児童福祉
課題:児童福祉法の体系と実施形態についてまとめる

そもそも児童を巡る施策は、社会的養護である。その対になるのは家庭養護である。昨今の少子化にともなってより社会養護面が強まっている。子育て家庭支援事業(主に保育機能の強化)や乳幼児を抱える母親を対象にしたサポートネットワーク(ファミリーサポートセンター)などである。その他、母子保健の視点で妊娠検診から3歳児検診までの法定検診などがある。
その他思いつくままにあげると、児童相談所の機能強化など虐待やDV防止などが行われ、また児童育成事業としての売春・買春の防止強化や少年法の改正による少年犯罪の低年齢化に対応したものまで多岐にわたる。しかし、これらをすべて網羅して述べることは本レポートの範囲を超えてしまう。いくつかのスタディノート的な概説にとどめる。

児童福祉法は以下の関連法によって構成される。


児童福祉法の対象は18歳に満たないものである。乳児は1歳未満、幼児は満1歳から小学校就学の周期に達するもの。少年はそれから18までとする。
児童福祉施設として、助産施設、乳児院、母子生活支援施設、保育所、児童厚生施設、児童養護施設、知的障害児施設、知的障害児通園施設、盲ろうあ児施設、肢体不自由児施設、重度心身障害児施設、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設、児童家庭支援センターの14種類が定められている。
県・市町村の福祉事務所が対応する施設は、助産施設と母子生活支援施設である。保育所の実施は市町村が行う。その他は都道府県(児童相談所へ委任)。
1997年の児童福祉法の改正では、保育所の見直しがかなりなされた。
月刊福祉の項参照。
その他、放課後児童健全育成事業の法制化(第二種社会福祉事業)
児童相談所の機能強化〜都道府県児童福祉審議会に専門家を置き、児童相談所長が施設入所などの措置を行うさいその部会の意見を聞くこととされた。
児童自立生活援助事業〜自立援助ホームでは施設退所後の児童で社会的自立が出来ていない義務教育終了後の児童を対象として、施設と在宅の中間的な形態の民間事業として発展したもの。20歳まで延長できる。
名称の変化では、教護院が児童自立支援施設になり、就学の義務が所長に課されるようになる。母子寮は、母子生活支援施設に改められ、児童が20歳まで在所させることが出来るようになる。
その他、乳児院では2歳までの幼児を入院できるようにした。情緒障害〜施設は20歳まで、虚弱児児童施設の係る規定が削除され、児童養護施設と見なすものになった。〜一般に規制緩和と捉えるとよい。
児童家庭支援センターの創設では、児童虐待に対応したもの。

児童相談所は、児童の福祉と権利を保護する相談援助活動を主たる目的として設置される児童福祉行政の中核的な行政機関である。都道府県・指定都市が設置する義務を負っている。
業務は、相談、判定、指導、措置、一時保護の5つである。また、親権者の親権喪失の宣告請求、後見人専任及び解任の請求を家庭裁判所に対して行うなどの業務を持っている。相談業務で最も多いのは、障害の相談で約半数以上を占めている。意外だったのが、1歳6ヶ月・3歳児検診の精神発達精密健康診査がある。
判定としては、特別児童扶養手当、療育手帳の判定、引きこもり・不登校児童福祉対策モデル事業など多岐にわたる。
福祉事務所も児童相談所と同じ様な機能を持っているが、児童相談所よりも軽易なケースを扱う。先に述べた助産施設や母子生活支援施設、保育所などである。また身体障害児の補装具の交付などである。家庭児童相談室などがある。
保健所は、母子保健に関する知識の普及については市町村にも努力義務が課されるようになった。
児童委員は厚生労働大臣の委嘱により任命される民間奉仕者である。(民生委員とかねている)児童福祉司や社会福祉主事に協力することとなっている。1994年には主任児童委員が新に設置され、児童監督を担当する従来の活動に加えて、その他の児童委員との連絡・調整の業務を行うこととしている。

児童福祉施設
厚生省設置法により国が設置しなければいけないものは、児童自立支援施設と知的障害児施設である。自立支援施設は都道府県でも義務づけられている。運営に関しては、児童福祉施設設置基準、施設長の権限(親権の代理、監護、教育、懲戒などの措置権限がある)、児童福祉施設の費用がある。

障害児の福祉施策の現状では、
身体障害児は、健康診断、療育指導、育成医療がある。早期療育訓練では、肢体不自由児通園施設、難聴幼児通園施設、心身障害児通園事業などがある。また、ホームヘルプサービス(児童居宅介護等事業)が1990年に設立。1992年に主任ヘルパーを中心としたチーム運営方式が導入される。
補装具に関しては、身体障害者手帳の交付を受けている児童を対象に行われる(保健所・都道府県が所管)。あるいは、日常生活用具の給付も行っている(福祉事務所・都道府県所管)。
知的障害児は、予防、早期発見、早期療育、施設施策、療育手帳がある。1980年に自閉症児施設が制度化されている。第1種と2種がある。第1種は、医療法に規定する入院する必要のある児童が入所。第2種は、福祉型としてである。
その他重症心身障害児の福祉施策として、通園モデル事業が平成元年に設立されている。平成8年に一般事業化されている。

保護を要する児童の施策としては、児童自立支援施設や児童養護施設(就職した場合も6ヶ月入所が延長できる)、情緒障害児短期治療施設の年齢制限の撤廃、母子生活支援施設の年齢園長などの具体化がされている。乳児院に関しても2歳未満の幼児まで入所できることとした。
里親制度に関しては、保護委託者制度(職親制度)、児童自立生活援助事業、養子縁組斡旋事業(児童相談所が斡旋)などがある。

ひとり親家庭の福祉に関しては、資金の貸し付け(母子福祉資金13種類、寡婦福祉資金12種類)、児童扶養手当(所得制限あり、結婚によらない懐妊や認知されていない場合でも可)、母子福祉センター(相談)・母子休養センター(レクレーションなど)、ショートスティ、トワイライトステイ(父子家庭の施設による夕食提供など)、父子家庭など支援事業、母子生活支援施設(児童福祉法:福祉事務所から措置される)、税制上の措置として寡婦控除、寡夫控除、遺族基礎年金・児童扶養手当受給者などに対する利子所得の非課税制度(マル優)などがある。
2005.12.3

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