DIARY

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     10月30日  2007
     
「神の手」と呼ばないで! 
     今日は、
亀田総合病院主任外科部長の加納宣康氏の記事を紹介する。
(かのう・のぶやす)
 1949年岐阜県生まれ。
岐阜大学医学部卒業。
92年マハドマ・ガンジー・メモリアル医科大学常任客員教授。
93年米国外科学会の『International Guest Scholar』
(世界で7人)に選ばれる。
97年から現職。
06年帝京大学医学部客員教授。


 「神の手を持つ医者」という言葉があります。
私も、そういう触れ込みで
テレビ番組に取り上げられたことがあります。
でも
私は「神の手」と呼んでもらいたくありません。

謙虚さを忘れたらいけないという自戒の意味もありますが、
それ以上に
マスコミが作り上げた「神の手」という言葉と
医療の現実とがかけ離れているからです。

 臨床試験のような特殊なものでない限り、
皆さんが受ける手術は、
ちゃんとした指導者の下で
トレーニングを積んだ平均的医師なら皆できます。
腕の良い医師を求めるのは人情として分かりますけれど、
マスコミに取り上げられる人でなければダメと思うのは
大きな間違いです。
多くのメディアは正しい報道をしていると思いますが、
中には事実を報じているかすら怪しいこともあります。

 「神の手」が独り歩きするのは、
目の前の医師よりもっと良い医師、超人がいるはず、

皆さん無意識に考えているからだと思います。
それは
要するに人間不信のひとつの表現といえます。

 医療というのは人間のすることです。
人間としての医療者を信じることなしに、
良い医療などあり得ません。

 またこれも当たり前ですが、医師も人間です。
寝る間もなく働けば病気になって当然です。
私も心筋梗塞で一命を取り留めたり、
脳腫瘍で右耳の聴力を失ったりしています。

 しかし現在の日本社会は、
医師が超人的に働くことを要求します。
世界的に見て
人口あたりの医師数や看護師数がとても少なく、
責任感を持って患者さんに当たろうとすると
超人的にならざるを得ません。

 医療従事者数が少なくなる大きな原因は
医療費削減です。
世界的に見れば
日本の医療は安く、
しかも
医療者の責任感に支えられて質を保ってきました。
でも、
数年にわたる医療費削減政策によって、
破たんし始めています。

 私が医師になった当時のように、
1人の医師が
子供も含めて何科の患者でも診る態勢で良いなら、
それで悪い結果が出ても
その場に応じて最善を尽くした医療者を訴えないなら、
今の医療者数でも、代わる代わる休めるはずです。
しかし、
人間不信社会ですから、それでは済まないのです。

 専門医でなければダメ、
ベテランでなければダメ
というなら、
医療費削減政策をただちにやめて、
医療者の数も増やす必要があります。

 医療費を負担しているのも、元をたどれば皆様です。
どちらを選ぶのか、
よくお考えください。

   以上はMRICの記事からの転用である。        
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    確かに加納氏の言うことはもっともだと思う。
だけど、
これはあくまで医療側の意見である。

実際に自分が患者になったとき、
目の前にいる医者が、
果たしてどのくらいのレベルの医療を提供してくれるのか
そのレベルの担保が全くないことが
問題なのではないだろうか?


    「せめて、標準の医療は受けたい。」
とみんな思うだろうし
「間違ってほしくない。」と思うのは
自然な思いである。
それを医療不信と言ってしまったら、
おしめぇよ! とも思ってしまう。

   実は、この記事を紹介しようとした当初は、
「その通り!」
と思ってこの日記を書き始めた。

だけど、
書いているうちに、
「なんか、ちゃうで!」と思い始めた。

   診察をしていて、
なるべく、近所の病院の評判を
患者さんから聞けるときには聞くようにしている。
よく聞くのは「悪い話」である。
その内容は、当直帯に受診して、
その当直医にひどい仕打ちを受けたとか
その医者が、全くの藪医者であるといった話である。

   実は、
一般病院では
当直医を確保するのはとても大変なことなのだと思う。
その結果、
当直医は新米の医者であることが多くなってしまう。
当然の結末であるが、
当直帯の医療レベルは
標準の医療レベルより落ちる
という現実がしばしば起こってしまう。

    本音を言わせてもらえば、
「当直代を10万円あげます。」と言われても、
当直はしたくない。
なぜなら、
しんどいだけでなく、
検査などの医療レベルが整っていないし、
スタッフもそろっていない。
緊急手術の必要もないのに、
外科の医者を起こしてしまってはいけない
という思いが働くので、
強い確信がなければ、
自分の範囲で対処しようとするバイアスも働く。
処方可能な薬も、
昼間のいつもの職場とは勝手が違っていて
普段使い慣れていない薬を出すことになる。
薬の量や飲み方や飲みあわせが、
いつもと勝手が違うので間違いやすいし、
間違っても気がつきにくい。
つまり、
昼間より事故が起こる確率が高くなる。
あげくに、翌日もいつも通り働かなくてはいけない。
当直の翌日は、普段の日に較べたら
不機嫌になったり、
説明不足になったり、
手を抜いたり、しがちである。
事故のリスクと、
体の負担を考えると当直はしたくないのである。

    裏を返せば、
当直帯の検査態勢、人員配備の保証があって、
翌日も仕事をしなくてもいいという保証がなければ
誰も当直はいやなのである。

ただ、
新米の医者は、
「いろんな急患を診たい。」という思いもあるし、
お金もないから、
当直に応じることが多いだけのことである。

    話が、脱線してしまったが、
目の前の医者のレベルを判断する材料を、
患者が持てないのが
(我々仲間内でもわかりにくいが・・・)
一番の問題ではなかろうか。

  定期的に医療レベルをチェックするテストをして、
その結果を表示するような
システムが必要なのかもしれない。

   今のところ、
医者のレベルの保証として判断材料に出来るのは、
専門医資格くらいしかない。


・・・・って、密かに自分の宣伝かい!





      10月23日 2007
      
以前から言っていたことだけど、
      本当は、「何を今頃になって!」
と言いたいところだけど、
それでも、
発表しないよりはましなのだから、評価すべきなのだろう。

FDA(米食品医薬品局)の小児医療に関する諮問委員会は、
「医師の処方なしに買える
 風邪薬やせき止め薬は、
 6歳未満の子どもに使うべきではない。」
とFDAに勧告した。

諮問委員会は、
せき止めや去たん剤、抗ヒスタミン剤など
一般的な市販薬について、
効果を裏付ける研究成果はなく、
さらに、
この年齢層は薬の副作用を最も受けやすいと結論した。

実は、米国では今月中旬、
主要な製薬会社が
「飲み過ぎにつながる恐れがある」
との理由で、
2歳未満の乳幼児向けの風邪薬14種類を
自主的に回収していたという経緯がある。
しかしながら、なおも、
製薬会社側は、風邪薬は年間38億回も使われており、
用法用量を守れば安全だと言い張っている。

なんか、ごまかされそうになってしまうが、
根本的なことは、
「飲まなくてもいいもの(あえて薬とは言わない)を飲んで
 健康を害する可能性があるのだから
 やっぱり飲まん方がいい。」
ということであって、
「何億回飲んで大丈夫だったから
 (大丈夫だったかどうかは、はなはだ怪しいけど・・・)
 大丈夫。」
という話ではないのである。

まぁ、
いずれにしても、風邪に効く風邪薬なんてないんだから、
わざわざ、お金を出して
(副作用の危険も一緒に)飲むことはないのである。

ところで、
今、はやっている風邪は、
僕の印象では、(同定されることはないけど)
ライノウィルスという、
よくある風邪のウィルスのようだ。
このウィルスは、上気道に感染して、
鼻の症状やのどの症状を引き起こして、
引き続いて、咳や熱が出る風邪であるが、
喘息持ちには、ちょっとばかし、いやな風邪である。
というのは、
「喘息が出やすい」のである。
今まで、喘息が出たことがないような人が
この風邪を引いて喘息が出たり、
子供が、ゼーゼーヒューヒューいい出すのも
この風邪であることが多い。

   風邪はほっておくのがいいけど、
喘息は早めに薬を使う方がいい。

   風邪の後に咳が長引いていたり、
いつまでも、えへん虫がのどに引っかかっていたり、
朝方、咳がひどくなったり、
息を強く吐くと、ヒューっと音がしたり、咳き込んでしまう。
以上のような症状があれば、
とっても怪しいので、
お気をつけ召され!








      10月19日 2007
      
FM大阪、ちょっとおかしくないか?
      昨日、羽曳野のアレルギー呼吸器センター(旧羽曳野病院)に
用事があって出かけたのだが、
行きの車で、久しぶりに、FM大阪を選局した。
すると、
健康食品だかサプリメントだか知らないが、
やたらにあやしげな通信販売のコマーシャルが流れていた。
何気なく聞き流していたが、
途中から、その内容のあまりのおぞましさに
思わず夢中で聞いてしまった。

その1
   身体から「バラ」だかなんだか知らないがいいニオイがする錠剤。
飲んで効くので、
「身体のすべての穴からいいニオイが香り立つ。」のだそうな!
こんな話を聞いて、「買いたい!」って思う人がいるのか?
どう考えても気持ち悪いだろ!
それに、身体に対する害はないのか?
腎臓や肝臓にとっても
かなり効きそう(逆の意味で)に思うのだが・・・。



その2
   炭水化物をいくら食べても、
この薬(だかなんだか知らないが、厳密には薬とは言えない代物)
を飲むと、炭水化物に関してはチャラになる!

   そんなのがあれば、是非僕も飲みたいものだ。
昔のように、どんぶり飯をお代わりしてみたい!
(カロリーの問題ではないのだけど、
 とてもそんなに食べられなくなってしまったのが悲しい!)

   もしも本当なら、糖尿病の患者には、
願ったりかなったりなのだが・・・。
(もっとも、インシュリンや血糖降下剤を使っている人には
 低血糖の危険が出てくるが、
 これがもし本当なら
 これからはそんな治療薬は使わなくて良いか、
 少量の使用でよくなる訳である。)


  とにかく、FM大阪では、
行きには「その1」を
帰りには「その2」を繰り返し流していた。
記憶では、
「定価は3ヶ月分3万円するのだが、
 今回は特別価格で9800円で販売!」と言っていたように思う。
「こんなに、露骨にあやしいと、もう立派!」
と思ってしまった。

だけど、
考えてみれば、
騙されて買う人がすくなからずいるということなのだろう。
仮にも公共の放送会社であるのだから
詐欺の片棒を担いでいることの責任を追及したくなってしまう。
こんなにあやしげなものを、
いくらスポンサーからお金をもらっているからと言って
平気で宣伝として流すのは、
ちょっと、企業倫理がおかしくありません?。

   もっとも、
「風邪に効く」といって、
平気で風邪薬を売っているし、その宣伝もしているし、
「目や腰が楽になる」とCMして
ビタミン剤を売っているし、
消費者金融からお金を借りるのは、
本当は、めちゃくちゃ高い金利を払わないといけないのに
そのことは、
画面の下に一瞬しか出ない金利を見ないとわからなくて、
さも、「誰でも普通に借りている」ように錯覚させるCMを流しているし、
ちょっと遊ぶだけで、
何万円もすぐに飛んでいってしまうパチンコメーカーのCMも
いっぱい流れているご時世である。

放送業界も
すでに半分以上は腐っていると覚悟すべきなのだろう。




      10月12日 2007
      
アフェリエイト
      僕は、デパートとかに買い物に行くのが煩わしいので、
おおかたのものは、ネットで買う。
よく使うのは、アマゾンである。
値段は安いし、1500円以上は送料は無料だし。
少し前に、ハートレートモニターを買ったが、
買った商品は、リアルタイムに心拍を表示してくれなくて、
毎回ボタンを押さないといけなかった。
これでは使い物にならないと思って、
返品の依頼をしたら、
こちらの負担無しで返品に応じてくれた。
てっきり、
「そちらの思い違いなので、返品には応じられない。」
とか
「開封されたので、70%しかお返しできません。」
とか、
「送料はそちらでご負担してください。」
などといわれる覚悟をしていたのだが、
すんなりと、アマゾン持ちで運送業者を手配してくれた。
そんなこんなで、
アマゾンでの買い物が、多いのだが、
ふと、いいアイデアが浮かんだ。
(アマゾンには申し訳ないのだが・・・。)
「ホームページにアマゾンのリンクを張って、
 誰かがそのリンクから買い物をすると、
 その料金の3%が還元される。」
というアフェリエイトというシステムがある。

   まさか、
自分のホームページでお金を稼ごうなどとは、
つゆだに思わなかったのであるが、
考えてみれば、
自分のホームページにリンクを張って、
そこから自分の買い物をすれば、
3%引きで買い物ができるという事になる訳である。

   つまり、あのリンクは僕用のものなのである。
もちろん、嫁さんや子供達もそうしてもらうけど・・・。






      10月 2日 2007
      
僕って、お酒飲まない方がいいの?
      愛知県がんセンター研究所の松尾恵太郎らの調査で
酒を飲むと顔がすぐに赤くなる体質の遺伝子を持つ人は、
そうでない人より
膵臓癌になるリスクが約1.5倍高いことがわかった。


どういう事かというと、
飲酒後にアルコールが分解されてアセトアルデヒドという有害物質が出来る。
そのアセトアルデヒドを代謝する能力は、
アセトアルデヒド脱水素酵素のタイプと量で3タイプに分かれる。
これは、遺伝子によって決定されている。
3タイプは、以下のごとしである。
(1)正常:いっぱい飲んでも平気な人
(2)低い:飲むと顔が赤くなる人。
   (昔は弱かったが、飲酒歴が長くなって、アルコールに強くなった人もこの範疇)
(3)ほとんどない:まったく飲めない人

調査内容は、
2001―05年に膵臓癌患者138人と、癌でない690人を対象に、
遺伝子型や飲酒量を比較調査し、
年齢や生活習慣を加味して膵臓がんのリスクを計算した。

その結果、
日本人の約5割を占めるとされるアセトアルデヒドを正常に代謝できる人に比べ、
約4割の人は代謝に時間がかかるため、飲酒で顔が赤くなりやすく、
このリスクが1.52倍だった。

残りの1割の人は代謝能力がほとんどないが、
酒も飲めない体質のため、リスクは1.09倍にとどまった。

また、
正常に分解できない2タイプの人は
日本酒換算で1日1合アルコール摂取が増えると、
リスクが3割増す。
という内容である。


  もともとは、
人類はみんな(1)のタイプだった。
中国あたりで(2)や(3)のタイプが出てきて、
黄色人種を中心に広がったのだそうだ。
だから、
白人や黒人はアルコールにめっぽう強い。
彼らのように
バーボンをグラスであおって、決闘に赴いたら、
半分の日本人はヘロヘロになってやられてしまう訳である。


  いずれにしても、
僕はタイプ(2)である。

かといって、飲まない人生はつまらない。

ほどほどに、飲む?

まぁ、いまさらそんなことは
考えてもしょうがないんじゃなかろか?

ちゃんちゃん!

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