TAとはなにか その22018年12月25日参考書籍 『セルフコントロールの医学』 池見酉次郎 日本放送出版社 参考書籍 『続セルフコントロールの医学』 池見酉次郎・杉田峰康・新里里春 創元新書 【初歩のTA】《交流分析(TA)の分類》芝居は、一人芝居も有るけれど、ほぼ二人以上の人間の交流によって成り立っています。 またその交流は、芝居の流れ・・ドラマの中に仕組まれた仮想時間・・によって積み上げられて行くのです。 有名なのはソートン・ワイルダーの「ロング・クリスマス・ディナー」。 わずか一幕(1時間弱)で、ある一家の90年もの出来事を描いている実験作。 舞台下手に誕生の扉。生まれるとここから出て来る。 舞台上手は死の扉。死ぬとここから出て行く。 舞台上は常にクリスマス・ディナーの真っ最中。 人間の想像力無くして理解できないが、それを納得させる展開もまた創造の奇跡の一つである。 交流分析は、二人以上の関わりの問題を取り上げている。 その上で、分析対象の二人が、どのような立ち位置にいるのか、構造分析から《P・A・C》を発見し、 両者の関わり方を下記のように分類している。 まず形のうえから(1)平行的交流、(2)交叉的交流、(3)仮面的交流の三つ。 A.平行的交流 これは、自分の発信に対して、相手から期待どおりの反応が返ってくるとき、また、 相手から発信されるものに対して、こちらが相手の期待どおり反応するときに成り立つ交流です。 これを図式化すると、双方のP・A・Cの間の矢印は平行線を示す。 この種のパターンの例としては、相互信頼に基づく医者・患者関係、仲むつまじい夫婦、 さまざまなタイプの情報の交換などがあげられる。 この、凪のような状態は、芝居の中ではかなり難しい場面といえる。 おだやかなその場の人物達がほのぼのと佇んで居るような場面は、 嵐の前の静けさか、序破急の急に向かう直前など、波乱を呼び込む条件となっているからだ。 演じる役者達に、このおだやかな状況が創りだせるなら、芝居の上演はかなり成功の確率が高くなる。 |
例1: 課長:「例の件、報告書を明日迄に出してくれる?」(AからAへの交流) 課員:「はい。もうできています。今メールでそれを送ります。」(AからAへの交流) 例2: 彼 :「映画、見に行きたい?」(CからCへの交流) 彼女:「行きたい!観たいのがあるの、連れてって。」(CからCへの交流) B.交叉的交流 これは、自分が相手に対して発信する交流に対して予想外の反応が返ってくるとき、 また、相手から発信される交流に対して、こちらが相手の期待にそぐわない反応をするときにみられる交流です。 これを図式化すると、両者のP・A・Cの間の矢印は交叉している。親子間の断絶、片想いなどが代表的な例です。 芝居の中では、場面が劇的に変わる時や事件が起こる時に観られるやり取りと云える。あまりにあざといと、 田舎芝居と笑われるが、喧嘩を売ったり、無意識な争いの種を播いたりする方法として、良く用いられている。 |
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袿(うちき)作:柏戸比呂子 1. 僧 (絡んで)世に、牙ある者に角なく、八重の花に実なしと申す。美しければ欠点も又多いもの。 それをお捜しなされ。そして忘れてしまわれるがよい。 2. 男 美しいだけが取得の女ではございませぬ。詩を読ませれば、 上西門院(じょうさいもんいん)の歌会の選には毎年入り、妻となって、和歌の道から遠のいたのを、 惜しんでくれた者も少なくないのでございます。 3. 僧 (ズバリと)さぞ、浮名の一つも流れた事であろう。 4. 男 (小さく笑って)はは…貞淑な、内気ばかりの女でございました。 5. 僧 (なおもしつこく)女の固いと、東の空の赤いは、あてにならぬと聞く。 6. 男 袈裟が生命を落しましたのは、操を守るためでございます。 ポドテキストを解析するまでもなく、明らかに僧は亡くなった女性の名誉を毀損し、 夫である男は妻を誇りとする様子が伺える。 例1B: 課長:「例の件、報告書を明日迄に出してくれる?」(AからAへの交流) 課員:「分かりました。そのうちやっておきます。」(CからPへの交流) 課長:「大事な報告書だから、しっかり早くやってくれよ」(PからCへの交流) 例2B: 彼 :「映画、見に行きたい?」(CからCへの交流) 彼女:「買い物にいきたい!」(CからCへの交流) C.仮面的交流 これは、本当の欲求や意図、あるいは事の真相などが裏面に隠されていて、 表面的にはそれと異なるパターンの交流が行なわれるものです。 これを図式化するときには、表面のメッセージと裏面のメッセージとを、それぞれ実線と点線で表わすようにする。 日常生活で見られる例としては、心にもないお世辞、あてつけ、なれ合いなどがあげられる。 また、一つの自我状態から表のメッセージと裏のメッセージを同時に送信する『シングル・タイプ』と、 発信者と受信者がそれぞれ表と裏の二重の交流を同時的に行う『ダブル・タイプ』とがあります。 シングル・タイプの裏面的交流では、 友・表:「結婚おめでとう。お似合いの素敵な夫婦だと思うし、結婚式と披露宴もとても素晴らしくて憧れちゃうよ」という 表のメッセージの背後に、 友・裏:「結婚式・披露宴にこんなにお金を使って見栄ばかり張っちゃって。 お似合いといえばお似合いの夫婦だけど」皮肉めいたメッセージが隠れている。 |
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ダブル・タイプの裏面的交流では 生徒・表:「先生、僕の偏差値で志望校に合格できるでしょうか」(CからPへの交流) 先生・表:「うん、勉強して成績が上がっていけば合格ラインには行くだろう」(PからCへの交流) 表のコミュニケーションの背後に、 生徒・裏:「今の偏差値と勉強量では合格は難しいだろう」(AからAへの交流) 先生・裏:「今の偏差値と勉強の進み具合では志望校合格はかなり難しいだろう」(AからAへの交流) 裏のコミュニケーションが機能している。 |
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