次はいよいよアメを食べる番です。ところがこの時、ちょっとした騒ぎが起こりました。大きな鳥はアメが小さ過ぎて味わうことができず、逆に小さな鳥はアメが大き過ぎてノドに詰まらせ、背中をたたいてもらう始末。しかしながら、その騒ぎもやがて収まり、みんな再び輪になって腰を下ろしました。みんなはネズミに、話の続きをせがみました。

「さっき、身の上話を聞かせてくれるって約束したわよね」アリスは言いました。「どうして“ネ”と“イ”を嫌いになったのか、ね」アリスはまたネズミを怒らせるんじゃないかと少し心配だったので、小声でそう付け加えました。

「それはとても長くて悲しいオ話なのです」ネズミはアリスの方を向いてため息をつきました。

「確かに長い尾ね」アリスはネズミのしっぽを不思議そうに見ながら言いました。「でもどこが悲しいの?」ネズミが話している間、アリスは『しっぽが悲しい』ということにずっと思いを巡らせていました。そのために、アリスはこんな風に話を覚えてしまったのでした。


       お家の前で出会ったネズミに、
         フューリーじいさんが言いました。
          「一緒に警察に行くのじゃ。わしは
            お前さんを訴えてやる。いやだと
         言うてもムダじゃ。裁判じゃ裁判じゃ。
       なぜかって?そりゃ、今朝は
      とっても暇なんじゃ」ネズミは
    野良犬に言いました。「何て
   こった。ねえあなた。
     この裁判は判事も
      陪審員もいやしない。
       何を言ってもムダ
        なんです」「何のなんの。
          わしが判事じゃ陪審員じゃ」
        ずる賢いフューリーじい
       さんはしたり顔。
      「判事も検事も
        陪審員も、みんな
         わしがやってやる。
        そして必ずお前
       さんを死刑に
     してやる。
    ひっひっひ」

「ちゃんと聞いてないでしょ!」ネズミが厳しくアリスに言いました。「何を考えているんですか?」
「ごめんなさい」アリスは控えめに言いました。「お話は5番目の曲がり角まで行ったんでしたっけ?」
「曲がり角?」ネズミは怒ったように厳しく言いました。
「あ! 結び目か!」いつも誰かの役に立ちたいと思っていたアリスは、辺りを見回しながら言いました。「その結び目、あたしにほどかせて!」
「誰もそんなこと言ってないよ!」ネズミは立ち上がって歩き始めました。「そんなくだらないこと言って、ぼくを馬鹿にしてるんだ」






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