P H O T O   E S S A Y

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最初のインドの旅にはテープを1本持っていった。

ビートルズの"Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band"

B面1曲目ハリソン作の「Within You Without You」のタンブーラの音色が

移動中の列車やバスからの窓越しの風景に響きだす。

<<<<< calcutta, india >>>>>

 

ひと昔前のヒッピー・ムーブメントの拠点として有名なゴア。

日暮れを水平線で追った後は各自バンガローに戻り

安物のワインやビールにうつつを抜かす。

毎夕、約束事のようなスコールがすさまじい雷と共に訪れる。

<<<<< goa, india >>>>>

 

本当の人力のリキシャは当時でもカルカッタのみ。

「歓喜の街カルカッタ」の主人公のように

このリキシャマンも遠い村から出稼ぎに来たのだろうか。

ファインダー越しの彼はまるでマハラジャ。

<<<<< calcutta, india >>>>>

 

i n d i a < 9 >

 

インド亜大陸の旅は多くの神々との出会いの旅でもある。

日頃宗教心の無い我らは、この国の大いなる信仰にどう向き合えばよいのか。

おそらくこれっぽっちの成果もなくまたコンクリートの町へ帰るだけ。

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商業都市ボンベイ(ムンバイ)はプア・ツーリストに最も過酷な町。

宿も食事も軒並み銭がひとけた増えてしまう。

ここではノミ・シラミと戦いながら食物を自給する防衛手段で近くの市場へ。

<<<<< bombay, india >>>>>

 

金持ちの死者はたくさん薪を使いよく焼いてくれるが

金が少ないと中途半端でもガンガーに放り込まれる。

また自殺や子供の死体は焼かずに流される......

一番わかっているのは焼き場を見守る禿ワシ達なのかもしれない。

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i n d i a < 8 >

 

別名"ピンク・シティ"と呼ばれる町ジャイプール。

張り子の"風の宮殿"も像のタクシーで行く"アンベール城"も観光地然としてただむなしいだけ。

難しい政治問題を吹っかけてきた学生の兄ちゃんのまなこだけが印象的。

<<<<< jaipur, india >>>>>

 

歌あり踊りありのアクション恋愛大スペクタクル!?

世界最大の映画産出国にて看板屋は今日も大忙し。

その看板の力量もなかなか侮れない。

今日もインド中にラタ・マンゲシュカールのカン高い歌声がこだまする。

<<<<< calcutta, india >>>>>

 

深夜バスを降り眠気まなこのまま目的の宿を探す。

真夜中であるにもかかわらず、すぐに小僧がまとわりつく。

「"ルービー・ホテル"なら知っている。こっちだよ」

さんざ連れ回された挙げ句に着いたホテルは"グルービー・ホテル"であった。

南インドの聖地マドライの初日の出来事。

<<<<< madurai, india >>>>>

 

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重たそうに灯油缶を持つ少年の背後で

見事な体格の母らしき女性がなにやら激しいけんまく。

体格以上に存在感のあるビッグ・ママはここにも健在。

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遠い町からやってきた上位カーストの姉妹。

聖地の沐浴場で飲むチャイは、上位であろうが下位カーストであろうが

そのチャイの水が泥色に染まっているそこのガンジス川から汲んだものということだ。

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ひんやりとした大理石の感触。

異教徒のプア・ツーリストにでさえ敬虔な気持ちにさせる"魔法の絨毯"である。

たたずむ所はインド最大のモスク「ジャマー・マスジット」

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i n d i a < 6 >

 

ニルギリ茶で有名なニルギリ山中にある小さな町。

夏は賑わう高所の避暑地も乾期はいささか冷え込む。

目の前のほほえましい家族のやりとりに少しだけ暖をとる。

<<<<<ootacamund, india >>>>>

 

あなたは何処から来たの? 歳はいくつ? 何してるヒト?

笛いらない? 船に乗らない? 両替は?

もう何日この町に投宿してるのだろう。

<<<<< varanasi, india >>>>>

 

町の庶民のレストラン。

今日はちょっと贅沢して「ターリー」〜大皿〜を所望。

インディカ米のパサパサ感がいまだに好きになれない。

インドの庶民のレストラン、ヒットの確率は本日で2割8分5厘というとこか。

<<<<< varanasi, india >>>>>

 

i n d i a < 5 >

 

プーリーの「サンタナ・レストラン」を知ってますか。

悲しい事件のあともずっと地元の警察や小悪人からいやがらせを受けている悲しい宿。

どこにでもある静かな漁村の、どこにでもあるいやな話。

<<<<< puri, india >>>>>

 

3月の満月にあたる"ホーリー祭"には要注意。

5分も歩くと君の自慢のクルタやバイジャマ、サリーはあっというまに極彩色に彩られ、

翌日は一日仕事の洗濯が待ち受けている。

<<<<< varanasi, india >>>>>

 

今夜の寝床はコバラム・ビーチのとある民家。

はなれの便所で大用を足してると、便器の中から豚の頭が現れる。

放出したモノを食べる豚の群を便器の上から眺めつつ

「エントロピーの法則」ってやつを考えた。

<<<<< kovalam beach, india >>>>>

 

i n d i a < 4 >

 

「5時10分が日の出だよ」深夜営業のチャイ屋のおやじが教えてくれる。

岬の浜では働き者の漁師がすでに船出し、漁に精出す。

インド最南端コモリン岬は夜明けと日暮れが両方見れる。

<<<<< cape comorin, india >>>>>

 

乾期の水量の少ない時期だけかかる、いかだの橋。

バラナシのガンガー南にあるこの橋の橋げたには

白い布に包まれた子供の屍など、マニカル・ガート(火葬場)のおみやげが多数ひっかかる。

道行くヒトは興味も示すことなく通りすぎるのみ。

<<<<< varanasi, india >>>>>

 

インドの町を歩くとノラ牛とノラ犬にあたる。

ノラ犬・ノラ牛・ノラ旅行者、皆同じようなもの。

「あの国の"ワンちゃん"と、この国の"ノラ公"とどっちがシアワセに暮らしているのだろう」

とノラ旅行者は思った。

<<<<< calcutta, india >>>>>

 

i n d i a < 3 >

 

コップ酒の空瓶ぽいモノの上にちょこんと乗っかっているのは

あのマハトマ・ガンディーの命を奪った一発の銃弾。

私の最初の旅の時の元首はインディラ、2度目はラジブだった。

もはや亡き人物となったこの国の指導者達の歴史は厳しい末路を繰り返している。

<<<<< delhi, india >>>>>

 

聖地や遺跡の見学もそこそこに

今日もまたたくさんの観光客がサリーやカーペットの店にはせ参じる。

その空間はインドを離れ、一大見本市のコンベンションホールと化する。

<<<<< varanasi, india >>>>>

 

インドの北の果てシュリーナガル。

君に金があろうが無かろうが、ハウスボートの世話になるだろう。

乗ってしまえばもう逃げられない。

後はそこの主人の人柄を神に祈るだけ.....

 <<<<< srinagar, india >>>>>

 

i n d i a < 2 >

 

今朝もダシャシュワメドガードは大にぎわい

少女が手にしているのは霊を鎮める花と蝋燭。

巡礼者と観光客と子悪党が入り交じる。

<<<<< varanasi, india >>>>>

 

アグラの「タージ・マハル」をモデルに建てられた「ビービー・カ・マクバラー」。

デカン高原にある古い市場町アウランガバード近郊に今もひっそりたたずむ姿は

一方の偉大な建造物と比べると訪れる者も少なく、小さく、少し薄汚れたその様は

なにやら哀愁を感じずにはおれない。

<<<<< aurangabad, india >>>>>

 

カルカッタの夜は昼の喧噪を引きずったまんま

せわしく、汚く、美しい。

暗闇で白いまなこがあっちでギョロギョロ、こっちでギョロギョロ。

<<<<< calcutta, india >>>>>

 

i n d i a < 1 >

 

70年代は横尾忠則が、80年代は藤原新也が私のヒーローだった。

みんなインドを旅してる。

90年代は少し胡散臭い人達が彼の地を徘徊してたらしい。

<<<<< varanasi, india >>>>>

 

インドも田舎はまだまだ穏やか。

口論しながらやってきたジイ様どもも

カメラを向けるととたんに仲良し。

おて手つないでハイ、ポーズ。

<<<<< cochin, india >>>>>

 

あらゆるモノがあふれているはずの東京に、ちっとも色を感じない。

その点、第三世界へ旅すると

万華鏡の色彩を感じずにはいられない。

ふたつのメダマがウルウル喜んでいる。

<<<<< calcutta, india >>>>>

 

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