インディアンのおじさん(今後そう呼ぶことにしよう)に
『ファントム・ランチのチェックインしたいんですが・・・。』と言うと、
『OK。じゃぁ、その "お知らせ" を読んどいて。』とかたわらのボードを指
差すと、手続きを始めた。

そのボードには "No Water" という大きな文字が。
-------------------------------------------------
"谷底への水道管が壊れてる"
"シャワーと飲み水はないよ"
"水は各自いっぱい持ってってね"
-------------------------------------------------
・・・みたいな内容。波留子、途方に暮れる。

しかし、ファントムランチに行くことが今回の旅の目的とまで意気込んでい
た あきぼんは、ますます燃えるのだった。
(波留子はどんよりしてるけど、ど〜せ重いもの(=水)運ぶのはおれだ。)
水をいっぱい持って行く覚悟を決める。

とりあえず部屋に荷物を置いた後、ハンバーガーの昼食。ブライトエンジェル
ロッジのレストランに入る。ここの支払方法は明快。食後、店員をつかまえて
「びぅ、ぷりーず(Bill, Please)」というと、清算書を持ってきてくれる。
それをレジまで持って行く。チップを書き込む欄があるので、そこに自分で額
を書き込み、合計金額を支払う。チップ慣れしていない自分としては、非常に
払い易いシステムだと思った。

食後は、その辺の散策と買い物(明日の準備)に出かける。公園内には散策の
ための歩道があり、"トレイル" と呼ばれている。サウスリムでは崖っぷちに
沿うようにトレイルが東西に伸びている。

グランドキャニオンの様子をもう少し書くと・・・
空間が広すぎて、イマイチ距離感がつかめない。10km以上離れてる対岸の
崖は、霧もないのに少し霞んで見える。崖は複雑に入り組んでいるのだけど、
どの切り口も同じ地層で "金太郎飴" のような状態である。手前の崖の地層と、
対岸の地層が見事に対応しており、もともとは1つの大地だったのが理解でき
る。はるか下、渓谷の内部にも歩道らしきものが見える。後日、あれを歩くこ
とになるのだろうか?  対岸を見やると、まっ平らな水平線。キャニオンがな
ければ、広大な高原だ・・・。

そんなことを思いながらグランドキャニオンの断崖を左手に見つつ、トレイル
を東に1マイルほど歩くと、また別な建物の集まってるエリアにたどりついた。

まず観光センター。無料の情報紙が置かれている。英文は読もうと思わなかっ
たが地図くらいは役に立った。30分おきくらいに案内映画を流してたが、あ
まり興味を引かなかったので、おみやげコーナーをちょっと見て、建物を出る。

近くにスーパーマーケット(GENERAL STORE)もある。かなり大きかった。そこ
では、明日の冒険に持って行く食料などを中心にいろいろ買い込んだ。店の軽
食コーナー(デリ・・かな)で休憩し、パイを食べる。これが甘すぎたんで・
・・口直しにしょっぱいフライドチキンもぱくついた。アメリカじゃぁ、なか
なか口に合うものもなかったが、チキンとかはまぁまぁ美味しかったかな。

ロッジまで帰って来ると夕方になる。この時間帯のキャニオンもなかなか見ご
たえはあるのだが、くたびれてて、さっさと部屋に入って寝てしまう。

20:00ころに目が覚め、ブライトエンジェルロッジのレストランで夕食。
このときのウェイター(ちょっと太った白人のおじさん)さんが、親切でいい
感じだった。こちらが英語が不得意なのを察してくれて、面倒な顔1つせず、
丁寧に応対してくれてるのが伝わってきた。

夜のグランドキャニオンは・・・。
明るい時に見えてた対岸の崖や、谷の下の方が見えるわけもなく、ただひたす
らな暗闇である。崖の淵から先にはなにもない。巨大な無の空間。見てると吸
い込まれそうで恐かった。

部屋にもどり、GENERAL STOREで買った「緑茶」とやらを飲む。甘い(泣!)。
甘くない飲み物をやっと見つけたと思ったのに (T_T)。よく見ると『ハチミツ
入り』と書いてある。・・・トホホ。なにか間違ってるぞ、それは。この国の
みなさんは、これを "和風" な味として飲んでるのだろうか。まぁ、そういう
誤解はお互い様かも・・・。

・・・明日はいよいよ、谷底への冒険。
荷物を作って、早々と眠りについた。

次の日へ

関連リンク
AmFac PARKS & RESORTS
グランドキャニオン公園内の各ロッジの情報。


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