安田均のFANTASY GAME FILEより

ここでは、上記の本よりTRPGの変遷を引用したいと思います。この本は、平成8年9月に初版発行されたもので、幾分古いかも知れません。しかも、どちらかといえばSNEよりなので(当然ですが)、周辺の和製のTRPGについては、説明不足なところもあります。

1990年代になってTRPGには3つのはっきりした流れが見られるようになった。
一つ目は「AD&D」の第二版が大きくヒットしたように、ファンタジーのRPGが二〇年もの歴史を持つようになって、一つの完成の域に達し、細部までその雰囲気を再現できるような作品が登場し始めたことである。こうした動きは、それまでの歴史を生き抜いてきた優れたRPGがどれも改訂版をだし、形を整えたことも現れている。
二つ目の流れは、スティーブ・ジャクソン社の『ガープス』が偉大な先駆者といえる。汎用ルールの流行だ。
三つ目の流れとして、RPGがストーリーのゲームとしての側面を強調し始めたことだ。九〇年代を代表するRPGとして「バンパイヤ」等ホワイトウルフ社のストーリーテラー・シリーズが、これを端的に表している。ルールは汎用システム、それも実は簡単なものだが、ルールに規定されないルールというべきプレイヤーの役割演技、ストーリーへのこだわり。
こうした流れに対し、ややRPGが真面目に入れ込みすぎて、重たくなっているという見地から、もっと軽いゲームとしてのRPGを楽しもうとする動きも見られたが、それほど影響を与えることはなかった。
一言でいうと、九〇年前半のRPGは新しいジャンルやテーマの発見といった盾への展開よりも、それまでのRPGが持っていた良さをさらに完成させるという横への展開を中心にしていたといえるのではないか。
そして、現在RPG界は、それに近いところで発展を遂げるトレーディング・カードゲーム(TCG)と交わりつつある。判定をサイコロ代わりにカードを使用するという形態から、イメージ喚起に用いるという方針をとる。

「マジック:ザ・ギャザリング」
の隆盛からTRPGの伝統的なものがTOGのシステムで発売するようになる。もともと、TCGは日本でもあったが、自分の好きなカードであらかじめ組むことが出来るというシステムが受けて、「マジック:ザ・ギャザリング」が爆発的に人気を呼ぶ。
カードの追加については、TRPGでも基本セットだけでなく、設定集や追加ルール、リプレイや小説が付加されていくごとにゲームがより面白くなっていくことと同様なことである。

コンピューターゲームの発展はRPGやSLGが気軽に楽しめるようになったこと、ネットワークを利用したメールでのRPGがより身近になってきていることが言及されている。しかし、最後に
「TCGのようなシンプルな人間同士のコミュニケーション・ゲームが、新しい形で復権するかも知れない」
と予言している。

メモ
最後のTCGのようなシンプルな〜という予言は当面は当たっているようである。
コミュニケーションとしてのゲームのスリリングさは、「非電源ゲームの魅力」にも書いた。

現在の2001年現在。和製のTRPGはカードやチップを使ったゲームが、とりあえず発展体として提示されている。世界観やキャラクターに求められる役割が明確であり、ストーリーテリングのためのシステムが中心になっている(主に、F.E.A.R)カードに関してもシナリオのイメージになるような形態であり、プレイヤーにとっても意味ありげなカードになったり(深淵)、カードとシステムは切っても切れない関係になっている。

また、昔(D&Dを筆頭に)は、追加ルールや世界観、シナリオなどを別々に購入しないと遊べないとか雰囲気をつかめないことが多かったが、最近は、一冊でとりあえず遊べる形態が多く、しかも安くなっている(^<^)。

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