王様が先に階段を下りたのを見届けて、勇者ゆたすけは「ああ、いよいよ長い旅に出るんだなあ」などと思いながら、大臣に声をかけることにした。
ゆたすけ王子!
じいは 王子と はなれるのが
つろうございますぞ!
大臣.... まさかぼくに気があるんじゃないだろうな。そういえば着替えてる最中に部屋に入って来たり、風呂に入っているときに間違えたふりして風呂場に入って来たこともあった。
こういうのを恋って呼ぶのかな?
実はゆたすけは箱庭で育てられた温室ボーイなので、愛とか恋とかがどういうものなのか、全く知らずに生きて来たのであった。そこでゆたすけは、今回の冒険に「ゆた的にはぁ、悪の権化をやっつけちゃって世界に平和をもたらしつつぅ、実は恋愛とは何かを知るためのワールドツアー in アレフガルド '98」というタイトルを勝手に付けることにしていた。
王「さあ ゆたすけよ!銅の剣と50ゴールド....。いくらバブル崩壊のあおりを受けて自社株(自社って何だ)が紙切れ同然になり経営が苦しくなった(経営って何だ)とはいえ、王家の1人息子が旅立つってのにそれっぽちの餞別しかくれないなんてひどいよ、お土産買って来ないからね、などと思いつつ(なげーよ)、ゆたすけは装備を整え(って剣を持つだけなんだけど)、久し振りに城下町を散策することにした。
その宝箱を開けて 旅のしたくを
ととのえるがよい。
サマルトリア ムーンブルクには
同じ ロトの血を分けた 仲間が
いるはず。
その者たちと チカラを合わせ
邪悪なる者を ほろぼしてまいれ!
やっぱりまずはたびのとびらでしょう(笑)。無料でスプラッシュマウンテン並みの興奮を味わえる名所として、ローレシアの城下町で一大旋風を巻き起こした観光スポットだ。少し緊張した面持ちでたびのとびらに足を踏み入れるゆたすけ。すぐに周りの景色がぼやけ始め、待ち受けているのは今まで味わったことの無い初めての感覚。うーん、エクスタシー....。
続いて町の平民たちに声をかけることにする。
ああ ゆたすけ王子まったくだ。身分をわきまえろ。でも....君、ちょっと可愛いな。そんなこと言われちゃったら、嬉しいやら恥ずかしいやら....。
行ってしまわれるのですね……。
私は せつのうございます。
はっ いけない!
私ったら 王子さまに むかって
なんて 失礼なことを……。
ど どうか お忘れくださいまし。
身分ちがいの女の はかない
想いなど……。
はっ、まさか.... これが恋ってやつなの?
いーから冒険しろよ、というツッコミの声が聞こえて来そうですが(笑)、それはともかく(ともかくかい)、連載2回目にしてゆたすけは早くも恋に目覚めてしまうのか!?
ということで、愛は本当に世界を救えるのか!? 次回をお楽しみに....。