マレンゴ
ケレルマンの報告



 ケレルマン准将からヴィクトール将軍へ
 ガスティルナノーヴォ、共和暦8年牧草月26日(1800年6月15日)

 将軍閣下

 私はここに、アレッサンドリアの戦いの間に於ける第6、第2及び第20騎兵連隊からなる旅団の殊勲となった輝かしい戦闘の報告をするものであります。旅団は朝9時にマレンゴに到着し、すぐに村の前方左翼、第8竜騎兵連隊近くに布陣しました。正午頃、旅団を重視した敵は右側から強力な騎兵部隊で現れ、前進してきました。私は第8竜騎兵連隊に突撃するよう命じ、戦闘隊形を組んでそれを支援しました。第8連隊は敵騎兵を崩壊させましたが、突撃によって混乱に陥り、今度は彼らが突撃を受けました。私は自らの部隊の姿を現し、敵の戦線に向かって冷静に前進する旅団の背後に加わり、50歩の距離から突撃し、敵を壊走させ水路の向こうの敵歩兵のところまで追いやりました。敵はこの2回の突撃で100騎以上の乗馬を失いました。我々の歩兵がいるにもかかわらず敵の歩兵は散り散りになりましたが、その状態は15分ほどしか続きませんでした。この間に砲兵と敵歩兵の射撃が我々に損害を与え、元の位置に再び戻ることを強いました。
 旅団は混乱したまま、砲撃下に2時間置かれました。砲撃が止んでから1時間の休止期間がありました。2時、多くの砲兵に先導された2000から3000騎の騎兵部隊が現れた時、旅団は単独で、歩兵も竜騎兵もいなかったため、後退する必要がありました。これ以上の弾薬を持っていなかった歩兵はマレンゴへ行きました。旅団は絶えず致命的な砲撃に晒されながら街道の左側で右を前にした梯形を組み、歩兵の退却を掩護して合流する時間を与え、彼らが少しずつ回れ右をしながら集団ごとに一歩ずつ後退する間、敵にその場で一人の捕虜も許すことなく、危険と死が絶えず待ち構えているこの状況下で冷静な勇気をもって布陣していました。
 ドゼー師団がいる高地に到着し、150騎に減少していた第6、第2及び第20騎兵連隊からなる旅団は第1及び第8竜騎兵連隊の2個中隊の集団と合流しました。私は彼らを、ドゼー師団に従って街道の右側200トワーズのところにたった1列横隊に並べました。私はマレンゴ街道の左側、カッシナ=グロッサの高地に行っていた歩兵の隊列が曲がり始め、敵擲弾兵が先を争って彼らに突撃しているのを見ました。このままだと敗北する、即座の移動が勝利を我らの旗の下に取り戻すと私は思いました。私は横隊を止め、命令しました。「左を向いて前進!」 オーストリア軍擲弾兵がちょうど射撃しようとした瞬間、第2及び第20騎兵連隊を先頭に部隊は激しくその側面に襲い掛かりました。この移動は決定的でした。敵部隊は一瞬にして破壊されました。
 擲弾兵3個大隊とヴァリス連隊全部は全て斬り倒されるか捕虜になりました。第2連隊騎兵であった市民ル=リシュは参謀長を捕らえました。また軍旗6旒、大砲4門を奪いました。
 しかしながら私は200騎の部隊と再合流し、それを率いて我々を優勢な状況から追い払うことができる敵の恐るべき騎兵のいくつかに向かいました。敵は牽制され、後退すら始めました。私は夜が忍び寄るまで敵を一歩々々追撃し、そこで我々は執政親衛騎兵と一緒になって唯一の敵騎兵に新たな突撃を行い、敵は蹴散らされ夜の到来によってのみ救われました。
 第2連隊の大隊長である市民アリックス、第20連隊の市民ジェラールは、全ての士官たちと同様に保証つきの士官かつ騎兵で、完全に申し分なく行動しました。私は、この突撃成功に可能な限り価値ある協力を行った第8及び第1竜騎兵連隊の各大隊指揮官たちの名を知りません。11人の士官のうち、第2騎兵連隊は7人、第20連隊は6人が負傷しました。大隊の先頭に立ったアリックスとルブーフは第2連隊とともにそれぞれ1旒の軍旗を奪いました。第20連隊は大砲4門を、騎兵ゴディンは1旒の軍旗を奪取し、第20連隊のトゥタール大尉は大いなる勇気をもって突撃しました。指揮官殿には彼らのために、その価値にふさわしい名誉を第一執政に要請してください。
 いずれの第2連隊所属のモンフルリー、ジラルドー、トゥルの各大尉、ガヴォリー、ヴェルジェ、ポワテル、ドゥロールの各中尉は乗馬を殺されました。
 第20連隊のトゥタール大尉、ピケ、クルトワ、モローの各中尉も乗馬を殺され、フレリー大尉とフロヌー中尉は負傷しました。
 知識と勇気、厳正さを兼ね備えた士官である市民ランベルティに第2騎兵連隊の筆頭大尉の階級を求めます。彼は今、指揮官から定員外要員として認証されており、そこで役立っております。また、私は少尉である市民ペティトーに中尉の階級を、副官である市民ジャランに少尉の階級を要望します。
 私はまた、戦闘で乗馬を失った士官たちに対する補償に関心を抱くよう求めます。必要なリストを送ります。第20騎兵連隊の筆頭軍曹で、特に名を馳せよい士官となるのに必要な資質をすべて持っている市民ヴェレーヌに少尉の階級を要望します。敬具。

 ケレルマン

 War Times Journal "Marengo Revisited"


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