1月31日(土)午後
バスの旅(後編)

(BARSTOWにて、つづき)

・・・でもどうやって開けるんだろう? とおろおろしてたら、1人の白人
さんがトランクを開けて一緒にカバンを探してくれた。
彼は同じバスの乗客の1人で、名前はレンディ。"Airforce" として横田基地
にもいたそうで、日本人の友人もいるらしく、僕らにも親切にしてくれた。

この後、幾度かの休憩の際にも レンディはいろいろ話しかけてくれたので、
こちらもなんとかカタコト英語を駆使してコミュニケーションした。
彼はおちょこをグっとやるジェスチャーで『サーキ(酒)が好きだ』とか言
ってたなぁ・・・。

なんか嬉かったなぁ。

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【15:00ころ】
"KELBAKER" というところ(標識で確認)の近くで短い休憩あったが、バス
停でもなんでもなく、なんにもないただの荒れ地。
この辺から更に風景がど〜んと広大になり、バスは見渡す限り砂と岩とまばら
な植物だけの荒野の中のフリーウェイを走りつづける。

波:「こんなところでガソリン切れたら、どうするんだろう・・・」

ホントに何も無いのだが、そんな風景を見てるだけでも飽きが来ない。
飽きが来る前に眠くなってウトウト。寝てしまって、ふと起きるとまたすご
い風景になってるので、あきぼん・波留子のうち目が覚めた方がもう1人を
「ほらほら、見てみ!」と起こす。そしてまたウトウト・・・。この繰り返
しである。

【15:30ころ】
ESSEX付近通過。時間的には、ロスとウィリアムズのちょうど半分くらい。
しばらく建物を見ていない・・・。2時間ぶりに建造物を発見したと思った
ら、ただトイレがぽつんとあるだけ。
あきぼんは風景に感激して、荒野の写真をばしゃばしゃ写真を撮っているが、
現像したらなんの写真だか判らないのがいっぱいあるだろう(笑)と、波留子
がたしなめる。

【16:10ころ】
久しぶりの街 "NEEDLS" で停車。商店でカリフォルニア州とアリゾナ州の地
図と "アリゾナティー" とかいう、なかなかキレイなデザインの飲料、そし
て菓子を少し購入。地図で現在位置を確認すると、なんとカリフォルニアと
アリゾナの州境だ。

バスが出て間もなく、前方に橋が架かっているところで運転手がマイクでア
ナウンスする。
『コロラド川だ。これを越えたらアリゾナ州だ』
にわかに車中が湧く。
(16:18コロラド川通過 カリフォルニア州からアリゾナ州へ入る)

後ろ方の席では乗客同士が仲良くなり、なにやら盛り上がってて楽しそう。

コロラド川を渡ると、バスは川の上流方向に北上し、対岸はカリフォルニア
州からネバダ州に変わる。やがて、対岸にネオンの光る街が見える。見渡す
限りの砂漠のなか、川のほとりのその一帯だけが賑やかに目立っている。

【17:00ころ】
その街に立ち寄るため、バスは一旦橋をわたりネバダ州へ入る。街の名前は
わからないが、ネバダ州であることは確か。大きなホテルと派手なネオン。
カジノ街だ。ネバダ州は、カジノを作りやすいのかな?(ラスベガスもネバ
ダだし・・・)。

ここで降りるお客さんが結構いた。やや長い休憩もあったので、川を眺めた
りして過ごす。

バスはこの街を出ると橋を渡って再びアリゾナ州にに入り、次の街 "KINGMAN"
を目指して東へ向かう。さっきまでのだだっぴろい風景が、ゴツゴツした岩
山地帯に変わり、やがてあたりは真っ暗(日没は17:50ころ)になる。

暗闇の中をひたすらバスは走った。明かりは車のライトのみ。遠くの対向車
のライトで、その先にずっと道が続いてるのがわかる。

やがて、はるか遠くに街の灯が見えてきた。地平線はすっかり見えなくなっ
ていて、空と地上の境がわからない。その暗闇の中に無数の光の集まりが見
える。あたかも、なにもない宇宙空間を飛行していたら遠くに次の銀河系が
見えてきた・・・といった風だった(宇宙旅行をしたことはないけど)。

夜景は次第に大きくなり、いつの間にか、バス自体がその夜景の発光源の中
に入っていた。

【18:30〜19:00ころ】
KINGMAN到着。長い休憩時間に、近くの商店で食事と飲み物を調達する。
ここで運転手が交代した。今度は細身の黒人さん。乗客のチケットを改札し
て回ってる。僕らの降りるWILLIAMSは次の停車ポイントらしく、トランクの
荷物の位置を確認させられた。
出発すると、運転手はマイクをとり何やらしゃべりはじめる。さっきまでの
運転手よりちょっとしゃべるのが好きらしい。が、言ってることが全然わか
らない。ハハハ・・・。

WILLIAMS到着までまだ2時間以上あると思ってたら、いつの間にかタイムゾ
ーンが変わっていたらしく、途中立ち寄った店の時計と腕時計の時刻とが1
時間違っていた。カリフォルニア州の19:00(PACIFIC TIME)はアリゾナ州
の20:00(MOUNTAIN TIME)。目的地まではあと2時間ではなく1時間ちょっと
だ。得したような気分になると共に、結構楽しかったバスの旅が残りわずか
となって、いささか寂しい気もした。

【21:50ころ】ついにWILLIAMS到着!!!(^^)/

ここで下車したのは僕ら2人だけ。運転手がトランクから荷物を出してくれ
ながら『グランドキャニオンへ行くのか?』とかなんとかたずねてくれる。
別れ際に「Good Luck!」というと彼は笑って応えてくれた。
レンディさんはどこだろ? 何時の間にか下車してたのかな? 見当たらない。
別れの挨拶をしそびれたな。

バスの停車場の近くにホテルの看板が数件見えた。「なんにもない所で降ろ
されたらどうしよう?」と不安だったのだが、とりあえず安心。バスを背に、
ホテルのあるほうへ歩き始める。
バスの方に振り返って、休憩でたむろってる他の乗客達に手を振ると、何人
かが「アディオス!」とか言って手を振り返してくれた。

さあ、宿をとろう。

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