【演出が使うTA】

【TAを使う、その5】

【人生脚本】

最後に、脚本分析(人が自覚せずに歩いている人生プランを、歩いてきた軌跡を分析して理解する方法)を
考えましょう。
これは過去の航跡が、未来をどう支配するか。とも言い換えられます。
ここでも

(投稿日:2016年12月14日 心理カウンセラーの種 , 2018 )より、
ご説明頂きましょう。

脚本分析(人生脚本)とは=無意識に繰り返される人生のパターン
脚本分析とは、無意識のうちに繰り返してしまう人生のパターンを分析し、改善していくためのものです。
例えばいつも恋愛で同じような別れ方になったり、仕事で同じような辞め方を繰り返すケースがあります。
これらは本人も無意識のうちに繰り返していて、自覚はありません。
こういった人生のパターンになっているものを、TA交流分析では人生脚本と呼んでいます。

同じパターンを繰り返してしまう理由

なぜ無意識のうちに嫌な人生のパターンを繰り返してしまうのかというと、本人も気付いていない価値感が原因です。
価値感が人生にどんな風に影響しているのかを、以前のアメリカの大女優「マリリンモンロー」のケースを通して紹介します。
というのも、マリリンモンローは結婚・離婚を3回繰り返しています。これにはレッキとした心理学的な理由があります。

結婚・離婚を繰り返した理由

マリリンモンローの生育歴(生まれてから育ってきた環境)が強く影響しています。
モンローは、1926年に父親のいない家庭で生まれ、母親が1人で働きながら生計を立てています。
その過程でお母さんが精神病になり、入院。モンローは幼い頃に親戚や他人の家に預けられる事になり、
10ヶ所以上の家を転々としています。
幼い時には養育者がいないと純粋に生きていけないので、愛情を注いでくれる存在はとても大切です。
モンローの場合は、「この人は自分の事を守ってくれるのかな?信用できるのかな?」と感じられた辺りで、
その人との辛い別れを何度も経験してます。

何度もその経験をするうちに、モンローの中に無意識のうちに
「愛は途中で失われなければならない」という価値感が根付いていっています。
そうでも思わないと、何度も繰り返される悲しい別れに耐えられなかったと思うんですね。

この価値感が、結婚離婚の繰り返し(人生の脚本)にどう影響しているのかを解説します。
親密になるほど、別れる時の辛さが思い出される

モンローは家族がいない境遇から、人一倍さみしさが強いので、人を求めます。
求めて親密になればなるほど、別れる時は辛いですよね。

モンローの中には、無意識のうちに「愛は途中で失われなければならない」という思いが根付いているので、
親密さが増せば増すほど別れたときのダメージを無意識のうちに想像してしまい、
「どうせ別れるのならこれ以上親密にならないうちに」という思いが湧き上がってきて、
別れを切り出してしまいます。

このような感じで、
結婚する(親密になる)→離婚する(今より親密になるのが怖くて自分から別れを切り出す)→
寂しさは人一倍強いので、また恋愛を求めて結婚する→以下ループ

という人生のパターンが繰り返されます。こういったパターンを人生脚本と呼んでいます。

人生脚本の特徴2つ
1 本人はその原因となっている価値感に気付いていない

無意識のうちに根付いてますので、本人はそれに気付いてません。
その価値感に気付くことが問題改善の大きな一歩です。
気付けば変えていけます。気付くためには心理カウンセリングが1番の近道です。
ちなみに人生脚本では、こういった不公平・否定的な価値感を禁止令と呼んでいます。
代表的な禁止令を紹介します。
代表的な禁止令
存在してはいけない

虐待を受けたり、親から否定され続けた場合、「生きていていい」とは思えず、この禁止令が根付きます。
男(女)であってはいけない
男の子が生まれて、親戚や知人に「本当は女の子が欲しかったのよÅー」等と母親から言われると、
根付きます。本人も無意識のうちに男っぽい女の子になったりします。

成功してはいけない

子供の成功を素直に親が喜べないケースが繰り返されると根付きます。

健康であってはいけない

「普段は異常に厳しく、病気になったとたんに優しくなる」ということが繰り返されると
この禁止令が根付き、親から愛されるために病気がちになります。

考えてはいけない

子供が食べたい物や欲しいものを選んでいる時に、
「これにしなさい」などと選択の余地を与えない機会が続いたり、
自分の意見を聞いてもらえない機会が続くと「考えないほうが愛されるんだ」と思え、
この禁止令が根付きます。

自然に感じてはいけない

笑ったり、泣いたりした時に、常に「静かにしなさい!」と言われ続けると根付きます。無表情のお子さんに多いです。

完璧でなければならない

両親から褒められる機会が少なく、優秀な兄弟と比較され続けると根付きます。「兄のように完璧でないと、
今のままの自分では愛されない、完璧でないと愛されないんだ」という思いが繰り返された結果です。

役に立たなければならない

片親で手伝いをすると褒められる機会が続いたり、幼い時から親や祖父母のグチを聞かされ続けると
この思いが根付きやすいです。
他人優先で自分の思い、やりたい事がおざなりになるので苦しいです。

2 繰り返される度に自己否定感が増す

人生脚本は、この特徴があるからこそ不都合な脚本は変えていったほうが良いです。
そのパターンが繰り返される度に、「自分はダメだ」という感覚が増してきます。

まとめと改善方法

人生脚本は、禁止令(育ってきた環境で身につけた否定的な価値感)が原因となって、
自分でも気付かないうちに不都合な人生のパターンを繰り返してしまいます。

まずは禁止令に気付くことが改善の第一歩です。
その思いを持っている事に気付いているかそうでないかは大違いで、
気付けるとそこから変えていけます。

気付けた後は、自分の事を好きになれない価値観は、緩めていきます。

「完璧でなければならない」→「完璧であった方が良い」

という感じです。

その後、本当はどう生きたいか?をしっかりと見つめることも大切です。



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隠居部屋あれこれ
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