今日までそして明日から



項目 内容
分類 ・ SEQY 樹村さんのまんが作品 ・ 151
タイトル 今日までそして明日から
タイトル(読み) キョウ マデ ソシテ アシタ カラ
原 作
雑誌初出 掲載誌 『Bell ROSA』 1995(平成7)年 8月号
版元 少年画報社
PAGE 40
サイズ・カラー (未調査)
単行本に収録 書籍名 『母親の娘たち』に収録
版元 ヘルスワーク出版

ストーリー

高木萌(11才)は両親が離婚、ママ(高木めぐみ)と引っ越して新しいマンションへ引っ越し。
が、契約の手違いで同じ部屋を三宅さん(女性・通称ミケちゃん)も借りていた。やむなく3人と
ミケちゃんのネコ(もも)は同居することに。ママの友達、ミケちゃんの友達が引っ越し祝い。
ミケちゃんはいつも女の人を好きになってはフラれてるらしい。
ママと萌はミケちゃん(&もも)に打ち解けそんな折りママの友達、ハイミスの薫子さんの結婚話に
結婚サギの疑いが。頼もしきミケちゃんの協力で被害をまぬがれる。
ミケちゃんは新しい部屋が見つかり引っ越すことに。ママと萌は寂しく思うが、なんと!ミケちゃんは
隣の部屋に越してきたのだった。

解説

今(1999年5月)現在で私の知る限り樹村さんの最新(コマまんが、10頁未満の短編除く)の
まんが作品である。(←この記述は早く書換えたい。新作待望)
決してシリアス作品ではなく、樹村さんいうところの「寝ころんで読むまんが」の系統である。事件の
連続で話が進行し、セリフ・登場人物も多い。
作品タイトルは吉田拓郎の 歌『今日までそして明日から』 より取られたとおぼしい。歌詞が直接セリフで
登場する−といったことはないが
“私は今日まで生きてみました/そして今私は思っています/明日からもこうして生きてゆくだろうと”
という一節が当作品の基調と思われる。
コメディ調で、セリフで登場人物たちが“レズビアン/ハイミス/子連れバツイチ”と軽く表現されている
が、それぞれの抱えているものはシリアスだ。だが、彼女らのちょっとぬけてるところ、無神経なところも
ひっくるめての人間喜劇は実に明るく前向き。ラスト2頁のセリフのやりとりは一生ものの貴重さだ。
語り部たる萌は「釣り目」という形状でシニカルなちょっとキツイ少女として登場する。ママにはやさしい
(というと変な表現だ)が、ママの友達には無愛想だ。帰ってこない父(登場しない)、いつもさみしい顔
の母、という家庭の故か。ママの無神経な一言にミケちゃんが代わりに抗議してくれた夜から、彼女の表情
はおだやかになる。
ミケちゃんは闊達で好ましいキャラクター、作者も気に入ったか『不思議な国の花子さん』で再登場してい
る。
脇役も充実。近くに住む大家さん。「久しぶりー」のあけみさん、下まつげの長いキャラは久しぶりー。
新しいマンションの“庭の木”も、いわゆる一つの樹村キャラ。『カッコーの娘たち』『無花果の木』
『帰り道』...。いつでも青々とした葉が茂っているぞ!


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