DIARY

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    4月19日    2010
    
ガラスの地球を救え?
    今日は、独断と偏見に満ちた僕の個人的見解を。

先月、スノーボール・アースの話を書いた。
そんなおりに、
「アイスランドの火山の噴火でヨーロッパの空港が閉鎖されて
 欧州の空の便の多くが使えない状況が続いて、混乱状態。」
というニュースが新聞を賑わしている。
火山が一つ噴火しただけで、人間社会は大打撃を受ける。
地震が起こっても大打撃を被る。

    よくよく考えてみたら、
人間の思惑なんて、まったく関係なく地球は回っているのである。
人間は、ごく最近、地球上で増えた1つの生物でしか無い。
化石燃料を大量に燃やして温暖化を起こしたかもしれない。
そして、その結果、
地球の表面温度が上昇して、
北極や南極の氷が溶けて、海面上昇が起こり、
局所的な豪雨や砂漠化が進行しても、
そんなことも、地球にとっては、
どおってこと無い一つの自然現象でしかない。
その結果人類が滅びようと、
地球上の生物が1/10に減ったとしても、
また新たな平衡が起こるだけのことでしかないのである。

    「ガラスの地球を救え!」というのは、
実は人間の思い上がった考え方でしか無くて、
ただ、人間は
「自分たちが住みやすい地球環境を守りたいだけ」
なのではなかろうか。
「人類にとって都合の良い地球環境を救え!」
でしかないのである。
地球環境は容赦なしにかわることを肝に銘じるべきである。

    そうはいっても、やはり人類の一員としては
この地球環境を守りたい。
人間の思惑など関係なく、地球全体が新たな平衡に進んで
このまま温暖化が進むと
地球は容赦なくその姿を変えることだろう。
いったんそうなってしまったら、
人類の力は、大自然の前では本当に小さいことを
思い知ることになるのだと思う。
新たな平衡のスイッチがまだ入っていないことを願うばかりである。




    4月 9日    2010
    
メイラード反応
   個人的な好みとしては、すこし焦げた料理が好きである。
パンも高温で表面がきつね色にパリッと焼けているのがいい。
コーヒーも濃いめに煎った豆が好みである。
このように、食品に熱を加えて茶色に変化する反応は
「褐色反応」と呼ばれるモノである。
この「褐色反応」は、2つに分けられて、
1つは酵素的反応で
もう一つは、非酵素的反応になる。
さらに、この非酵素的反応は、
カラメル化反応とメイラード反応の2つに分けられる。
メイラード反応は、
糖質とアミノ酸に高熱を加えることで
褐色物質が精製される化学反応である。
メイラード反応は別名アミノカルボニル反応とも言われて、
褐色物質と同時に、香味成分も生成されて、良いにおいが発生する。

メイラード反応が進んでいくとメラノイジンという物質が生成される。
メラノイジンは強力な抗酸化作用を持っており、
活性酸素を無毒化してくれる。

さらに、熱を加えていくと、焦げる。
焦げの中にはヘテロサイクリックアミン(HCA)といった
発ガン性物質も含まれており、大量に食べることは好ましくない。
それでも、たばこを吸う方が遙かに有害なレベルではあるが・・・。
ちなみに、焼き魚に大根おろしをつけることが多いが、
大根おろしに含まれるジアスターゼやオキシダーゼという酵素には、
焦げに含まれる発ガン性物質を分解する能力がある。

     とまぁ、ここまではおいしいお話である。


・・・・・・・んがぁ、



だいたい、おいしい話には裏があるのである。
物事には表もあれば裏もあるものなのである。

    アクリルアミドという物質の名前を聞いたことがあると思う。
アクリルアミドは、紫外線や熱などによって重合し、
水に溶けない重合体のポリアクリルアミドを生成する。
この性質を利用して合成樹脂や接着剤、土壌改良剤、塗料
などに用いられている。
このアクリルアミドは日本では劇物に指定されており、
国際がん研究機関により
発ガン分類で2A(ヒトに発ガン性を示す可能性がある物質)に指定されている。
さて、いよいよ雲行きがあやしくなってきた。

高温で調理されたポテトチップスやフライドポテトなどの食品から
アクリルアミドが高濃度で検出されたのは記憶に新しい。
いつだったか忘れたけど、
この日記で
「ポテトチップスを食べてはいけない」ということを書いたはずである。
実はこのアクリルアミド、
メイラード反応によってアミノ酸と糖の化学反応から生成されるのである。
現時点ではFAO(国連食糧農業機関)やWHO(世界保健機関)も、
アクリルアミドを低減するための食品製造技術の改善や
家庭向けの栄養指導など、
アクリルアミドを減らすための勧告を行っている。

他にも、
メイラード反応によって発がん物質と言われる複素環アミンも生成される。
さらに、
高温で調理された食品の摂取は,
糖尿病患者で心血管系の合併症を促進することが報告されている。

最近、メイラード反応生成物(MRP)を多く含む高温調理された料理と,
糖尿病・心血管疾患の既知の危険因子との関連を調べた
ランダム化交叉介入研究がフランスで行われた。

高温調理された食事を大学生に1か月摂取させたところ,
蒸し料理と比べて,
総コレステロール(TC)とトリグリセライド(TG)が増加し,
インスリン抵抗性の指標であるHOMA指数が17%高かった
J Clin Nutr3月24日オンライン版に報告している。

だからといって、きつね色に焼くことをやめる必要は無いと思うが、
ほどほどにしておく必要はありそうである。
何でも、バランスが大切ということである。



    4月 1日     2010
    
フィンランド症候群
    今日はおそろしく暇なので、日記の更新を。
こんなに暇だとつぶれてしまいそう!
そうかと思うと、「もう来ないで!」というくらい忙しい日もあるし・・・。
待つのが嫌なヒトは、
今日みたいな日に受診すればいいと思うのだけど、
何故か、同じ日に集中することが多い。
きっと、「医者に行こう」と思う共通の何かがあるのだろう?
それが何かは、まったくわからない。
嵐のような日でも、(こんな日は暇なことが多いけど)
待合室がいっぱいになるときもある。


    さて、主題のフィンランド症候群だけど、
なかなかおもしろい話なので紹介したい。

    フィンランドは社会保障が進んでいて、
仕事をしなくても食べていけるのだそうで、
アルコール中毒も多い。
そこで、フィンランドの保険局が
「いかに健康管理が大切であるか」
ということを証明するために実験を行った。
その内容は、
男性会社員600人ずつの2つのグループを作って、
一方のグループは
医者に行ってきちんと健康診断を受けて、
禁煙をして、アルコールもほどほどにして、
生活や健康状態をきちんと管理した。
もう一方のグループは、
酒もたばこも好きなようにさせて、
まったく健康管理を行わなかった。

この2つのグループを10年間フォローアップして
いかに日常の健康管理が大切かを証明しようとしたわけである。

さて、その結果、10年後にふたを開けてみると、
厳重に健康管理したグループの方が、
圧倒的にたくさん死んでいた。
この結果が世に出ると、まずいので
フィンランドの保険局は秘密裏に処理しようとしたのだが、
この実験を指揮した医者が発表してしまって、
世界で注目されることになった。
これがフィンランド症候群である。

なぜ、きちんと管理したグループの方が、死亡が多かったのか?
2つのことが推測される。
1つめは、
今までも繰り返し述べてきたが、コレステロールとの関連である。
コレステロールは、さも悪玉のように扱われている。
あまり知識のない医者はコレステロールが少しでも高いと
その必要が無いにもかかわらず、
すぐにスタチンというコレステロールの合成を抑える薬を
開始して通院を促す。
しかし、コレステロールは体にとって、とても大切なモノである。
コレステロールは、
我々の体を構成する細胞の細胞膜の主要な成分であり、
かつ、脳神経の活動や成長に大切な要素である。
また、すべてのホルモンはコレステロールからできている。
コレステロールが高い方が癌になりにくいこともわかっている。
コレステロールを薬で無理矢理に下げると、
精神的に陰鬱になる。
フィンランド症候群の厳格コントロール群では自殺者が多かったという。

アメリカでは、心筋梗塞で死ぬ人が多いので、
アメリカの心臓医の言い分が、
圧倒的に世界中で(特に日本で顕著である)まかり通って、
コレステロールは下げるべきだということになっているが、
物事は一面だけ見て判断すべきではないのである。

もう一つの可能性は、免疫系との関わりである。
強制的に規則正しい生活を強いられると、
精神が滅入ってしまって、
その結果、免疫系が弱まるのではないか?
という考えである。
精神活動と免疫系は大きく関連しているということが
いくつかわかってきている。

免疫の主役はリンパ球である。

余談であるが、
リンパ球がない生き物もたくさん存在する。
昆虫やナメクジ、ミミズはリンパ球を持っていない。
では、彼らには免疫システムはないのか?
というと、答えは「きっと無い。」である。
すくなくとも、今の科学のレベルではこの答である。
しかし、ミミズが傷を負ってそこが化膿したり、
ナメクジがインフルエンザに罹って死んだ
という話は聞いたことがない。
(もっとも、傷が化膿したミミズがいても、
 インフルエンザで死んだナメクジがいても 
 我々はそれを知るよしもないのであるが・・・。)
とにかく彼らは、絶滅することなく命をつないでいる。
どうして、免疫が無くても生きていけるのかはわからない。

   一つの仮説がある。
元々、免疫系は
外から来たモノを攻撃するためのシステムではないのかもしれない。
進化の順番では、リンパ球が出現してくるのは
ヤツメウナギとかヌタウナギあたりからだそうである。
体が大きくなり、臓器や細胞の数が増えると、
それらを統括制御するために、複雑で様々な装置が必要になる。
そのために、
神経系、内分泌系、免疫系のシステムができたと考えられる。
つまり、体の内側を制御統制するシステムなのである。
たまたまこの免疫系が
外から入ってきた有害なモノを排除しているだけということである。

   話は戻って、
リンパ球にはいくつかの種類がある。
有名なのはT細胞とB細胞である。
おおざっぱに言えば、
T細胞は細胞性免疫をB細胞は液性免疫を担当する。
これらは、体全体で反応する軍隊のようなモノである。
そのほかにNK細胞(ナチュラルキラー細胞)という
警官のような細胞がある。
このNK細胞は、毎日、体中を巡回して、
おかしな細胞があると処理をする。
警官で手に負えなくなると、軍隊が出てくる。
この警官が、
体の中で無数に入れ替わっている細胞の中で、
おかしな細胞(がん細胞)を見つけては、
一つずつ処理していると考えられている。
体の中で入れ替わる細胞は数が多く、
一定の割合でがん細胞などは生まれてくると考えられているが、
このNK細胞がそれらがん細胞を、数が少ない内に処理をして、
その結果、簡単には癌に至らないと考えられている。
ところが、
このNK細胞が弱ってしまうと、癌ができやすくなるのである。

このNK細胞の特徴の一つは、
簡単に精神・神経系の影響を受けることである。
笑うだけで、このNK細胞の活性は上がることも知られている。
また、NK細胞はウィルス感染細胞も殺してしまうので、
NK細胞活性の高いヒトは
風邪などウィルス感染にかかりにくいこともわかっている。

つまり、ストレスが多い人は
NK細胞活性が低下している可能性があり、
癌の発生や感染症に罹るリスクが高い可能性があるのである。

医者の言うことを聞いて、
ストイックに生きることも考え物である。



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