実験芸無小説
フロンティア群勇伝
FF8にも飽きてきたので、来るべきサガフロ2の為に練習を兼ねて、一作目をちょっぴり小説化してみます。
ここでは、あくまでも練習ですので、推考無しで書き散らして行きますので、変な表現には目を瞑る様に。(笑)ま、指摘いただいた分には随時対処しますし、気づいたら後からでも随時改訂はします。
どの主人公でプレイするか、ちょっと迷いましたが、最も進んでいないレッド編をやり直す事にしました。
主題歌なんか作ってみようかとも思いましたが、このストーリーでは、まるで仮面ライダーV3になりそうなので止めました。
いいのを思い付いた人は、感想と共にメールして下さい。ここで、紹介します。
で、取り敢えず、サガフロ2発売を目処に中止し、多分そのまま終了して、本来の方へ進みます。
ちなみに、メインタイトルの”群勇”は、普通”群雄”じゃないか、という指摘があるだろうと思いますが、これは主人公に女性も多いので、あえて”勇”に置き換えてみました。もっともこの場合、女性である事と”雄”の文字は関連ないので別にかまわないのですが、小説のタイトルによくある言葉遊びだと解釈して下さい。
快傑アルカイザー
ハイウェイを疾走する一台の青いオープンカー。
運転しているのは、赤いシャツに、青い髪をピンピンに立てている、まだ少年っぽさが抜けきらぬ様な青年だ。
助手席のシルバーグレイの上品そうな紳士は、バイオメカニクスの権威、小此木博士である。してみると、運転手は博士の息子、レッドに違いあるまい。
博士は、先ほどから運転席の息子の横顔に、話し掛けていた。
「・・・・Dr.クラインが組織の幹部と結託している証拠だ。
これをIRPOを持って行けば、Dr.クラインの悪事を阻止できる」
「父さん、なぜそこまでDr.クラインの事にこだわるんだ?」
「彼と私は共に学んだ。だが、彼は研究の為には手段を選ばなくなっていった。
私はそれを止めることが出来なかった。
学会から阻害されていく彼を救えなかった・・・・
私はこれ以上彼に悪事を重ねて欲しくない。あんな風になってしまっても、彼は私の友だ」
その時、車のボンネットに、何か巨大な影が飛び乗って来た。かなり質量のあるものらしく、ボンネットのひしゃげる音と共に、レッドはハンドルにかなりの反動を感じた。
視界を塞がれて彼は、反射的にハンドルを切ってしまった。横滑りする車体の行き先に、ガードレールが見える。しかし、その先に地面はなかった。
レッドが気づくと、車の外に放り出されていた。
「うっ・・・・痛」 立ち上がろうとすると体のあちこちが痛んだが、それほどひどい怪我はない様だ。
ガードレールの外は、10メートルほどの緩い崖だったので、この程度ですんだのだろう。
見回すと、父の姿がない。
「父さん!」 呼べど、返事はなかった。よく見ると、助手席には少し血の跡が見つかった。
「くそっ、ブラッククロスの奴等め・・・・」
幸い自宅の近くだったので、まず家族に知らせて、家の電話で警察に通報すのがいいだろう、とレッドは思った。どのみちこの郊外では、自宅が電話のある一番近い場所のはずだ。
小さな森を抜け、自宅近くにさしかかったとき、レッドの耳に何かざわめきの様な音がとどいた。
「まさか!」 痛む体に鞭打ち、森を駆け抜けた彼の前には、紅蓮の業火に包まれた自分の屋敷があった。
「うぉぉーーー」 叫んでさらに駆け出そうとするレッドの行く手を遮る幾つかの人影。青い全身スーツに頭までスッポリと包まれたその姿は、ブラッククロスの戦闘員だ。
「キサマ、小此木博士の息子だな」そういって、一際背の高い男が現れた。
そいつは、全身スーツ姿ではない。レッドの様なピンピン頭だが、紫の髪と冷酷な光をたたえる瞳。裸の上半身に、両肩から先はいかつい機械の腕が冷たい光を放っている。そして、その指先は三本の大きなクローになっていた。
「死ね。母と妹の後を追わせてやる」 ブラッククロス幹部、シュウザーと名乗った男は、戦闘員を退け、レッドの前にそのマシンアームを広げて立ちはだかった。
レッドは、少々の武道の心得はあったが、まだ技を繰り出すほどでもなく、心もとなかった。だが、そうはいってはいられない。この男は母と妹の仇、いやそれどころか今は、自分をも殺す、と宣言したのだ。
(これが決まればチャンスはある!)レッドは、サミングで敵の攻撃を制限しようと先制に出た。しかし、難なくかわされ、クローの一撃を受けた。
さらに、キックにパンチと連続で攻撃したが、たいして効いていない。逆にクロー攻撃は、確実に彼を傷つけていく。
ついに、激痛と共に最後の気力まで、消し飛んだとき、
「シャイニングキック!!」という叫びと共に、赤い影がシュウザーの胸板に、突き刺さった。
閃光と共に、シュウザーの巨体が数メートルも後ろに滑る程の破壊力。影は、ひらりと倒れたレッドの横に降り立ち、
「遅かったか! シュウザー、私が相手だっ!!」 と、戦闘態勢に入った。
赤いスーツにマント。やはり赤いフルフェイスのヘルメットは、中世ヨーロッパの兜の様なデザインで、両側面には、翼をイメージさせる飾りが付いている。
「レイブレード!」 すらりと抜き放った刃が、シュウザーに切りかかる。レッドとは桁違いの攻撃力。返すシュウザーの反撃にも、たいしたダメージは無い様に見える。
「スパークリングロール!」 激しい廻し蹴りの連続技が炸裂する。流石のシュウザーも苦痛を露にした。
「クロービット!」 シュウザーのマシンアームの先端部分が、腕より発射されると、それは自由に宙を舞い、赤い鎧の人物の死角から三度、四度と襲い掛かった。激しい攻撃に見えた隙に、シュウザーはひらりと身を翻して姿を消した。クロービットも、何時の間にか見えなくなっている。
「しっかりしろ!」 鎧の人物がレッドに駆け寄ったときには、既に彼は虫の息だった。
「いかん、このままでは助からない」 ややあって、鎧の人物の全身から放たれた柔らかい光がレッドに注がれ、彼の全身を包んだ。光はレッドの全身を駆け巡り、やがて彼の体は黄金のスーツとヘルメットに包まれ、鎧の人物と良く似た姿に変わっていた。それと共に、瀕死だった体には、再び命のエネルギーが満ち溢れるのが見ているだけでも判った。
「おい、しっかりしろ。アルカイザー」 赤い鎧の人物は、あろうことかレッドにそう呼びかけた。
レッドは、意識を取り戻し、よろよろと立ち上がった。
「あんた一体なんだ、その格好は?」 そう言ったレッドは、自分の姿の異変にも気が付いた。
「俺にもこんなもの着せて、ふざけてるのか!」 彼はその人物に激しく詰め寄った。
アルカールと名乗った人物は、落ち着いた声で諭すようにレッドに語った。
「いいか、君の命を救うにはこれしか方法がなかった。君をヒーローにするしかなかったのだ。
君にその資格があるかどうかを細かく調べている余裕がなかった。
「だが、今日から君はヒーロー、アルカイザーだ」
「ヒーローになってしまったからにはヒーローの掟に従わなければならない。
ヒーローにふさわしくないと判断されれば、消去される。
一般人に正体を知られた場合は、すべての記憶を消される」
アルカイザーは、そんな事はどうでもいいと言わんばかりにかぶりを振った。
そして、「ヒーローは強いのか? 俺を強くしてくれたのか?」 と言った。
アルカールも、君の気持ちも判るが、とばかりにゆっくりとかぶりを振ったが、
「ヒーローの力は正義のために使わなければならん」 と断固とした口調で言った。
「ブラッククロスの奴等をぶちのめす!」
「復讐はいかん!」アルカールは、アルカイザーの肩口を掴んで言った。
「正義の戦い以外に力を使えば、君は消去されるぞ」
「どのみち死んでいたんだろう?」 そう答えたアルカイザーの口調は、自嘲に満ちていた。
「ブラッククロスだけは許さねえ!」 血を吐く様な彼の叫びは、暗い森の奥に吸い込まれていった。
プロローグ 完