アウステルリッツ
バグラチオンの報告



 バグラチオン中将からクツーゾフ将軍への報告

 1805年12月10日 ゼニッツにて

 歩兵将軍ブクスヘヴデン伯が敵の右側面を迂回するまでプレドリッツの我が陣を守れという閣下の計画を受け、私はそれを成功裏に実行するよう強く決心しましたが、歩兵と騎兵双方を含む優勢な敵縦隊が早くから私を攻撃してきました。私はマリウポル及びパヴログラード・ユサール連隊の10個騎兵大隊と第6猟兵連隊が布陣する我が右側面を支援するため私の全前衛部隊と伴に前進を余儀なくされました。私の前進を見て(フランス軍は)兵力を倍増しあらゆる場所で毅然として戦いましたが、私は敵が側面を迂回するのを妨げ両軍とも断固とした戦いに入っていきました。最後に私は皇帝陛下から、中央と近衛部隊が退却を強いられたためマリウティン中将の右側面を支援するようにとの命令を受けました。そこで恐ろしい敵の砲撃の下で私はしだいに陣を右へ動かし、絶えず秩序を維持しながら戦線を3つの横隊に変更しました。最後に私は会戦前に占拠していたプレドリッツ近くの丘に達し、(その夜)遅くになってアウステルリッツ背後の近衛部隊と合流しました。敵はそこで私の追撃を止めました。
 会戦で名を上げた者のリストを閣下に示すにあたり、閣下の慈悲深い注意をこの勇敢で不撓不屈の将軍、幕僚、高級将校たちに与えないことのないようへりくだって訴えます。

 中将バグラチオン公爵

 Napoleon Series "Memoirs from the Russian Archives"


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