ゲキシンK.O.GEKISHIN K.O.(ゲキシンK.O.)
もともとデザイン系の会社である、グラフィック・ジャパン(以下GJ)からリリースされたボードゲーム。一時期、日本においてもボードゲーム熱があったことは以前にも書いたので省略する。で、どういう経緯でGJがボードゲームをリリースすることになったのかは私には分からない。
 GJが発売したゲームは日本らしい作りである。またデザイン会社らしいコンポーネントである。まず、A4のバインダーの体裁をしている。ちょうど、バインダーを広げるとボードになる。また、中のコマとかがクリアファイルのようなポケットに納まっている。文房具のようなコンパクトな作りである。また、コマ一つ一つ、ボードの外・内装の作りとデザインが丁寧である。さらに、ゲーム人口の少なさを意識してか二人から四人までである。特に二人で行う対戦系のゲームが多い。ゲームの内容もスポーツ、野球、バスケ、サッカーなど一般に認知されたものである。GJは、今のところ9タイルを発売している。最後に発売されてから1年以上たっているため今後も発売されるかは不明。一律3990円であったが、現在、アマゾンのおもちゃコーナーにて3000円くらいで購入できる。
ゲキシンは格闘技をモチーフにしている。格ゲーといっても差し支えない。
カード
1.カードは、プロレスラー(投げ、大技)、シューター(打撃中心)、テクニシャン(関節とか)の3種類に分かれる。その山から、それぞれが攻撃を組み立てながら5枚をチョイスする。
人型のコマ
2.はじめに人型のカードを前後に1マス進める。これが間合いになり、カードに書かれている距離に該当していれば攻撃が可能になる。
3.攻撃側は、カードに書かれているモーションのみを宣言して、場に裏返しにおく。
4.防御側は、サイコロを振ってモーションの値を引いただけの数を防御する。例えば、モーションが2と宣言されたら、サイコロを振って4がでた場合は2カ所防御できる。
防御のコマなど
5.攻撃側は、カードを表にして防御されていなかった場合は、その箇所にダメージを負わせることができる。その箇所のコマをダメージ分上昇させる。で、10以上どこかのダメージが蓄積したら勝ちになる。
6.防御されている場合は攻撃失敗で、手札を山から補充して終了。もし、攻撃が成功し、手札で間合いが合致しているカードがあれば引き続き攻撃をすることができる。いずれにしろ、攻撃が終われば手札を5枚にして攻守交代となる。
この他、細かいことは色々あるが、だいたいの流れはこんな感じ。

シューターは、間合いが遠いところからの回し蹴りなんかが多い。テクニシャンは間合いが近いところからのネチネチとした攻撃が多い(攻撃が成功したら、サイコロを降り続けて例えば5.6がでるまでダメージを蓄積させていったりできる)。プロレスラーは、「ぶちかまし」から「ドロップキック」などの連携が豪快で、決まればダメージが大きい技が多い。また、間合いを外して「深呼吸」をしてダメージを軽減させたり、逆に、「気合い」を入れて、次の攻撃のモーションを小さくしたり、ダメージを大きくしたりする連携カードもある。さらに、攻撃が成功した場合、相手を下がらせたり、近寄らせたりして、次の攻撃をしやすく(場合によっては出来なく)することもあり、どの山から連携して攻撃していくかを練りながらチョイスしないといけない。
また、サイコロの運もあって、いくらモーション値が少なくてもサイコロ運が悪いとどこも防御できなくてもろにくらったりする。また、1箇所とか2箇所しか防御できない場合は、どこを守ればいいのかすごく迷う。相手も意表をついてくる場合がある。逆に、攻撃が集中しすぎて、例えば頭に8ダメで他が無傷だと攻撃も短調になりがちになる。連携でまんべんなく防御をずらして当てていく工夫が必要になる。最後は、どこもかしこもダメージが蓄積されてどこを守ったらよいか分からない状態になるが、それもドロドロとした格闘技の醍醐味を表現している。

とにかく熱いゲームである。言葉のゲームといっても差し支えない。手札から攻撃を組み立ててて、どこをどう攻めていくのか。間合いをどう計るのか。相手がテクニシャンのカードを多く手札に入れているから間合いはあまり詰めないで打撃で組み立てようとか。こうした攻防の後に、例えば「ジャブ」を放ち、「気合」でモーション値を少なくして、「腕殺しのミドルキック」を放ち、ガードが下にいったすきに、「アッパー」を繰り出そうとか。テクニシャンは、「すり足」でさらに一歩前進して、「片足タックル」をかまし、さらに間合いを詰めた後に「腕十字」、それが解かれると、「チョークスリーパー」へ移行する…無限地獄を味わってもらうぜとか。それぞれのストーリーで相手に攻撃をしかけていく。
また、防御側も、後頭にくらうとKOだが、ボディを防御しないと全体にダメージをくらってしまう。どっちを守るべきか。この間合いだし、レスラー系を多く手札に入れていたから、ドロップキックかなとか読みもある。最後の方は、お互いぼろぼろで、様々な攻撃が当たり、または防いできているので、その過程を振り返ると、すごい試合をしてきている。様々な手を尽くして、最後に決めるのはどの技なのか。最後の気力を振り絞って攻撃と防御を繰り出す。当然、自分で自分の攻撃を実況中継する。まわりから見るとバカでしかないが、格闘技そのものがバカなので、バカ同士熱く闘うのである。
実際のプレイ時間は、30分もあれば一試合終わる。しかし、濃密な30分である。そして、だいたい一試合行うとゲームの構造も分かる。あとは、ひたすら熱く闘うだけである
2005.5.8

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