DIARY

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    1月30日 2008
    
医師会の偉いさんって・・・
    今日の朝日新聞に
「再診料の値下げを医師会の反発で見送った。」
という記事が載っていた。

これを読むと、
開業医がまるで悪者扱いである。
開業医は、高いお金だけ取って、楽をして、
自分たちの利権を守るために
行政や政治家に圧力をかけている
と言わんばかりの記事である。

(我々一般の開業医にとって医師会とは、
 「誰がどのようにして会長になるのか」
 さえもよくわからない、雲の上の世界である。)


  そんなことを言われるくらいなら
どうぞ再診料を下げてちょうだい!
その方がよほどすっきりする。

   だいたい
朝日新聞の記者を筆頭に
ちょっと考え方がずれた連中が多い。
彼らの主張は、
「病院と診療所では再診料に差があって、
 患者は安い方に行きたがるから、
 病院の外来が混んで、
 その結果、病院の勤務医の負担が大きくなって
 勤務医が病院を辞めていく。」
というモノである。

ちょっと、まってくれ!

この差は、たしか、以前の診療報酬改訂で
「病院の外来患者を減らすためにつけた差」
ではなかったかい?
つまり
はじめから、「読み」が間違っていたわけである。
そして、
今度の「読み」も間違っている。
再診料は、病院で570円、診療所で710円
3割負担だと、それぞれ170円と210円。
その差は40円である。
たった「40円の差」で
病院に行くか診療所に行くか
を決めている患者がいったい何割いるのだろう?
近くの診療所に行かないで、
病院に行くには、交通費だってかかるし、時間もかかる。
お金の問題ではないのは明らかである。
「もし何かあったときには、
 検査も充実しているし、
 ほかの診療科にもすぐに診てもらえるし、
 時間外でも、診察してもらえるし
 入院も優先してさせてもらえる。
 開業医は信用できない。」
という思惑があるからに他ならない。
(実際にそうかどうかは別であるが・・・)


   ここのところを認識しないままに
ただ単に「たった40円の差」で
病院の外来が混んでいる。
という認識を持って議論を進めたら、
その結論は、はじめから当てにはならない。

   そんなことが、わからないようでは、
メディアも医師会の偉いさんも、政治家も厚労省も
もう一回顔を洗って出直した方がいい。
もっとも、洗っても無駄な連中が多いか・・・。

   そもそも、
「社会保障費を減らさないで、医療の質を保とう」
とするのには、根本的に無理があるのである。
医療は日々進歩して、
新しい検査法や新しい治療法が出来てくるが、
当然これらには相応のコストがかかる。
さらに、
日本の人口構成は、高齢者の割合が増える。
高齢者は、若年者に較べて疾患を抱えることが多いし、
死を迎えるときには、何らかの医療が必要になる。

   だからといって、
過去の医療費の移り変わりをみてみると
机上の理論ばかり振りかざして、
ろくな仕事をしない評判の悪い省の
あほ役人の試算のように
医療費が、国家を滅ぼしかねないほど高騰する
わけではないようだ。
しかし、この先も必要な医療費は伸び続けることだろう。
僕は、
1.たばこを吸う人の保険料を上げる。
  (カードを導入するのだから、把握できるはず。
  非喫煙者が喫煙者の医療費を余分に負担するのは明らかにおかしい。)
2.社会保障費目的の消費税アップを
  衆議院選挙前に公約して選挙をする。
といったことが必要なのではないかと考えている。




    1月28日 2008
    
輸血血液の処理技術
    25日の日記の続編である。
実は、欧州やアジアの各国では、
すでに
輸血血液の病原体汚染を食い止めるための
病原体の不活化技術を導入しているのである。
これらの国で使用されている病原体不活化技術は
John Hearst教授
(Professor Emeritus, Department of Chemistry,
Berkeley, University of California)
が発見、発明したソラレンを用いた技術
(Intercept Blood System)である。

(アメリカは、まだ導入していないので)
アメリカでも、
米国厚生省(Department of Health and Human Services、HHS)
の「血液製剤の安全性と供給に関する委員会」は、
厚生大臣に対して、
この技術を、優先して取り組むように提言した。

委員会は、
「この技術の導入は、高コストになる可能性があるが、
 この技術を導入することによって、
 現在運用されている様々なコストが不要になるので
 かなりの部分が相殺されるはずである。」
と提言している。
例えば
ガンマー線照射、白血球除去、細菌検査は不要になる。
あるいは
マラリアなどの危険性地域への旅行のため献血を
一定期間禁止する措置なども不要になる。
委員会はさらに
「病原体減少技術は検査結果の偽陽性による献血血液の減少、
 あるいは
 検査していない病原体のある地域への旅行による
 献血の出来ない期間を無くすことにより
 献血血液を増加させる効果がある。」
と指摘している。

 きっと近い将来、アメリカもこの技術を取り入れることだろう。

   ・・・・・・・また、日本だけ置いてけぼり・・・。
何年後に、日本にこの技術が導入されるのだろうか?
10年以内なら、早いほうかな?




    1月25日 2008
    
輸血とか血液製剤について
    怠け癖というのは、本当につきやすいモノで、
ついつい、日記を先延ばしして今日に至ってしまった。
書きたいことはいっぱいあるんだけど、
「こんなことを書くと、ちょっとまずいかな?」
なんて、
少し前までは考えもしなかったことが頭をよぎって
ついついキーボードをたたかないで終わってしまうことが多い。
(世間では分別というのだろうか?)
それに、
3月にエクステラ
4月にトライアスロン
に出場するので、
今から体力作りに余念が無くて、
ほぼ毎日、何かしら運動していて、
ちょいと余裕がないことも一因している。

   と、まぁ、言い訳はこのくらいにして・・・。

   以前から、何回か指摘していることなのだけど、
輸血および血液製剤の危険性に関して、
日本では、全く無防備の状態が昔から続いている。
(エイズやC型肝炎、B型肝炎の感染は、
 すでに起こって問題になっている。)
そして、今日は、
さらに新たなる危機にさらされている。

   数日前のニュースで、
献血の際の抗体検査で
エイズウィルスが陽性だった人が100人を超した。
と報じられた。
検査目的で献血をする人がいるのだろうが、
エイズウィルスが陽性でも本人への通知はされない。
検査目的で献血するのは、
結果としては殺人の可能性さえあるのだ。
さらに、
エイズに感染していても、
抗体が陽性になるのは数ヶ月後である。
ということは、つまり、
もし感染していて、
その出来事の後1ヶ月くらいして献血した場合は
「エイズウィルスが入っているが、抗体は陰性」
という状態があるわけである。
この血液は、検査をすり抜けるので輸血に使われる。
実際に
過去に検査をすり抜けた血液を輸血された患者が
HIVに感染する事例も起きている。

    実は、ことはこれだけではすまない。
人が簡単に世界中を飛び回れるようになった現代では、
感染症は、世界規模で拡大してしまう。
例えば、
血液を介して感染する病気はいっぱいあるが、
昔は、アフリカの風土病だった西ナイル熱は、
今では、ニューヨークも汚染地区になっている。
もっぱら蚊に刺されて感染するのだが、
当然、輸血でも感染する。
ニューヨークで蚊に刺された人が、
日本に帰ってきて献血することは、ふつうにある時代である。

   さらに、
今はなりを潜めているが、SARSだって恐い。
さらに、さらに、
デング熱やチングニヤ、(ウィルスではないが)シャガース病、
などは、同じように輸血で感染する可能性がある。
(実際に、デング熱はすでに日本での患者発生がある。)
これらの感染症は、
献血のスクリーニング検査は素通りである。

また、
B型肝炎だって安全ではない。
B型肝炎なのに、
微量のウィルスしかなくて、献血の検査をすりぬけて、
何回か献血をしてきた人を実際に知っている。
この人に関して日赤に問い合わせたら、
「検査の感度の限界があって、
 特に過去には、すり抜けはまれにある。」のだそうだ。

現在の我が国の血液事業では、
「日本で検査していない病原感染症のある地域への
 海外渡航者は、一定期間献血できない。」
としているが、
「どうやってチェックしているか?」といえば
自己申告だけである。

ちょっとお粗末すぎる。

確かに、血液が足りない昨今の事情と
輸血の血液を献血という善意の行動
(中には「善意でない人」がいるので困るのだが、
 たてまえは「善意の行動」)
を考えると、
すぐに解決策がないのが現状だけど・・・。

少なくとも、これらの感染症にかかるリスクのある人
つまり
これから輸血を受けるであろう人たちを救うための
救済プログラムが全くないのが当面の問題である。

そして、血液は足りないのだろうけど、
「検査目的で献血しても、結果は知らされないこと」
「リスクのある人は献血してはいけないこと」を
しっかりと世間に知らしめないといけない。

そして、医者も安易に輸血をしないことだ。
少し貧血があるだけで輸血の指示を書く医者を
僕は、過去に何人も見てきている。
血液製剤も同様にリスクがあるのだけれど
さらに安易に使われているように思う。

受ける側も、
必要のない輸血や、血液製剤の使用には
はっきりと「NO!]と言わないと、いけないのかな?
でも、これは現実問題としては、難しいかな。





   1月 8日 2008
    
新年早々だけど・・・
    「B層」という言葉を目にした。
この言葉は、
「スリード」という民間会社が
小泉内閣の時に、
郵政民営化を進めるに当たっての戦略
(「郵政民営化・合意形成コミュニケーション戦略」)
を作成する際に、
国民を知的レベル(IQ)や
構造改革に対して肯定的か否かで分類した時の
分類の一つである。

すなわち、
『ウィキペディア(Wikipedia)』から引用すると
****************************
[編集] B層

現状では郵政への満足度が高いため、
道路
などへの公共事業批判ほどたやすく支持は得られない。
郵政民営化への支持を取り付けるために、
より深いレベルでの合意形成が不可欠。
IQ(知能指数)が比較的低く、構造改革に中立的ないし肯定的。

構成
主婦層、若年層、シルバー(高齢者)層、
具体的なことは分からないが
小泉総理のキャラクター・内閣閣僚を支持する層など

****************************
ということになる。

言葉を換えれば、
「表面的なことしか理解しないで、
 その場の雰囲気で
 あっちにでもこっちにでも意見を変える
 軽薄な国民層、
 つまり
 ポピュリズムに動員される国民層」
である。

小泉元総理はこの「B層」に対してアピールしてきて
成功を収めたのである。

まぁ、馬鹿にされたモノだ。

B層にアピールするには、
ネガティブな表現を極力避け、
テレビを大量に活用して、
現実よりも、都合のいい物語を示せばよい。

そういえば、
有名なたとえ話を思い出した。
タイタニックが沈みそうになったときに
救命ボートに女子供を優先的に乗せるために、
男達を海に飛び込ませるための言葉は、

相手が

イギリス人の時は、
「ジェントルマンになってください。」

アメリカ人の時は、
「ヒーローになれ!」

日本人には
「みんな、そうしてるぞ」

というのがある。

日本人はポピュリズムに陥りやすい国民性を
持っているのかもしれない。
一面、これは、
その場に波風を立てない日本人の美徳でもあるのだが・・・。


   今年は大阪府知事選や衆議院選挙もひかえている。
しっかりとした自分の意見を持ちたいモノだ。

しかし、
いかんせん、政治家ってやつは、
マニュフェストに、
自分の都合のいいことは書くけど、
都合の悪いことは黙っていて、
当選してからやるので
本当に始末が悪い。

だまされないように、
選挙管理委員会で
マニュフェストの体裁を規定すればいい
と思うのだが・・・。

   まぁ、とにかく自分の意見をしっかり持って、
「B層」にならないように心したいモノである。

でも、
結局は、
「B層」で、世の中きまっちゃうということを
さんざん思い知らされてきた。

本当のところは、
「うんざり」である。



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