2005.11
福祉施設の現状と課題

北場勉「福祉施設の歴史的変遷と今日的課題」
一括して語るのではなく、各施設ごとに論じる必要がある。それは、歴史的背景や設立要件が違うこと。民間福祉施設への公的助成の方法が異なっている。
国の法律に基づく福祉施設としては、感化法(明治33年)に基づく感化院が最初であるが、現在の福祉施設の原型は、救護法(昭和4年)に規定された救護施設である。その後、母子保護法(昭和12年)の母子保護施設〜役割としては救護施設と同じ。社会事業法(昭和13年)で公的助成の在り方が決められる。戦中は、旧生活保護法(昭和21年)で保護施設が一括された。戦後は、児童福祉法(昭和22年)で通所施設としての保育所が位置づけられる。〜今日の制度へ。
戦後の福祉施設の共通点

〜この辺は大学院のレポートを参照。

福祉施設が営利事業者などの民間事業者と異なり、税制上の優遇措置や補助金制度の対象となる公益性を有している根拠については、これまでの国家実施責任に基づく国などの事務の代行者であるという以外の論拠が必要になる。公的機関が実施する事務であることのみをもって公益とするのではなく、積極的に不特定多数の利益の実現を図ることを基本に公益をとらえる方向が示されている。民間の福祉施設においても国などから委託された、又は利用契約を結んだ特定の利用者のみならず、不特定多数の地域住民の利益を図る実践に取り組むことで、新しい公益性を証明するべきであろう。

国府田文則「介護保険制度改革、障害者自立支援法案に見る福祉施設のこれから」
今回の介護保険制度改革の最大の中核は「予防重視」と「地域の生活圏ごとの住宅支援・在宅復帰支援ネットワークを構築する」事である。圏域は、中学校区ぐらいである。
障害者自立支援法では、市町村の法的義務として市町村障害者福祉計画が定められることにある。この法案の目標は「身近なところで自立のために必要なサービスを利用できる地域ネットワーク」である。
障害者の問題として

田村静子「再考 生活の場としての福祉施設」
介護保険の改正では、介護老人福祉などの利用者負担に、居室利用料や光熱費などのホテルコストの導入が含まれることになった。これにともない、高齢者の介護の場は居住の場として明確に位置づけを持つことになり、個室化・ユニットケアといった住まいの性能が条件付けられるようになる。〜障害者自立支援法でも同様である。
しかし、生活空間という面では、どうにか介護老人施設では可能になるが、その面積は未だに低水準であり、他の障害者施設や救護施設の基準は遙かに低い事が問題である。

鼎談
福祉施設の課題とこれからの役割
2005.6に行われた介護保険法の改正では、養護老人ホームなど保護費負担金が廃止され、一般財源化された。なかでも社会福祉施設など施設整備費及び保健衛生施設など施設設備費の一部が廃止される。平成17年から代替案として対応することになる。それが「地域介護・福祉空間整備等交付金」である。これは、小規模特別養護老人ホームなどの地域密着型サービス拠点や地域法活支援センターなどのなどの整備について、国が市町村に直接交付金が出されることになる。これは、基本的に市町村に権限と財源を委譲させようとする方向性が明確になっている。
居住費と食費の徴収については、従来年金の給付額の中に含まれているが、施設にはいるとそれらの費用が介護保険からも給付される。いわゆる重複給付を解消する事が目的。しかも、食費・居住費の利用者負担の導入によって、福祉分野で初めて、自由価格制が導入される。これまで、全て公定価格として料金が設定されていたが、自らが提供するサービスについて、その質に応じて自由に価格を設定して良いことになる。

コメント
ここで強調されているのは、より広範な福祉対象者である。というか、国民の利益〜それも実施主体としての施設が必要とされる。具体的には、近隣住民にとって福祉施設は地域社会にメリットのあるものだと思わせることである。これまでの専門分野におけるケアはもちろんのこと、こうした広報活動や使い勝手の良い便利屋的な存在になれと言うわけである。希薄になっている地域の住民意識を盛り上げろと。また、誰でも使えるように受け入れろと言うわけである。
良く聞く言葉として、地域密着とか住民主体と言うが…は〜〜?寝言は寝てから言えである。
2005.11.12

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