BOOKS + ARTICLES (本や記事について)
ヴァン ホーテンのココア
ちょっと苦いけれど
ミルクだけで温かくつくりましょう
沸騰直前で止めて
あとは 本をもって 座って
NEW
「初秋」ロバート・B・パーカー
「奪回者」グレッグ・ルッカ
「岳物語」椎名誠
「中国いかがですか」小田空
「神と悪魔の遺産」F・ボール・ウイルスン
「幽霊」北杜夫
「ニューヨークからの採用通知」野田香里
「単独密偵」ロバート・ラドラム
「二度目の破滅」ロバート・B・パーカー
「沈黙の罪」テラー・スミス
SCRAP BOOK
"Dogbert's Management Handbook" Scott Adams
「部屋いっぱいのワイン」 細川布久子
「鬼平犯科帳」 池波正太郎
「真夜中のブランデー」 池波正太郎
「世界映画名作全集」 猪俣勝人
「ホームページ用素材集」「同 和風コレクション」 インプレス
「こころ・と・からだ」 五木 寛之
「MBAマーケティング」グロービス
「骨董市で家を買う」服部真澄
「季節のかたみ」 幸田 文
「ガラスの天井に挑む女たち」 幸田シャーミン
「人とつきあう法」河盛好蔵
「触れもせで」 久世光彦
「男と女 装いの向こうに」光野桃
「心にとどく英語」マーク・ピーターセン
「独り居の日記」メイ・サートン
「花にもの思う春」 白洲正子
「HTMLポケットリファレンス」 シーズ
「それでも真っ当な料理店」田中康夫
「幸福までの長い距離」 辻 邦夫
「西行花伝」辻 邦夫
「女とお酒のいい関係」 友田晶子
LET'S READ AROUND THE WORLD
(この一冊だけで、異国に足を踏み入れたよう)
「バルセローナにて」 堀田善衛
「モロッコへ行こう」 池田あつこ
「スペインの食卓から」 おおつきちひろ
「サンフランシスコがいちばん美しいとき」丸本淑生 編
「何もなくて豊かな」崎山克彦
「天涯」沢木耕太郎
「イタリアからの手紙」 塩野七生
「トリエステの坂道」 須賀敦子
「イタリアの詩人たち」 須賀 敦子
「ヴェネティアの宿」 須賀 敦子
「旅する人」玉村豊男
「ヨーロッパ横町たべあるき」 田辺聖子
「パリからのおいしい話」 戸塚真弓
「パリからのおいしい旅」 戸塚真弓
「遥かなるケンブリッジ」 藤原正彦
WELCOME TO THE MYSTERY TOUR!
(ミステリやハードボイルドだらけのパート。読みはじめたら眠れなくなること請け合いです。)
「敵」 デズモンド・バグリイ
「セイント」 B.ベアラー、J.ヘンズレイ
「多重追走」ウイリアム・バーンハート
「カムバック ヒーロー」 ハーラン・ベーコン
「ロングキスグッドナイト」 ランドル・ボイル
「シリコンバレーを駆け抜けろ」ポー・ブロンソン
「逃走」ベサニ−・キャンベル
「策謀」 ロバート・カレン
「あなたに会いたくて」 メアリ・ヒギンス・クラーク
「女精神科医」 ボニー・コンフォート
「死の微笑」 ハインツ・G・コンザリク
「死因」 パトリシア・コーンウエル
「業火」 パトリシア・コーンウエル
「警告」 パトリシア・コーンウエル
「審問」パトリシア・コーンウエル
「裁きの地」 サラ・デュナン
「ダディ」 ルー・デユラン
「第三双生児」 ケン・フォレット
「自由の地を求めて」ケン・フォレット
「殺意のバックラッシュ」 ポーラ・ゴスリング
「裁きのJ」 スー・グラフトン
「クライアントの姪」 ジニー・ハーツマーク
「クライアントの遺言」 ジニー・ハーツマーク
「大統領の娘」ジャック・ヒギンズ
「宿敵」 ポール・リンゼイ
「ダブルイメージ」デビッド・マレル
「赤い砂塵」デイヴィッド・マレル
「暗殺−究極の否定」 デイヴィッド・マレル
「氷の男」 フイリップ・マーゴリン
「殺しの四重奏」 ヴァル・マクダーミド
「賠償責任」ボニ−・マクドウーガル
「黄金のランデヴー」 アリステア・マクリーン
「マロリーの神託」 キャロル・オコンネル
「女性刑事」マーク・オルシェイカー 編
「レイクサイドストーリー」 サラ・パレッキー
「蒸発請負人」トマスー・ペリー
「百の顔を持つスパイ」 リドリー・ピアソン
「地獄からのメッセージ」 A.J.クイネル
「イローナの4人の父親」 A.J.クイネル
「最強ヘリ ハマーヘッド」 ジュリアン・J・サリヴァン
「イ−ジ−マネ−」ジェニ−・サイラ−
「獲物の眼」 ジョン・サンドフォード
「売名弁護」 リザ・スコットライン
「逃げる女」 リザ・スコットライン
「救出」 クレイグ・トーマス

離婚した夫が連れ去った息子を取り戻して欲しい、という簡単な仕事のはずだった。戻される途上 少年「何でそんな下品な仕事をやる気にになったの」 スペンサー「自分の考えたとおりの生活をするためだ」。母親の家にはボーイフレンドがいて、何と母は彼と外出、少年はスペンサーと夕食にいくことになる。エゴで対立する両親に心を閉ざした少年を見て、私立探偵スペンサー流の解決法を実践していく。
R・パーカーは 勿論書棚で多くの部分を占め、名前は知っていたが、一度読んではまると全て読みたくなるから老後の楽しみにとっておこうと思っていた。「家族の名誉」で自然体の主人公に共感し、手にとってみた。
そうしたら、はまった。どうしてもユーモアある(と本人が思っている)せりふを吐かずにはいられず、自己流がおいしそうな料理にも反映されている。関係者の気持ちをしっかり分かりつつ、自分の考えをもって実行できる大人だ。惚れこんでしまい、このあと、たてつづけに読んでいる。
「初秋」 ロバート・B・パーカー
1988.ハヤカワ文庫
国防総省高官ワイアット大佐からの依頼で、プロのボディーガードのアティカスはチームを組み15歳の少女エリカを守る作戦をたてる。あいては英国特殊部隊出身の誘拐チーム。生死を賭けた攻防が続く中で明かされていく人間模様。
アクションも展開が早く、エリカ、エリカの両親、チームと アティカスをとりまく人物像もしっかりと描ききれているところが、アティカスの心身ともの苦悩に感情移入できるポイント。前作のKEEPERを早速買いに行こう。
「奪回者」 グレッグ・ルッカ
2000.講談社文庫
これも、今年の夏休の本。釣りにのめりこむ元気な小学生が、「おとう」と釣りに行ったり、野田知佑さんと旅にでたり。登山が好きなこの夫婦が、岳 と名づけた。その思いは子供にうまく結実して、「生きる」喜びを本当に知っている少年となった。もう一度 子供時代をやりなおせるなら、こんな風に過ごしたい。でも、肉体的には無理でも、少年(少女)の心をもつに遅すぎることはないか。
「岳物語」 椎名誠
1989.角川文庫
ニューヨークの小児エイズ・センターを取りしきる医師のアリシアは急死した父の遺産として屋敷を受け継いだ。その屋敷を処分すべく動き始めた彼女に対して数々の妨害工作がはじまった。その彼女の意思をまっとうさせるため、「好奇心」から仕事を請け負った始末屋ジャック。受け継いだ屋敷をめぐって暗躍する秘密結社の闘いに巻き込まれていく。
この本の前編とされている「マンハッタンの戦慄」はホラーとして位置付けられているそうだ。だが、本編を見る限り、非常にスピーディなアクションもの。ジャックは独自の価値観を築いていて、格好いい。次作に期待しよう。
「神と悪魔の遺産」 F・ポール・ウイルスン
2001.扶桑社
中国か。最近関わることが多いので目をひかれて手にとった。漫画? 裏表紙には「中国ってどんなトコ?漫画も描ける謎の旅人・小田 空があなたをそのディープな世界にご案内」とある。
これがなかなかいい。旅したり、留学したり、日本語教師をしたり、旅人でありながら生活も送った経験が、フレッシュな観察眼とカルチャー・ギャップを超えて郷に入っては郷に従う過程が丁度良い塩梅だ。絵も分かり易くて、特に食事は匂いがたってきそう。
「汽車、悠久の大地を行く」の章は、「客が集まらなきゃ発車することのない大陸的時間体験」が笑いを誘うエピソードと共に記されており、「中国の汽車の旅では所要時間を信じてはいけない」「それは単なる憧れと夢と希望の数字であり 実際どんなハプニングが待ちうけているかは知る由もないのである」としめくくられている。ドキン。何だか今扱っている中国プロジェクトのことを言われているような・・・気がする。
「中国いかがですか」 小田空
2000.創美社
外資系のOLが、アメリカの国際経営修士号を取得した後、ニューヨークで6大会計企業の一つピースカンパニーに就職。"「犬の一年」---ここでの一年の経験が、他の企業の数年分の仕事の経験に値する---犬にとっての一年は、人間の六年分に等しいということから、ニューヨークで働く厳しさをいったもの"。
同僚、先輩、上司とのやりとりの中で、ニューヨークの企業社会にどっぷりつかりながらも、どこかしっかり醒めた目をもちながら「自立」していく様がつづられている。最後に、NYで「自立が得やすい」居心地のよさを発見し、でも自立はNYでも日本でも得られるはず、と 今度は「日本からの採用通知」を手に原点にもどるところで締めくくられていた。「働くために生きている」状態の私には、痛い一冊。
「ニューヨークからの採用通知」 野田香里
1995.扶桑社
極秘諜報機関ディレクトレイトを引退して、今は大学で教鞭をとる身。そこに突然CIA副長官が訪れ、かつての機関は反米工作を行っていたとのこと。依頼を受けて機関の陰謀を暴くべく、単身潜入を図る。
初期の「暗殺者」の頃の時代を切り拓く鋭さはないながら、一時期のマンネリズムを克服して、しっかりした骨組みの作品となっている。久しぶりに読み応えがあった。
「単独密偵」 ロバート・ラドラム
2001.新潮文庫
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元警官、今は探偵のサニー・ランドル。執拗な脅迫を受けているフェミニズム運動化のストーカー対策にボディ・ガードに雇われるが、その依頼人に似た人物が殺された直後に、突然解雇される。自ら調べるうちに、断ち切ろうとしていた過去の暗黒街との繋がりがでてくる。
ミステリー好きなのに、パーカーの本は読んだことがない。文庫の帯に「男ならスペンサー、女ならサニ-・ランドルに学べ」とある。スペンサー・シリーズが有名なのは知っていたが、それより先にサニー・シリーズの第二巻から入ってしまった。何の先入観なく、気に入った。ヒロインの魅力である。肩ひじはらずに、必要な時は助けを求め、必要とされた時には手をさしのべ、嫌味には皮肉で応える円熟したサニー。ここのメインはおいしいよ、と言われて行ったレストランでコースを頼まず、天邪鬼にもア・ラ・カルトを頼んで、予想外に逸品を見出した時のように、パーカーにはまる予感がする。
元警官、今は探偵のサニー・ランドル。執拗な脅迫を受けているフェミニズム運動化のストーカー対策にボディ・ガードに雇われるが、その依頼人に似た人物が殺された直後に、突然解雇される。自ら調べるうちに、断ち切ろうとしていた過去の暗黒街との繋がりがでてくる。
ミステリー好きなのに、パーカーの本は読んだことがない。文庫の帯に「男ならスペンサー、女ならサニ-・ランドルに学べ」とある。スペンサー・シリーズが有名なのは知っていたが、それより先にサニー・シリーズの第二巻から入ってしまった。何の先入観なく、気に入った。ヒロインの魅力である。肩ひじはらずに、必要な時は助けを求め、必要とされた時には手をさしのべ、嫌味には皮肉で応える円熟したサニー。ここのメインはおいしいよ、と言われて行ったレストランでコースを頼まず、天邪鬼にもア・ラ・カルトを頼んで、予想外に逸品を見出した時のように、パーカーにはまる予感がする。
デズモンド・バグリイの本は、中学時代に「高い砦」を読んだきりだった。飛行機が墜落して脱出する人間模様を、アクションを絡ませながら描いている。シチュエーション的にはポーラ・ゴスリングの「ゼロの罠」に似ていなくもない。と、横道にそれてしまったが、なかなか読み応えがあった。10年も前に出版されているが、ストーリーがはじめ想像していたのとは全く異なる方向へ行き、スリルたっぷり。著者自身が最高傑作と位置づけているのもうなづける。
私がはじめてイギリスの冒険小説を読んだのは、小学生の頃、かの有名な創元推理文庫に収めてある、ジョン・バカンの本。地味な本だから知らない人が多いだろうが、「39階段」、「緑のマント」、「傷心の川」(?これは違う出版社だったかも)、といった本がある。著者や時代の変遷により、大分ストーリーや人間模様、心理描写も複雑にはなったが、それでも脈々と「イギリスの冒険小説」といった定義は存在すると思う。はっきり表現するのは難しいけれど、主人公は私的な事柄から事件に巻き込まれながらも、プロフェッショナルな「悪者」に敢然と立ち向かい、スリルとアクションいっぱいに事件を解決に導く。あくまで、自分の中の筋を通すために行う。といった感じだろうか。
この作品も、「イギリスの冒険小説」の例外ではないところが醍醐味なのだろう。ただ、最後はきちんと引き締まって、冒険小説といった枠におさまらず、現実感がある。彼の他の作品も読んでみようと思った。原題は"THE ENEMY"。
良くも悪くも辣腕法廷弁護士の新しい依頼人は組織の秘密を握るマフイアの幹部。突然依頼人が脱走し、共謀者としてマフイアからも警察からも追われ、成り行き上 長年のライバルである担当検事のもとに逃げ込み、二人の逃避行が始まる。
同名の映画の原作。12聖人の名前をかたる変装の名人であり、ハイテクを駆使しながら追っ手の目をくらます現代の怪盗ルパンがこのサイモン・テンプラー。紛するは「トップガン」「バットマン・フォーエバー」「ヒート」に出演のヴァル・キルマー。私は「この人だ」と思ってみたことはない。だからよくわからないが、どうせやるなら変装のうまくて、そして格好いい人にスカッと演じて欲しい。キルマーがそういう人ならば見に行くかもしれない。対するエマは「ベストキッド」や「カクテル」に出演したエリザベス・シュー。それらは知らないが、マイケル・クライトンのTVシリーズ「ER」にでている女医役では好感をもっている人だ。勧善懲悪のアクションを久しぶりに、という人にはいいかもしれない。
打ち込んだことがあり、挫折したことがある人なら誰でもわかる。痛み、苦み、興奮、喜び、刺激。それらを隠すための、或いは立ち向かうための諧謔、ユーモア。会話の楽しみと、ハードボイルドの真髄が楽しめます。すごく人間臭い、読み応えの有る、やはりアメリカ探偵作家クラブ賞、アメリカ私立探偵作家クラブ賞 ダブルで受賞した作品だ。原題は"FADE AWAY". そして私もその原題の方が乾いたこのストーリーそのもの、と思う。
メジャーなコンピュータメーカーで働くエンジニア、アンディ・キャスパーは社内政治の狭間で、予算の殆どでない「300$PC」のプロジェクトをたまたま任されることに。仲間を捜し求め、知恵を振り絞り、やっと実現させてみると今度は業界大手である自社の保守勢力とぶつかることに。
この本自体は昨年の8月出版、箱だけのハードでLinuxを使ってソフトはnet経由で手に入れる格安PCのアイディアが既にこの時点で出版されていた。しかも予算消化の為に生まれた誰も期待しない小さなプロジェクト。それが業界の常識を覆す芽となった時に情け容赦なくつぶしにかかる既存勢力。読み応えがあった。原題はそのものズバリ"The first $20million is always the hardest" VBの厳しさをひしひしと感じさる。
ジャック・ヒギンズとくれば「鷲は舞い降りた」で有名。アイルランドの抵抗派であるデヴリンのハードボイルドがいい。そんなイメージに固定観念をもっていたら、
進化する作家はデヴリンの後輩を着々と育てていたのでした(私が知らなかっただけで)。その名もショーン・ディロン。
元IRAのテロリストが、米国大統領の知られ娘を胸のすくアクションと、仲間との小気味いいコミュニケーションと、ハードボイルドをさりげなくふりかけて。
自分の価値観をしっかりもった大人の話しを、たっぷりのエンタテイナーメント性でハラハラ・ドキドキさせながらの最新作。
同名の映画のノヴェライズ作品。ストーリーはラドラムの「暗殺者」の女性版みたいなもの。本そのものは映画をなぞっているので深みはないが、この映画なら息もつかせぬ展開でエンターテイナメント性充分だろう。監督が「ダイハード2」「クリフハンガー」を作ったレニ−・ハ−リン監督、女優は夫人であるジーナ・デイビス。うなずける。これは見に行こう。原題は"The Long Kiss Goodnight "。
主人公は、プロとしての自負と恋愛のような感情とがないまぜになって、新しい患者が問題の根元であることがわかっていながら、治療を進めてしまう。わかるような気もするが、みすみすはまっていくのを読むと少しイライラした。でも、いわゆるラブロマンスもので終始しなかったのは、作者自身が20年以上も心理療法に携わってきた精神科医で、面談の内容など本職の経験の幅が描写された部分についてはおもしろかったからだろう。
原題は"DENIAL"。絶対に原題の方がいい。勝手な思い込みだが、患者からの愛、恋人からの愛、母親からの愛にのみ込まれることを恐れて拒絶する主人公。また濡れ衣をきせられた裁判に対する否認。そして精神分析の用語としての「現実を現実として認めることを拒否する防衛機能」も意味するタイトルで、それはそのまま患者の症状、潜在的には主人公の愛情に対する構え、彼女の母親の現実からの逃避の姿勢までも表わしていると思うから。最後は3人が3様に「現実を現実として認め」はじめて泥沼から抜け出していく。こう書くと簡単な話だけれども、やはり実際に現実をそのものとして受け容れるには難しいことが多い、とつくづく痛感する今日この頃・・・。
筆者のコンザリクはドイツで非常に有名な作家らしいが、全然名前をきいたことがなかった。何となれば、「世界20数カ国で400冊以上が翻訳され、その総売上部数が1億に迫ろうというドイツのベストセラー作家」だそうだ。当書のようにエンターテインメントもののみならず、医師・医学小説、ロシアもの、戦記まで幅広い分野でファンがいるらしい。成程、構成はしっかりしているしテンポもいい。日本での刊行を捜してみるのと、ドイツ語は全然読めないので、せめて英語訳を入手してみるか。久しぶりに追っかけの対象ができました。
前作「警告」で狼男の家宅侵入を受けてから24時間、友人の家に身を隠したのもつかの間、今度は彼女自身に所轄の副署長殺人の容疑がかかる。追い詰める側が追い詰められ、リッチモンドの大陪審にかかることに。NYから狼男事件の再捜査でやってきた手強い検事からの質疑の合間を縫って、自らの容疑を晴らすため、また連続殺人を解決するため、マリーノ警部と共に反撃にでる。
十数年つとめたリッチモンドの検察局を辞めたスカーペッタの次の活躍の場が興味をそそる。このシリーズにとってもひとつの区切りになるだろう。原題は"The Last Precinct"。ATFを辞めた姪のルーシーと友人の設立した私的調査機関の名前である。また、それは亡きベントンが種を蒔いたアイディアとも言える。次のシリーズはここから始まるか?
私は、このシリーズの大ファンで、本屋に新刊がでると真っ先に買って真っ先に読んで、家族中に貸している。はじめは気持ち悪かったが、主人公に非常に感情移入をして読み、読んでいるうちにまわりの登場人物とも親近感を覚え、そのうち検死にまつわる様々な技術的なディテールにも興味がでてきた。(でてきてよかったのかどうかはわからないが。)
主な登場人物は毎回同じで、まるで生きているように少しずつ時間と共に変化しているのが、大河ドラマを見ているように惹き込まれる要因だと思う。更に、毎回新たな捜査技法が
加わり、驚かされ、好奇心を満足させられる。ストーリーは決して手抜きせず、いつも硬く緻密に描かれている。
原題は"CAUSE OF DEATH"。邦題は1作目から漢字2〜4文字で統一しているようだが、原題の意味を忠実に訳すことで、かえってこのシリーズが「検死」というそれまでタブーであったエリアに足を踏み入れたユニークなミステリーであることを、不気味さと共に印象づけるのに成功している。全体的に、非常に読みやすい翻訳だと思う。(英語でも読んでみたが、英語もまた、主人公のキャラクターを表しているような、簡略で無駄のない文章。)
シリーズ8作目の"UNNATURAL EXPOSURE"も完成しているらしい。書店に並ぶ日が待ち遠しい。
頭のいい彼女は弁護士を篭絡し、PCやメディアをうまく利用し、3人を追いつめていく。そして、スカーペッタの生活に第二の悲劇が。
まさか、ここまで展開するとは思わなかった。しかし、こういう職業に携わっている人にはあり得る話なのだろう。FBIの信義則の話や、脱獄犯の復讐、などは古くからあるテーマだが、とにかくリアリティがあるストーリー展開が怖い。それだけ迫力ある表現力、と言えるのかもしれないがやりきれない。
ファンとしては、この出来事も乗り越えて、スカーペッタ局長が邁進していく様を見たいもの。原題は "Point of origin"。 今回の放火事件の源、というのが直訳だが、本当の意味は読んでのお楽しみ。(と言えるかどうか)
リッチモンド港のコンテナから発見された男の腐乱死体、狼男と名乗るものからのメモ。インターポールも巻き込んでの事件は、いつしかベントンの死の謎とも絡みあっていく。
皆さんもそうでしょうが、ベントンが死んだところでこのシリーズは終わったと思いこんでいたので最新刊がでたのは嬉しかった。と同じにどのような展開になるのか気がかりでもあった。実際、ミステリーの色彩よりもケイとベントンとの心理描写に重きをおかれた感がある本書、人によっては「ちょっと物足りない」と思うかもしれない。が、私自身は当シリーズについては感情移入して読む部類なので、なかなか読み応えがありました。原題は"Black Notice"。
ドイツの老練なる銀行家が大戦を前に顧客の資産の保全策を講じた。その内容を知る彼はナチに拷問されるも口を閉ざしたまま自殺する。誰かが保護管財人になっているはず、と執拗な追っ手が彼の孫娘とひ孫のトマにのびる。天才的な頭脳と知性を銀行家から継いだ二人と、ナチに雇われ最後はこの母子に魅せられて全霊を込めて追いつめる哲学博士。トマの得意とするチェスのような追跡劇。
と書いてしまうと何だか薄っぺらな感じだが、これはとても好きな作品。10年くらい前に一度読んで、家族中にまわして、カナダに帰る伯母におもしろいからとお土産にあげて以来、いくら捜しても上下そろってはみつけだせなかったしろもの。絶版なのか、取り寄せようとしても「ない」と言われ、古本屋に行くと必ず捜すのだが時にあっても「上」か「下」かだけ。この休みに何故か上下共にまだきれいな状態で入手できた。思い入れのある本なのだ。
心理描写がチェスの手を読むように重層的に綴られており、追いかける側、追われる側の思考の流れがストーリーの緊迫感を増す。またこのトマ少年の驚嘆すべき知性と自制心、時にほころびる感情の壁を感じるごとに、小説であることを通り越して実在の人物以上に魅了されていく。この作家は他にも書いているはずだから、発掘して読んでみたい。
ケン・フォレットが11年ぶりにだした本、ということで期待しながら買った。彼の作品は、「針の眼」「レベッカへの鍵」「獅子とともに横たわれ」を読んできた。それぞれヒーローやヒロインが妙に人間くさいのが魅力だ。今回も然り。テンポもよく、まるで映画をみているようだ。ただ、個人的には初期の「針の眼」が一番心理描写が深く、読んでいて心に残っている。とはいえ、今でもやはりなかなかのストーリーテラーです。
スコットランドの炭坑でマック・マカラッシュが労働者の権利を知らしめるところから物語は始まる。とはいえ、そこでのくるしみに終始することなく、次の、次の、そして次の職場へと希望をつなぐマック。その幼馴染にして上流階級の娘として立場は対立するリジー。それに、その二人にさまざまな商機や思いを託す人々。
ケン・フォレットらしい筆の運びなので、安心して、定石通り運ぶ。
初期の頃の鋭さがなく、ENTAERTAINAMENTなのかもしれないが、それでも前作よりは素直に自分のスタンダードに戻っているところが好ましい。それにしても、彼のヒロインの魅力的なところは定評のあるところ、そして今回も磨きがかかっている。
数学者といえば理知的で論理的でちょっと人間としては冷たいような勝手な思い込みがあるが、この人は違う。「さむらい」の魂と人間への暖かい視線と、数学にかける情熱が、非常に魅力的だ。きっと率直に書いた随想がそのままストレートに心に届いてくる。道理で、日本以外でも友人を沢山つくるわけだ。その人間を描くことを通じて、私達読者にもその知人、地域、国、の抱える文化と問題を浮き上がらせてくれる。
マーケティングとは広く捉えれば、「もの」にかかわらず、就職・転職に際しては「自分」を売り込む、企画会議では「自分のアイディア」が最善であることを納得させる、など「売り込み」「説得」の技術であると言えるのではないか。単なる販売戦略にとどまらず、幅広く考えさせられる書だ。
丁度、「宿敵」を読んだばかりだったので、途中まで似た展開の本書は少し物足りなかった。(あとでわかったのだがこちらの方が早く書かれていた。) しかし、「宿敵」も本書も、何故FBI捜査官或いは警官ばかり狙うのか、といった動機の部分が双方とも意外性があった。内容は読んでからのお楽しみ、とした方がいいだろうから書かないが、やっぱり緻密なプロットや魅力ある主人公に加えて、アイデアというのは大切なものだと再認識。
著者は、英国推理作家協会賞を「モンキー・パズル」で受賞しており、「逃げるアヒル」は先日映画になっていたと思う。(ジョン・トラボルタ?だったかと、きれいでセクシーな結構有名な女優さんだった気がする。映画館の看板を見ただけなのであまり覚えていない。) 原題は"BACKLASH"。
探偵であるキンジー・ミルホーンを主人公にしたシリーズもタイトルをAからはじめて10作目。南カリフォルニアを舞台にした大人のハードボイルドだ。「タフでなければ生きていけない。しかしやさしくなければ生きている資格がない」でしたっけ?中学時代に読んだから正確な言い回しは忘れたが、あのフィリップ・マーロウから脈々と流れているハードボイルドの真髄をきちんと受け継いだ主人公。自立した大人で颯爽と生きていて格好がいい。ストーリーは割と単純だったが、最近の作品、特に今回は真相も示唆するのみで現実感が増してきたと思う。私にとっては自分に「かつ」を入れたい時によく読むシリーズ。全作品をもっています。原題は"J is for Judgement"。
前作に続いて、今度は先物市場が舞台。殺されたクライアントやまわりの登場人物の性格も、このトレーディングという職業が表わしているようで、やはり背景の描き方に現実味があって迫力となっている。テンポもいいし、今後が楽しみなシリーズだ。原題は"FINAL OPTION"。市場取り引きにひっかけて。
スペインに住む、日本人の、知的で教養豊かな小説家にしかかけない随筆或いは短編小説だと思う。私が心うたれたのはスペイン内戦の話。勿論教科書でちょっと触れた位は知っていたが、ここまで人々の背後に染み込んでいるとは無知故に知らなかった。恥ずかしいことに昔の歴史には興味がなく、現代以降にしか視線の向かなかった私だが、今この時、というものが過去からの延長線であり、それと同時に未来への新たなベクトルにもなり得るのだ、という認識がなかった。その土地を、人々を、少しでもよくわかりたいのであれば様々な切り口で知らなければならないのでしょう。簡単に紹介できるような中身ではないので、興味を感じた人は一読を。私からはこれ以上紹介する文才がありません・・・。
著者は、田宮二郎主演の映画「白か黒か」を監督し、また池辺良・山田五十鈴主演の「現代人」脚本・原作を担当し、晩年は日大芸術学部で映画製作について教えていた。生涯、映画の製作に関わってきた人なので、映画の解説を書かせてもいわゆる「映画評論家」の第三者的な評論よりももっと具体的で見る目が鋭いと思う。
彼は私の伯父でもあって、私が中学時代に亡くなった。それまで毎年のように夏休みに海に連れていってくれたり、彼の書斎で本を読ませてもらったり遊んでもらったりし、私人としては優しく落ち着いた人というイメージだった。両親が映画を好きだったこともあり、また早く伯父と「大人の話」をできるようになりたくてシリーズは全て読んだ。結局、読み終わったのは彼が亡くなったあとだったが。その後も他の人の映画評論などを読んだが、当事者としての目で簡明に記述してある点では、身びいきではなく推薦版だと思っている。何度も読んだので、実際に見ていない映画までも見たことのあるような親しみを感じてしまうくらいだ。勿論だいぶ前に亡くなったので最近の映画については掲載されていないが、もし昔の映画に興味があるならご一読を。
2年前から夫、父、母、妹、義弟、義母、と皆健康を害して病院に通わざるを得ない中で、自分自身の健康には無頓着だった。だが、この春、仕事上のストレスから、自分の心と身体を文字通り客観的に見直した時に、この本が非常に素直に心に響いた。勿論、著者は人生の先輩であり含蓄のある言葉で語るのであるが、内容は日々自分が帰宅の帰り道に考えること。素直に表現できたらこうなるのだろう。先輩の書く言葉にいちいちうなづきながら、まだまだ悟れずに夜空をあおぎ見る。
著者は、1985〜88年まで、「ニューズウイーク」のモスクワ支局長をしていたそうで、
主人公のキャラクターが活き活きと描かれているのが良い。人を頼らず、自分だけを頼って取材の為に、国際陰謀に巻き込まれていく。ハードボイルドの真髄だ。邦題は「策謀」だけれども、もとは"COVER STORY"。内容的にも、最後の締めの部分も、原題の方がしっくりすると思う。
「このインタビューに答えてくれた女性の多くは、まさにその世代だった。だがグラス・シーリングの存在は認めながらも、その一線を自分の限界と考えている女性は一人もいなかった。私が、この本の題名を<ハーバード・ウーマン ガラスの天井に挑む女たち>としたのも、そうした彼女たちの堂々とした、まっすぐ前を見つめて生きる姿勢に、共鳴するものを感じたからだ。・・・人生にはいくつかの再出発がある。そして、その再出発にこぎつけるまでには、長く続く辛い移行期を経なければならないこともある。ミッド・キャリア・プログラムのように、人生の途中で、ゆっくりと自分の歩んできた過去を振り返り、また次の航路に出て行くためのエネルギーと自信を蓄える機会を与えられる教育システムは実に素晴らしいと思った。」あとがきより。
決して普段は認めない性差や、来年で10年目を迎える社会人としての自分のキャリアを考えると、今後の自分の姿について気弱になることがある。誰もが常にbestだと信じて生きているわけではないと分かっていながらも、自分の自信のなさに歯噛みしたくなることがある。パッと明るく誰かと飲みにいければいいが、そうできない程落ち込んだ時にはこの本を一人静かに読んで「かつ」を入れることにしている。悩んでいるのは決して自分一人ではないこと、でも悩みながらもまっすぐ前を見つめていくその意志力こそが人を分けるものであること、を痛感させられる。
文学から遠く離れ去った今、ふと 申し訳ないが古本屋でこの本を見つけ、思わず懐かしくて手にとった。文学書でない、はじめての彼個人のにおいがする書。「酒を飲むときには、酒を飲む以外の目的をできるだけもたないことが望ましい」など、今の私たちにも語りかける背筋の通ったエッセイ。彼にもこういった生活に即した面があったのか、と思わず読み進んだ一書。
向田邦子についての追悼文はいろいろ出て、亡くなった当時はいくつか読んだが、この人が書いた本なので改めて読もうと思った。彼の文章とはじめて会ったのは、何年前か、日経の夕刊のコラムに芸能界に携わる人たちについてのエッセイを連載していた時。限られた紙面の中で、妙に的確な表現をするので毎回欠かさず読んだ。その文章の魅力を何と言い表していいのかわからない。「正確」なのではなく「的確」というのか、「そう、そう、それだ。」と思わずうなずきたくなるというのか、「う〜ん」とうならせるというのか。そして、その頃出版された「昭和幻灯記(とかいった題名だった)」を読み、ますますファンになった。
本書も、その表現力が遺憾なく発揮されていて、まるで向田邦子という作家ではなく、「向田邦子さん」を自分自身が良く知っているような気にさせる程、生身の人間として感じられる。私自身は世代が全然違うはずなのに、両親の話しや読んだ本の影響か、この二人が大切にしている昭和初期の頃の生活の感覚というか価値観が分かる気がして、直更近しい、懐かしい思いを抱いた。
〜あれは直木賞を貰ってすぐのころだったろうか。その夜は珍しく二人とも神妙だった。何の話からそんな方へ行ったのかは忘れたが、いつのまにか長年の自分の無知、不勉強、ついついの手抜き、そのための誤魔化し、そういう恥についてお互い正直に告白しあうという妙なことになってしまった。・・・その晩、いまは書くよりも、読みたいとあの人は言った。天から降ってきたみたいに文学賞を貰って、なんだか足元の水がざわざわと騒ぎ立ちはじめて、これを鎮めるためには読まなければいけない。切実な顔だった。目もいつもみたいに笑っていなかった。私も、別に賞を貰ったわけでもないのに、そんな気持ちになっていた。胸の中の空洞がふいごのように音をたてて鳴っていた。
何だか、自分の日記を読んでいるような気にさせてしまう位だ(著者には失礼かもしれないが)。誰にでもある、ふと立ち止まって自分の内を見つめてしまう瞬間が描かれていると思う。
前作の「目撃」が良かったので、思わず2作目に手が伸びた。前作の時の著者は現役のFBI捜査官だったが、今は退職したそうだ。自分が身をおいた世界を描いているだけに非常にリアルで、主人公も自分或いは自分がなりたかった姿を投影しているのではないかと思う。同僚が殺され、「なにか狂暴なものがデヴリンの内部でうごめいた。正義が優位を取り戻すための困難な闘いに必要ななにかが。」といった気持ちを内に秘めて上司の監視の目をかすめて独自の捜査に乗り出す。
組織を運営する側の目でみたら、能力はあるが一人で動きまわる予想のつかない奴、として目の上のたんこぶなのだろうが、こういう実力の伴った熱血漢がいないと物語にならないし、世の中つまらなくなるのだろう。デヴリン以外の登場人物も実にいきいきとしていている。訳者もあとがきで述べているが、彼と彼の仲間による不条理な組織に対する反抗とそのしるしであるおふざけがまたいい。スカッとして、思わず拍手したくなる。FBI捜査官も同じなんだなと思ったら、何だか近しく感じてしまった。
原題は"CODE NAME:GENTKILL"。これは作中「コンピュータに入力する際のファイル名に字数制限があるため<AGENT KILLINS>を縮めて作ったコード名」である。
常に冷静に依頼人を無罪にもっていく「氷の男」と呼ばれる弁護士ナッシュ。刑事弁護の評判を欲しいままにした彼がたまたま引き受けた婦人警官殺し事件。殺害の容疑にさらされた弁護士とのやりとりの中で見つけたinnocentとは?
筆者も主人公と同様、経験豊かな辣腕弁護士のようで、視点や情景描写も含めてリアリティがある。今まで知らなかった作家だが、他の作品も出しているようだし、続けて読んでみようと思う。
一方、(読んでないが)前作でチームを組んだ心理分析官トニーにも新しい試練が。ケーススダディーのつもりの実例に迫った部下に対する殺人。見ざる 聴かざる 言わざる。耳をそがれ 美しいサファイアの目をくり抜かれ、唇を酸でやかれ。プロファイラーとして、同僚として追いつめていく。
最近注目を集めているプロファイリングの過程の興味深さと心理描写の巧みさ。とらえて話さない作者のストーリーテリング。
作者は「ランボー」の原作者。なるほど、まるで映画をみているようにテンポが早いアクションに次ぐアクション。非人間的な生き方と、やっと手に入れた満ちたりた生活の対比、恋人を信じたい気持ちと明らかになっていく彼女の過去。アクションの合間に揺れ動く気持ちの軌跡が良く描かれている。以前「石の結社」を読んだ時もそうだったが、読みはじめたらとまらない。作者こそストーリーテラーの名にふさわしい。原題は"EXTREME DENIAL"。
弁護士デイナが顧問を務めるペンスティール社の社長の乗ったヘリが通信途中で空中衝突し、遊園地に墜落。自分の子供もいる遊園地に。真っ先に現場にとびこみ写した写真がもとで、夫も誘拐される。
からくも命は無事だったが、被害者でもあり、しかし加害者である顧客の弁護に奔走せざるを得ないデイナ。子供の無事を確認した後に、次は弁護士として最初の現場確認の為に命からがら撮影をする。そのことを責める夫、誘拐される夫、探し求めているうちに思い出す結婚当時の夫。自分と相手の気持ちのすれ違い、諍い、しかしとても大切な部分に根ざしている互いの存在に気づいていく。一人の人間として、職業やプライベート、妻、母親、女である側面をうまく描ききった作品で読み応えがあった。
中1の時に初めて読んだマクリーンもの。ついでにハヤカワ文庫を読んだのも本書が初めて、の思い出の本。読み返してもいいですねえ。スピード感、プロットの確かさ、人物描写のうまさ。マクリーンの著書は多分殆ど全書読んだ。とはいえ、彼の本では1.ナヴァロンの要塞、2.女王陛下のユリシーズ号、3.最後の国境線、4.黄金のランデヴー、が好き。殆ど初期の作品ばかりだ。ナヴァロンの要塞、は知っている人が多いでしょう。グレゴリー・ペック、アンソニー・クインが出演した。グラスゴーの学校の教師だったというマクリーンは、処女作の女王陛下のユリシーズ号で世に出、それからは映画の世界に入っていったらしい。20年前に書かれたとは思えない、ストーリー性豊かな本です。
新刊のコーナーに「ソウル・メイト」(人に貸しているので手元にない)が並んでいた。気張らずに読めそうなエッセイだったので買ってみた。それが大当たり。価値観が近くて「そう、分かる分かる」「ほ〜 こういう表現の仕方をするか!」と とても共感しながら読んだ。それを名古屋時代にお世話になった先輩に伝えると、彼女もこの「男と女 装いの向こうに」を友人から借りたといって貸してくれた。このエッセイは月刊「エスクアイア日本版」に連載されていたらしい。
「男が男として、女が女として、そして男と女が自分たちらしく生きるために・・・」
「シャツの色気」から「時代の箱舟」まで、服のみならず花、髪、インテリア等 装いの「スタイル」に視点をあてている。この人にとっては「スタイル」とは自分らしい生き方の表現である。
最後の「時代の箱舟」にはこんなことが記されている。
ストリート・チルドレンだったマロリーの唯一大切にする養父母も亡くなり、ハッカーすら行い単身挑んでいく彼女の先には誰が。
語り口がぎこちなく、読みにく。だのに、読んで、しかも続編までも楽しみにしてしまうのは、この ひとすじなわではいかないマロリーが次にどんな行動にでるのか楽しみだから。酷薄な、といえる経歴にもかかわらず、それから戦って自分の求める自由を得ようとするマロリーこそ、にゅるま湯にひたっているとわかりながらも同じ気持ちである私のような人間を巻き込んでしまう書。
今年の夏休みは、入社してはじめて、事前にお互いの休みをまわりに根回しして1週間とれる(であろう)休み。去年までは突然お互いの休みがとれたり、或いは結局別々だったり、またそもそもぐったり疲れていて、とにかく寝たい、ヤスみたい、の一本やりだった。でも、今年は違う。スペインに行って、いろいろ見て、食べて、歩いて、聴いて、異文化を楽しみたい。乾いた空気に触れたい。と思っていた矢先にこの本を書店で見つけた。
食べ物の紹介でもしているのだろう、程度にしか考えていなかったが、これが間違い。冒頭に書いた通り、自分の中でのスペインの位置づけ、自分と家族との関わり、を記したエッセイでもあり、また彼女のエネルギッシュな好奇心のままに旅したスペイン旅行記にもなっている。はじめは何の気なしに知り合いの出産の手伝いも兼ねて行っただけのスペイン旅行が、回数を重ねる毎に料理という手段を通してスペインをありのまま受け入れ、自分なりに租借する滞在に変わってきている。その情熱が、今の自分に一番欠けているなと痛感しながら読んだ。正に、WHERE THERE IS A WILL, THERE IS A WAY.
空手黒帯、元弁護士、思ったことははっきり口にだし、女性であることを楽しみながら活動的に突き進んでいく主人公を読むのはとても痛快だ。ハードで、でも情もあって、ハードボイルドの主人公にふさわしい。スキッとしたい時にどうぞ。
女性版 シュワルテェネッガーのEraserと思いきや、インディアンの血をひくタフな探偵ジェーンにはまったく別の、スリリングでどんでんがえしなストーリーが用意されていた。
さすが、MWA受賞作家だけあり、主人公への描写、一筋縄ではいかない展開はお手のもの。彼のほかの「アイランド」など、興味しんしん。
明治大学で政治経済の教鞭をとる筆者が、文化のはざまを真摯にとらえている人の鋭い感覚で、英語の機微を伝えてくれる。自分の経験や映画の洒落た会話の中で、その語句のぴったりした言いまわし、微妙に異なる使いまわしを指摘。先に言葉ありきではなく、コミュニケートしようとする姿勢を大切にしていることがうかがわれる。
最後の章に Care という言葉を例にとって、Loveよりも広い使い道、異性/同性の恋愛よりも「気にかける」「大切にする」という意味合いから、I thought you loved me.よりもI thought you cared (about me).の方がもっとキツイ非難の言葉だと言う。(私を愛せなくなったとしても一度は愛したのだから大切に思ってくれていると思ったのに!という非難を込めた言葉として)
自分も他人もcareできるような 大人になりたいもの。ぽつりと ストーリーとは別のところで自己反省をしてしまった私でした。(それだけ、英語本としてではなく エッセイとして詠んでもいいくらい 面白い本でした。)
「燃える男」からはじまって5作めのクリーシー・シリーズ。前ほど緊張感がなくなってきた気がするのは馴れてきたせいか、それともクリーシーも年をとったからか。とはいえ、クイネルの新刊があると必ず買ってしまい、結局和訳されている本は全て読んでいる・・・。やっぱり世の中、こんなスーパーマンがいて完全懲悪を現代的に行っているんだ、といった空想(?)の世界が楽しいのと、彼のチームとの息のあったアクションが映画を観ているようで、娯楽度100%だから。とはいえ、取材はかなりやっているのだろうことは想像に難くなく、毎回とりあげる題材が異なり、その興味の広さを反映している。
著者はその正体を明らかにしていない為、ミステリー愛好家の中では様々な憶測が飛び交っているようだ。私はおもしろければ誰でもいいと思っているが。意外と、彼はチームものを描かせると特に味があり、クリーシー・シリーズの他にも「イローナの4人の父親」もそうだし、結構A.J. クイネルの名前も3人のチームからとったものかもしれない。原題は"Message from Hell - One Man's Journey to Bury the Past"。
奇想天外なアイディア。荒唐無稽に思う人もいるだろうが、いいのだ、小説なのだから。4人も父親がいて、しかも皆諜報部員で、いわゆる「お国柄」を反映させた行動をとるところがまたおもしろい。子供という人間的な絆の前には、表には見せないながらも人一倍大切に思っている。ところがその子供を利用する裏切り者がいて・・・。ということで、もし映画にするのなら、この4人の父親達をどの俳優に演じさせるのがいいか考えるだけで楽しい本である。
みすず書房は中学生の時からのあこがれだった。シンプルでいて上質な装丁。選び抜かれた作家。高いから絶対手がでなくって、一年図書委員をした時に購買権を欲しいままに、みすず書房の拡張を図ったものだった。その時は神谷美恵子さんの本、それからヴァージニア・ウルフを全部買った(というか買ってもらった)。そしておし抱きながら何度も読んだ。
久しぶりに神谷さんの本を読もうとみすず書房の欄に立った。だが、この本が目に入った。知らない方だった。明るい黄色の草木の絵の装丁の裏表紙には、1960年代の小説の中で同性愛を表白して大学職を終われ、父親の死に臨み、失意のどん底でニューイングランドに一人 居を構えて生活を踏み出すエピソードが載っていた。
”さあ始めよう。雨が降っている。”
”何週間ぶりだろう、やっと独りになれた。ほんとうの生活がまた始まる。奇妙かもしれないが、私にとっては、いま起こっていることやすでに起こったことの意味を探り、発見する、ひとりだけの時間をもたぬかぎり、友達だけではなく、情熱かけて愛している恋人さえも、ほんとうの生活ではない。”
率直で、透徹したまなざしは、自分のまた他人の感情も深く見つめている。こういう人になりたい、というのが中学生時代の理想像だった。今は。あれから20年経っての自分とは。考えさせられた書。
題名に参った。ぱらぱらと開いて そのセピア色の写真に参った。読み出してその語り口調のおかしさに参った。
骨董市をまわって ふと 「怪しい骨董商のみちびき」で古い民家に人目惚れした作者が、なんと東京下町に移築したくなってしまった というプロジェクト。最近のTVでやるにも挑戦的と思われるターゲットを、住みたい!と思ってしまった作者が怪しい骨董商をはじめgoing-my-wayな職人達を含めて巻き込んで or 巻き込まれて 達成してしまうノンフイクション・ドラマである。
夢をみたくって、あははと笑って、でもいつの間にかミイラとりがミイラになってしまいそうな本である。これは お・す・す・め。
ヘリを操らせれば英国一、しかし陸戦はダメなプロス。一方、ヘリこそ操縦できないが、車の運転を含め陸戦の凄腕のローガン。この二人の会話は大人っぽくて、アクションはテンポが早くて、上質な冒険小説だ。
著者はドミニカ生まれで、英国で教育を受け、英国空軍にしばらく籍をおき、今はロック・バンド率いる作曲家として活躍中という異色の作家。原題は"HAMMERHEAD"。
運びやのアリーにとっては今回も同じeasy moneyの仕事のはずだった…。が、取引場所へ行ってみると殺人事件に巻き込まれていた。自分の命までも狙われて逃げるうちに、何故か絡まってくる父の過去、暴かれる彼の別の顔。そしてまた他にも幼少の頃から知っている人たちの知らなかった人生。何を信じればいいのか分からなくなりながら、必死に自分の価値観をもって、父にたたき込まれた生きる為のテクニックを駆使して立ち向かう主人公。颯爽と登場。
スタンリー・キュービックの2001年宇宙の旅の小説が引用されてあった。初めて知った。
”今この世にいる人間ひとりひとりの背後には、三十人の幽霊が立っている。それが生者に対する死者の割合である。時のあけぼの以来、およそ一千億の人間が、地球上に足跡を印した。
この数字は興味ぶかい、というのは、奇妙な偶然だが、われわれの属する宇宙、この銀河系に含まれる星の数が、またおよそ一千億だからだ。地上に生をうけた人間ひとりひとりのために、一個ずつ、この宇宙では星が輝いているのである”伊藤典夫訳
メキシコ・シティの写真が見開きに載っていた。
引用と本人の文章と、そして写真と写真。解説はなく、行間を読め、というのみならず頁間を読めというのか。あるいは読まなくてもいいと思っているかもしれない。だが、その文章と写真を配置しながら、旅に思いを馳せて時々思い出し笑いや苦笑いをしている作者を想像して読むのが楽しい。
この人の作品はデビュー作「見られている女」、二作目の「最後の訴え」に続いて読んだ。やはり段々とストーリーや背景の描き方がうまくなっているように思う。今回の主人公である弁護士リタ・モンロー、そして彼女の生き方を語るには欠かせない肉屋を営む父親とそのポーカー仲間達。非常に生き生きと描かれている。結局彼女は、恋人や同僚とではなく、平均年齢が70才を超えているポーカー仲間達と一緒に事件を解決してしまう。原題は"Running from the law"。これを訳すのは難しいでしょう。という意味では日本語題もいいのだけれど、真犯人をあてるヒントを与えすぎてしまうかも。
特にエッセイは短い中にどういう形にせよ起承転結があってまとまっていないといけないので、読んでいる方も「さあ、これはどうだ?」と興味津々で読んでいる。この点でも勿論うならせる。作品によってはユーモアも交えて、また1冊に複数のエッセイがある中で、手紙の形式をとったり、短編の形に仕上げたり、リズムを作り出している。さすがだ。
ローマの下水道をめぐって議会で「掃除をすべき」という話がありながらいまだ結論がでていない話、過去2000年掃除しなかったのだからあと数年しなくても問題ないと思ったか、といった想像。時間の流れ方が違う。こんなエピソードを紹介してもらえると、読んでいるその時だけ空間を移動してイタリアに行ったような気がしてくる。
題は新古今和歌集の式子内親王の歌からとった。
これと対比させているのが前述の古今集の紀貫之
確かに、これだけで判断はできないのだろうが、対照的な句だ。同じ春の季節に桜をよんだのに違いないのに、片や雄大な叙情詩であるのに対して、片や言葉も洗練されて観念的だ。それは時代のなせるわざなのか、選ばれた歌い手の階級の偏りなのか。学問的につきつめても面白いのかもしれないが、そこはさらっと読んで春の野で句を口ずさむだけでも心が豊かになる本。
この人の存在を全く知らなかった。知らなかったことが悔やまれてならない。
トリエステという言葉の響きに惹かれて手にとった。イタリアか。じゃあ読んでみようかな。この夏に旅したイタリアが良かったからこの国に興味がでてきている、そんな単純な理由から読み始めた。
タイトルにもなっているエッセイが冒頭にある。彼女が大切にしているイタリアの詩人サバが生涯を過ごした地であるトリエステをある日訪ねた時の話。語彙の豊富さ、心の中をじっと見つめているような透徹した視線を感じさせる表現。言葉が一つ一つ心に染み込んでいく。今まさに私が渇望している静謐さ。この人の書いた本を全て読みたいと思い解説を見ると、今年の3月に没している。生きていてくれたら、これからも同じ時代を歩み、引き続き著作を創りだしていってくれただろうに。或いは、上智大で公開講座でもあれば生の話を聴くことができただろうに。自分の無知が悔やまれる。
自分の体験と重なるところ、重ならないところ、全て含めて感情移入させられてしまう。それは、彼女の独特の率直でいて言葉を選んだ、自律的な文章の織り成す綾に心が共振しているからなのだろう。この本はずっと身近に置いておこう。
〜 滅多に朝食は摂らない、と応える向きが少なからず居られるでしょう。斯く言う僕も、其の一人です。然りとて、旅行先では不思議と朝食を摂る確率が高いのです。此の点でも、頷かれる諸兄諸姉は多いでしょう。〜
〜 睡蓮を想起させる内装は、正しく欧州です。或いはレニングラード改めサンクトペテルブルグ辺りのホテルを想起する向きも居られましょう。肌合いの異なる者同士が業務朝食を摂る卓の目立つ平日の収斂感も、一転、セーター姿で穀類を口元へと運ぶ休日の豊潤感も、共にお勧めです。〜
はっきり言って、途中の関係ないところはどうでもよくて、でも、最初と最後の批評は的を得ている。しかも、私が昔 親しんでいた日本語を、ぴあ だから、ちゃんと訳語をつけているところがアナログ というか シュールで、ユニークで、本当にいい。まるで線香花火!と思っていたら、その技術には大輪の花火が、といったところ。
因みに、上記のお店は パレスホテルの レストラン スワン。ここは 先輩と入社当時 1月に1回 朝食をとった思い出の場所。書いてあったようなビュッフェはとらず、個人の好みのはっきりしていた私たちは、いつも別々にとって、もりもりと食べて、近況を報告しあったものだった。そういう形で、強情な私を見守り、さりげなくアドヴァイスくださったICUの先輩だった。
一つしか上でない 彼女の心遣い。私は今?
何故好きなのか。文章は上手だが、勿論本職の小説家やジャーナリストとは異なる。だがそんなこととは関係なく、この人の生きる姿勢が好きなのだ。パリであろうとなかろうと、この人が描く食卓を通じて、毎日の生活を楽しむことのできる大人であることがわかる。旺盛な好奇心、環境に順応できるしなやかさと呑み込まない自分の視点を兼ね備えている。
お気に入りの章は「ポトフ」と「サラダ」。王様も乞食もみんなポトフが大好き。時間はかかるが工夫によっていろいろな料理に応用がきき、結局主婦にとっての嬉しい味方だという。いろいろな肉や野菜を入れて作り上げる過程が、まるで煮込む香りまでしてくるようだ。
トゥール、ブルゴーニュ、ニーズ、プロヴァンス、エヴィアン、シャンパーニュ、ボルドー、カッシ、アルザス。パリから、ある時はおいしいワインを、ある時は素晴らしい食事をとって人生の貯えのために、出掛けるという。ただおいしいものを味わい、全身で感じたい、という筆者の情熱に魅せられて読み進めてしまう書。
とはいえ、映画の書評は初めて。意外(勝手な思い込みだが)と硬軟とりまぜて映画をとりあげていて驚いた。「幸福の条件」「ニキータ」「RAMPO」「TBSドラマ〜友達の恋人」から「心の指紋」「軌跡の海」「希望」など。一作ごとの書評ではなく、「<信じる>ことの周辺」「情念の行方」「冷ややかな映像の孤独」といった視点から複数の映画を挙げて想いを表現していて読ませる。
彼にとっての映画は「人間は幸福に向かって長い人生を歩く。・・・私にとって映画とは、こうした人生にそってつづいてくれる長い道なのである。」という言葉で表わされている通り、「好き」を超え、生きている限り求めざるを得ない本能なのだろう。この本を読んでいて、私もまた観たい映画の貯金ができた。
22の帖からなり、さまざまに西行に思いを寄せる人達が語り行く西行像。それは文字の絵巻物 と言える。悩み、行動し、満ちを切り開いていく、静かで強い人間が描かれている。弟子として彼を深く洞察する藤原秋実が作者の投影であるとすれば、西行はかれが生りたかったひとつのイメージではないだろうか。
生きる道を切り開くこと、と言い直してもいいかもしれません。現身の人間はたえず無明の闇に迷います。手探りで満ちを求めなければなりません。歌は、そういう手探りの一瞬一瞬に、ぱっと輝く松明のあかりのようなものでありたいですね・・・それは私自身が救われたいからかもしれません。そのために救いの道を考えます。考えて考えて考え抜きます。この考えを光明のなかに保ってくれるのが言葉であり、歌なのです 〜十二帖
いかにもイギリスらしいハードボイルドで、お色気もなく、ひたすら救出と戦い。その中で、本来だったら投げ出してもいいような救出を、なぜか駆り立てられるように執拗に繰り返すハイドと、彼の仕事を嫌がりながらも結局身を挺して共に作戦をになう恋人ロス。硬質で読み応えあり。
「二度目の破滅」 ロバート・B・パーカー
2001.ハヤカワ文庫
「二度目の破滅」 ロバート・B・パーカー
2001.ハヤカワ文庫

「敵」 デズモンド・バグリイ
早川文庫 720円 1986.4.
英国情報部員ジャガードは、恋人の生物学者ペニイの自宅を訪れ、彼女の妹が硫酸をかけられる事件に出くわす。はじめはプライベートな問題として捜査を開始したが、彼らの父アシュトンの経歴が情報部の最高機密になっていることを知り、公私共に事件に巻き込まれていく。
「多重追走」 ウイrィアム・バーンハート
2000.講談社
「セイント」 B.ベアラー、J.ヘンズレイ
徳間書房 495円 1997
世界制覇をたくらむロシアの石油王トレティアックの依頼を受け、英国の科学者エマの核に関する発見を盗もうとするサイモン・テンプラー。ところが、エマとサイモンはお互いに恋心を抱くようになる。とはいえ、サイモンは一度は盗んでトレティアックとの契約を履行するが、裏切りにあう。かくして逃避行と復讐、のお定まりのコースとなる。
「カムバック ヒーロー」 ハーラン・ベーコン
ハヤカワ文庫
バスケの学生・天才選手だった彼に、選手としてチームに入り、失踪したスター選手を探し出してくれとの依頼が舞い込む。ものごころついたころからのライバルがいたチームに?そしてよりにもよってそのライバルを捜せとは?やがて彼自身の過去も掘り起こすことに・・・。
「シリコンバレーを駆け抜けろ!」 ポ−・ブロンソン
1999.角川文庫
「大統領の娘」 ジャック・ヒギンズ
2000.角川文庫

「モロッコへ行こう」 池田 あつこ
中公文庫
かわいい猫の絵のダヤン、意識したことがなくてもきっと見ていることでしょう。デザイナーにしてイラストレータである池田さんの初ヘッセイ。
薄いし、絵ばっかりのような気がして、手にはとってもしばらく買わなかった。でも、やっぱりモロッコに行ってみるなんてちょっと変わっている、と思って読み始めた。これがなかなかいい。絵が写真よりもその雰囲気を伝えている。写真はよほど意識しないと伝えたいものをしぼって伝えることが難しいが、イラストだとそれだけとりだして強調し易い。また、コメントも ぽつり というか ボソリ というかひとり言を言っているような、気持ちが伝わる言葉がいい。アフリカとイスラムのないまぜになった濃い文化の地で、妹と二人で足の赴くまま歩き回ったこの人の紀行文は、一滴の清涼剤のようだ。
「夜中のブランデー」 池波 正太郎
文春文庫
歴史小説に興味がなかった私が、会社の人にこの人の本を進められて読んでおもしろかった。エッセイは如何にと読んだのがこの本。私たちとは昼夜逆転した生活時間で、ブランデーを飲みながら原稿を書いているところからはじまり、何年か書きためたエッセイで時の経過とこの人の嗜好の変化がみられ、最後、年を経てブランデーを飲むのは夜半になったと結ぶ。お酒とのつきあいや人とのつきあい、記憶や思い出、自分の価値観のルーツ。そういったものを淡々とした筆致で、独白のように紡いでいく。きっと、夜中にブランデーをちびちびとなめながら、誰もみな寝静まった静けさの中で、ひとり 思い出して笑いながら、或いはしみじみとしながら原稿用紙を埋めていったに違いない。自筆の絵を見ているうちに、ふとそんな情景が思い浮かんだ。
「ロングキスグッドナイト」 ランドル・ボイル
ハヤカワ文庫 650円 1997
教師であるサマンサはクリスマスパレードに参加していた。いつも通りの一日が終わるはずだった。ところが帰りの車の前に動物が飛び出してきて事故に遭い、記憶喪失になる前の自分を徐々に取り戻す。一方、昔の彼女を知る組織がTVで放映されたパレードを見て愕然とし、彼女を抹殺するべく襲いかかる。
「逃走」 ベサニ−・キャンベル
1999.講談文庫
いつもの散歩だった。ところが、突然 銃が火をふき。
目撃していた天才の双子と、その教師ローラが風変わりな検事補モンタナと逃走劇を始める。
「女精神科医」 ボニー・コンフォート
講談社文庫 838円 1997
精神科医サラの新しい患者はハンサムなやり手弁護士だった。何度か面談を重ねていくうちに彼女の周辺に
奇妙な事件が続発し、ついには彼女自身に対して訴訟が起こされる。
「死の微笑」 ハインツ・G・コンザリク
文春文庫 552円 1983
何人もの美女が、微笑を浮かべながらトランス状態で、衆目の中、殺人を犯していく。現行犯で逮捕されながら、反抗直後に肝臓を破壊されて次々と死んでいく。香港を舞台に九龍警察のティン警部とドイツの毒物学者メルカー医師が捜査を続けるが、謎は深まっていくばかり。
「審問」 パトリシア・コーンウエル
2000.講談社文庫
「死因」 パトリシア・コーンウエル 講談社文庫 780円 1996.12.
年も暮れようという大晦日の朝、海軍の元造船所近くの川底でダイバーの死体が発見される。
検死局への偽警官からの連絡、死体は顔見知りのジャーナリスト。気がついた時には、検死局長スカーペッタはカルト教団の大規模テロ事件の渦中にいたのだった。
「業火」 パトリシア・コーンウエル
講談社文庫
天才的な頭脳の持ち主でFBIからATFへ転職を余儀なくされた姪のルーシー。その彼女を実の娘として可愛がっている検死局長スカーペッタと元FBI心理捜査官のベントン・ウエズリー。彼らの生活に、ルーシーの恋人だった犯罪者のキャシーがまた舞い戻ってきた。
「警告」 パトリシア・コーンウエル
講談社文庫
ケイ・スカーペッタのパートナーであったベントンの書簡から物語は始まる。それは彼が前作でヒートガンで拷問を受けて死んだ後に、彼女に届いたのだった。
「ダディ 上・下」 ルー・デュラン
新潮文庫 480円
「第三双生児」 ケン・フォレット
新潮文庫 590, 629円 1996.
心理学科助教授のジニーの友人がキャンパスで暴行にあう。犯人を捜すうちにうかびあがってきた法律の学生スティーブ。しかし、彼を知るうちに彼にできるはずもないと思うようになる。では、彼の一卵性双生児の兄弟か?片割れは殺人罪で服役中。そこに「3人めの双子」の影が。謎をときあかそうとするジニーとスティーブの行く手に70年代まで進められていた合衆国保守派の「禁断の計画」が浮かび上がってくる。
「自由の地を求めて」 ケン・フォレット
2000.新潮文庫
「遥かなるケンブリッジ」 藤原正彦
新潮社 400円
留学から帰ってきてすぐに読んだ本がこの人の「若き数学者のアメリカ」だった。確か新田次郎の息子で、数学者。この手の留学物は数多くあるが、教授として、また数学者としての手記が珍しくてたまたま手を伸ばしたのだった。分かるところもあったし、私はそう感じなかったと思う部分もあり、いちいち反応して、言葉をかえればすっかり感情移入をして読んだ。その人が年月を経て、家族連れで今度はケンブリッジに客員教授として招待された経験を綴った本である。
「MBAマーケティング」 株式会社グロービス
ダイヤモンド社 2800円 1997.
「お勉強の為の本」はこの欄にのせるつもりはないが、当書は前から興味をもっていたマーケティングって一体どんな内容なのだろう、役にたつものなのだろうか、という単純な興味から読みはじめた。この本のいいところは、まずは最近のマーケティングの流れから紹介し後半に理論を解説している点、及び章の狙い→ケーススタディ→理論 という流れになっている点。勿論世の中の流れが早いから、ケースとして扱っている事例の解説について全て肯じえる内容でない場合もあるが、それでも実社会に即した問題意識の提示をしているので、理解・納得し易い。結局、この本がよかった為、私はグロービスのマーケティングの通信教育を始めることにした・・・。
「殺意のバックラッシュ」 ポーラ・ゴスリング
早川文庫 600円 1989
「頭に弾丸が撃ち込まれ、また一人、警官が消されていく。」(本の帯にのっていたキャッチフレーズ) まったく共通点がないように見えた連続警官殺人を、ストライカー警部補が解きほぐしていく。
「裁きのJ」 スー・グラフトン
ハヤカワ文庫 720円 1997.3.
自殺したはずの不動産会社のオーナーがメキシコで目撃された。保険会社の依頼を受けて探偵ミルホーンが調査
をはじめる。保険金目当てなのか、不動産詐欺の嫌疑を免れる為だったのか。事件に巻き込まれての失踪か偽装自殺か。
「クライアントの遺言」 ジニー・ハーツマーク
文春文庫 540円 1992
時間がなくて、やっとアポがとれて休日返上でクライアントの家にいってみると、何とクライアントは死体になっていた・・・。というわけで、黒い噂がつきまとっていた大物先物トレーダー殺人の第一容疑者は、弁護士ミルホランド。汚名をはらすべく、自ら謎ときに立ち上がる。
「バルセローナにて」 堀田善衛
集英社 400円 1994
アンドリン村にて、グラナダにて、バルセローナにて。この3章から成っている。
「鬼平犯科帳」 池波正太郎
文春文庫 440円
テレビでも有名な本書だが、今まで本も番組も見たことがなかった。会社の人がおもしろいよ、と言ってくれたので読む気になったのだが、確かに人気があるだけあって、この幕府の火付盗賊改方長官・長谷川平蔵さん、魅力的に描かれている。長官といえば、今でいう官僚なわけだが、仕事も家族も大切に思っており、酸いも甘いも分かっており、ある時は思い切った決断を、ある時は別人かと思うような情けを見せ、「鬼の平蔵」と一方では恐れられ、一方では慕われる親分肌もある。また、このシリーズに魅力は、江戸の町や文化が活き活きと描かれており、本書を片手に日本橋界隈など、出てくる地名を頼りに歩いてみたくなること。きっと、このまま2巻、3巻、と読み続けていくのだろうな。
「世界映画名作全史」 猪俣勝人
社会思想社
世界の映画の解説書。戦前・戦後・現代に分かれている。他に田山力哉氏との共著で俳優全史・作家全史、また同様に日本映画についてのシリーズもある。
「ホームページ用素材集」「同 和風コレクション」 インプレス
インプレス
「こころ・と・からだ」 五木 寛之
集英社 1996.
会社の同僚から借りた。彼の名前はよく聞いていたが、一度も読んだことはないので特に何の期待もせず、逆に言えば何のすりこみもなく読んだ。
「策謀」 ロバート・カレン
二見文庫 750円 1996.10.
モスクワで開かれた中東和平交渉が行き詰まりを見せる中、ロシアの核がシリアに流出している、といううわさを追ってアメリカの雑誌のモスクワ特派員、コリン・バークは独自に調査をはじめる。
「ガラスの天井に挑む女たち」 幸田シャーミン
扶桑社 1800円 1993.
ニュースキャスターとして一時期よくTVにでていた幸田さんのハーバード大学院留学時代の学友へのインタビュー。それぞれ、新聞の広告部長や広告代理店副社長など、社会的なキャリアを築きあげている途上で、今一度学校に戻って必死に勉強した女性たちの職業観、これからのキャリア・ビジョンや私生活における喜び・悩みを簡潔に引き出している。
このタイトルにもなっている「グラス・シーリング」という言葉は1986年頃から新聞に使われだしたらしい。70年代から職場進出しはじめたアメリカの女性たちが目に見えない障壁にぶつかり、職場を去った人も少なくないという。
「人とつきあう法」 河盛好蔵
1983.新潮文庫
以前すんでいたマンションに、に、彼の姪御さんが住んでいて、彼女の紹介もあってフランス文学者の彼の本を読みあさった。
「触れもせで−向田邦子との20年」 久世光彦
講談社文庫 420円 1996
TVプロデューサーとして、シナリオライターとしての向田邦子とのつきあいがはじまってから亡くなる迄の思い出を記したエッセイ。
実人生が何にも勝る勉強、仕事も生きた勉強・・・理屈をつければいいわけはいくらもできるし、またそうやって生きてきた。忙しさや人生を口実に、口当たりのいい本や、手軽に見られる映画ぐらいでお茶を濁してきた。けれどその夜、私の中に様々な本のタイトルが渦巻いて流れた。「二都物語」は読んだけれど、「天路遍歴」は読んでいない。ドストエフスキーは眉間に皺寄せて読み耽ったのに、ツルゲーネフは馬鹿にしていた。「トリストラム・シャンディ」は買うにには買ったが一頁も開いていない。・・・〜

「宿敵」 ポール・リンゼイ
講談社文庫 800円 1995
FBI捜査官ばかりを狙った連続殺人が起こる。怨恨か、それともサイコ・キラーか? 「タフ」で「やさしい」デヴリン捜査官の執念の捜査がはじまる。
「氷の男」 フイリップ・マーゴリン
ハヤカワ文庫 760円 1981
「殺しの四重奏」 ヴァル・マクダーミド
1997.集英文庫
郊外で警部に昇進したキャロル警部。不審火に目をつけながらもなかなか連続放火殺人を証拠づけることができず、同僚・部下との葛藤。
「サンフランシスコがいちばん美しいとき」 丸元淑生 編
1988.文春文庫
今改めて 10年前(私が行った頃)の本だとは。なかなか、写真とエッセイが読ませます。どちらかがすごくすばらしい、というわけではないが、アメリカの、それも西海岸の多面性の一端を示したエッセイ。
「暗殺−究極の否定」 デイヴィッド・マレル
新潮文庫 800円 1996
もとCIA情報部員だったデッカーはある事件をきっかけにそれまでの非人間的な生活にピリオドをうつ。美しい街サンタフェに移り新しい人生を歩み始め美貌の未亡人と恋に落ちる。しかし彼女と知り合ってから昔の仕事仲間に尾行されていることに気付き、不審に思う間もなく殺し屋に襲われ、彼女も失踪してしまう。恋人を探すために、一度は捨てたプロの生き方を再び身にまとい、どこまでも追いかけていく。
「賠償責任」 ボニ−・マクドゥーガル
2000.講談社文庫
「黄金のランデヴ−」 アリステア・マクリーン
ハヤカワ文庫 540円 1977
豪華客船カンパリーにシージャックが起こった。それも身代金目当てはなく、小型核兵器盗難による金塊強奪だった。カンパリー号の一等航海士カーターはじめとする死闘が繰り広げられる。
「男と女 装いの向こうに」 光野 桃
1998.講談社
「世紀末に、四十代という難しい時期が重なってしまった。・・・精神ガタフでなければ新しい世紀に辿りつけない。タフであるということは、自分の弱点も含めて正面から見据えることができるということだ。・・・なにかに負けそうになるとき、私はゆっくりと好きなものを数え始める。・・・友人が手で抱えてもってきてくらたオアハカの人面犬。・・・ミルバの歌うピアソラの「孤独の歳月」。娘が育てているバケツの中の稲。・・・晴れた日に歩道橋から遠くの雲を見ること・・・笑うこと。それらをしっかりと抱きしめて、私は時代の箱舟に乗り込もう。
「マロリーの神託」 キャロル・オコンネル
1998.竹書房
NY市警のキャロル・マロリー。その育て親であるベテラン捜査官マーコヴィッツが連続殺人の犠牲者に。目撃者は一人もいない。ベテランのマーコヴィッツがなぜ?
「スペインの食卓から」 おおつきちひろ
講談社 581円 1997
若くして結婚したshyな主婦が、子供とのスペイン旅行をきっかけに生き方が変わってくる様が時間軸とともに伝わってくる書。
「レイクサイドストーリー」 サラ・パレッキー
ハヤカワ文庫
穀物会社に努めていたいとこであり元ホッケー選手が埠頭から転落死した。自殺説が流れる中で、彼とは昔から仲が良かった探偵ウオーショースキーには信じられない。疑いをもって調べていくうちに、いとこのマンションは荒らされ、そこの警備員まで殺される。一人調査を続ける彼女にも魔の手が…。シカゴ海運業界の暗部を暴くV.I.ウヲーショースキー・シリーズ第二作目。
「蒸発請負人」 トマス・ペリー
2001.講談社
「心にとどく英語」 マーク・ピーターセン
1999.岩波新書
「地獄からのメッセージ」 A.J.クイネル
新潮文庫 590円 1996
26年前にヴェトナムで戦死したはずの兵士の認識票が兵士の両親に届けられ、生存の可能性に一縷の望みをかけ、かつて彼が尊敬していたクリーシーに現地での確認の依頼が舞い込む。謀略の臭いを察知しながらも、再びヴェトナムに潜入する。
「イローナの4人の父親」 A.J.クイネル
新潮文庫 590円 1996
戦後すぐに生まれたイローナには4人の父親達がいる。というのは、戦後すぐに客をとらねばならなかった母親は彼女をみごもるとすぐに、可能性のある4人を召集して誰かが父親である旨を宣言したからだ。その4人とは米英独ソの諜報部員達。十数年後、母親が死に、成長した彼女は父親達に合いたいと思う。願いはかなえられたが、会った翌日にその彼女がさらわれてしまった。一致団結してプロのテクニックを駆使して探しはじめるが・・・。

「独り居の日記」 メイ・サートン
1996.みすず書房

「骨董市で家を買う」 服部真澄
1998.中公文庫
「最強ヘリ ハマーヘッド」 J・サリヴァン
新潮文庫 680円 1987
旧知の凄腕の女性諜報員ローガンに誘われて、天才パイロットのプロスは英国が極秘で開発したハマーヘッドに試乗。しかし、のっけからミサイル攻撃に遭い波乱のテスト・フライトに。その後も諜報員が行方不明になる等、事件が続く。プロスは彼女を助ける為に国際的な陰謀の渦中に身を投じる。
「イ−ジ−マネ−」 ジェニ−・サイラ−
2000.早川
「何もなくて豊かな島」 崎山克彦
1998.新潮文湖
セブ島の沖合にあるカオハガン島を退職金で買った…。それからの島民との生活。日本の生活とは全然違うけれど、青い珊瑚礁に白い砂。その美しさだけではすまされない生活の厳しさもあるけれど、生きることって何だろう?本当に最低限必要なものって、或いは心って何なのだろう?考えさせられる一服の清涼剤。
「天涯」 沢木耕太郎
2001.集英社
「売名弁護」 リザ・スコットライン
講談社文庫 714円 1997
恋人の父である判事がセクシャル・ハラスメントで訴えられ、リタに弁護が依頼された。はじめは他愛な事件だと思って引き受けたが、原告の女性が惨殺され、判事が殺人事件の容疑者として逮捕され、真犯人捜査に乗り出さざるを得ない状況に。犯人は、判事か、その妻か、或いは恋人か。
「HTML ポケットリファレンス」 シーズ
技術評論社 1400円 1997
ホームページ作成に欠かせないタグを1タグ/1ページで説明しており、プログラム見本とブラウザ表示の見本が載っておりコンパクトながら知りたいエッセンスは全てそろった優れもの。最後にjava scriptの簡単な紹介と、素材を扱ったホームページの紹介もあり、これ一冊で怖いものなし!使いやすさ折り紙つきです。
「イタリアからの手紙」 塩野七生
新潮文庫 400円 1997
彼女の小説は「チェザーレ・ボルジェアあるいは優雅なる冷酷」や「ルネサンスの女たち」を読んだことはあるがエッセイは初めてである。彼女の小説のイメージの通り、自分の視点がはっきりしていて、しかも眼前に見ているかのような既にさせる表現力の確かさを感じさせる作品。
「花にもの思う春」 白洲正子
1997.平凡社
〜やまと歌は、人の心を種として、よろづの言の葉とぞなれりける〜
紀貫之 古今集
から解きほぐして、いかに新古今和歌集がそれまでの歌集と異なるのか、また主な歌い手にはどんなドラマがあったのか、歌を紹介しながら平易に解説している。
〜はかなくて過ぎにしかたをかぞふれば花にもの思ふ春ぞ経にける〜
〜桜花散りぬる風のなごりには水なき空に波ぞ立ちける〜
「トリエステの坂道」 須賀 敦子
新潮文庫
「サバが愛したゴリエステ。重なり合い、うねってつづく旧市街の黒いスレート屋根の上に、淡い色の空がひろがり、その向こうにアドリア海があった。」
「ヴェネティアの宿」 須賀 敦子
文春文庫
遊学時のルームメートとの生活を描いた「カティアが歩いた道」。
パリで勉強していた時に留学生特有の不安を抱いて大聖堂まで歩いていった思い出「大聖堂」.
珍しく自分の家族を描いて、その気持ちが分かって、思わず息苦しくなった「夜半のうた声」。
そして、父親との確執と思い出とを込めた「オリエント・エクスプレス」。
「それでも真っ当な店」 田中康夫
1999.ぴあ
ぴあの雑誌に連載されていた、辛口のお店紹介。というのは読んだあとで知った。最近、飲食業のマーケティングに興味があったのでとりあえず手にとってみた。
「女とお酒のいい関係」 友田 晶子
小学館
著者はワインコーディネータ。最近、ワイン指南の本などがはやっているようだが、特に領域を特定しているわけではなく、イタリア料理店を営んでいた両親をみて育った環境や、気のおけない女ともだちとの飲みのつきあいなどなど、自分とお酒の関係を素直につづったエッセイ。能書きをたれる訳でもないが、程よくお酒にまつわる知識も得られ、ちょっとした会話のスパイスに役立ちそう。また、いい飲み方=生きることの楽しみ方 をよく知っていて、元気がない時に読むと元気を分けてもらえる。おいしいワインやお気に入りの冷酒を嗜みながら、サラサラっと楽しめます。
「ヨーロッパ横町たべあるき」 田辺聖子
文春文庫
おせいさんとカモカのおっちゃんのヨーロッパ旅行。ローマ、ヴェニス、マドリッド、バルセロナ、パリ。安くておいしい、究極のグルメは赤提灯にあり、と西洋版赤提灯を探し歩く。最近いわゆる「グルメ本」がはやっているが、またヨーロッパの生活について記された書物も多々あるが、こういう発想はなかなかない。
えびのオイル焼きだけだけ出すバル。学生達とまじって飲むキリリと冷えた白ワイン。同じスペインでもショーウインドーの飾り方から違うマドリッドとバルセロナ。関西弁で綴られるヨーロッパ観察は、そのリズムのおもしろみと共に時に日本の食生活との対比から文化や価値観の違いも浮き彫りにする。読んでいて楽しくて、ふとぎくっとさせられるひと味違ったエッセイである。
「パリからのおいしい話」 戸塚真弓
中央公論社 640円 1996
マリ・クレールに連載されていたエッセイ。この人の名前は日経の夕刊にエッセイを描いていたので知っていた。読むと元気がでる、私の読む「ビタミン剤」である。
「パリからのおいしい旅」 戸塚真弓
講談社 524円 1997
タイトル通り、パリからすぐに行けるフランス各地について料理を軸に描いた旅日記。
「幸福までの長い距離」 辻 邦夫
文芸春秋 1429円 1997.
久しぶりに彼の本を読んだ。初めて彼の本を読んだのは中学生の時の「モンマルトル日記」。それ以来、「街 そして形象」といったエッセイ系、「嵯峨野にて」「背教者ユリアヌス」といった小説系、夢中になって読んだ。心の奥底をじっとそらさず見つめる真摯な視線に惹かれ続けてきた。
「西行花伝」 辻 邦夫
1999.新潮文庫
「救出」 クレイグ・トーマス 新潮文庫 743円
元英情報部員のハイドは、以前命を救ってくれたデリー機関のキャスがインド政府に拘束されたことを知る。インド選挙中のインド現首相をめぐる麻薬疑惑の証拠を握ったようだが、欧米寄りの首相に不利になることを嫌い、英政府はキャスを見殺しにしようとする。ハイドは恋人を巻き込みながら救出に挑む。