アリスは、他に何もすることがなかったし、もしかしたら芋虫が何か聞く価値のあることを言うかもしれなかったので、少し待ってみることにしました。数分後、芋虫は何もしゃべらずに水煙管をぷかぷかと吸っていましたが、ついに煙管を口から放して言いました。「で、お前さんは自分が変わったと思っているんだね」
「ええ。どうもそうらしいのです」アリスは言いました。「前は覚えていたことをぜんぜん思い出せないし、それにあたし、10分と同じ大きさでいられないんです」
「何を思い出せないんだって?」芋虫がいいました。
「えーと、例えば『何と小さな働き蜂』の歌を言おうとしても、ぜんぜん違うことを言っちゃうんです」アリスはとても寂しそうな声で答えました。
「『あんたは年だよ、ウィリアム父さん』を言ってみなさい」芋虫が言いました。
 アリスは手を合わせると、歌い始めました。





「あんたは年だよ、ウィリアム父さん」若い男が言いました。「頭は真っ白、なのにあんたは逆立ちばかり、そんな年で、そんなこと。本当にそれで良いのかい」

「若いころにゃ」ウィリアム父さんは息子に答えました。「こんなことして脳みそが、壊れやしないかと思ったが、脳がからっぽだと分かった今は、やってやってやるだけだ」







「あんたは年だよ、さっきも言ったけど」若い男が言いました。「それにブクブク太り過ぎだよ。それにドアのところでトンボ返り....。なあ、どうしてそんなことするんだい?」

「若いころにゃ」賢人は白髪をふりふり言いました。「この膏薬―しかもたった1箱―で、手足をしなやかにしたもんだ。この薬、2〜3箱いらんかね?」










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