「何を見たんだって?」アヒルが言いました。
「それを見たんです」ネズミはちょっとすねたように言いました。「ま、あなたには“それ”が何であるか、お分かりでしょうけどね」
「自分で見れば“それ”が何であるか、とうぜん分かるとも!」オウムは言いました。「たいていはカエルかミミズだな。だが問題は、大僧正が何を見たか、だ」

 ネズミはアヒルの質問には全く注意を向けずに、どんどん話を進めました。「『....2人の決定を賢明であると見て、エドガー・アスリングと共にウィリアム公に会いに行き、彼に王冠を授けたのであります。ウィリアム公の振る舞いは、最初のうちは穏和でありましたが、しかしノルマン人の傲慢さが....』いかがですか?」ネズミはアリスの方を向いて言いました。

「相変わらずびしょびしょだわ」アリスは憂うつな声で言いました。「ぜんぜん乾かないみたいよ」
「こういう場合は」ドードーが立ち上がりながら、おごそかに言いました。「私はこの会議を休会にし、ただちにより力強い方策を採用することを提案します」

「分かるように言ってくれ!」小ワシが言いました。「おれには、あんたの言ってることの半分も分かんねえんだ。それに、あんただって自分で言ってて分かんねえはずだぜ」そう言うと小ワシは、うつむいて、隠れて笑いました。周りの鳥たちもクスクス笑いました。

「私が言おうとしたのは」ドードーはムッとしながら続けました。「体を乾かすのに最も良い方法は“乾燥競争”である、ということです」
「“乾燥競争”?」アリスは言いました。本当は大して知りたくも無かったのですが、ドードーが『必ず誰かが聞いて来るはずだ』という顔で待っていて、自分以外には誰も、何かを言いたそうな感じではなかったのです。

「とにかく」ドードーは言いました。「実際にやってみるのが最善の説明になるでしょう」(みなさんも冬の寒い日などに試してみたくなるかもしれませんね。ドードーがどんな風に説明したか、お教えしましょう)






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