自治体レベルで反対したい「有事3法案」その1


平塚・白いリボンの会 神田・長坂


 
 昨年9月11日の同時多発テロ事件後、テロに反対するとともに、民間人も犠牲にしたアメリカの軍事報復に反対する気持ちを抱き、何かしなければ…と居ても立ってもいられない人達で自然発生的にできたのが「平塚・白いリボンの会」。これまで平塚駅頭で戦争への道を反対するアピール、アフガン難民に食料を配給している「ペシャワール会」への募金、中東問題に関する講演会を行うなどの活動をしてきました。
  ところが、このところ日本政府の動向から目が離せなくなってきました。国会で「武力攻撃事態法案」「自衛隊法改正案」「安保会議設置法改正原案」の有事法制関連3法案が審議されるという事態になっているからです。「非核市民宣言運動・ヨコスカ」の新倉さんから、有事法制関連3法案を立法化させないためには自治体を動かすことが何より効果的だという提案を受け、5月13日、平塚市長宛てに以下のような「有事法制に関する質問書」を提出しました。それに対して5月20日に出された回答も併記しておきます。
  「私たち市民は、地方自治体こそが、中央政府の過ちをただし、市民のよりどころであってほしいと強く願っています。地方自治の長として、憲法、地方自治を守る立場から、ぜひ私たちの平和のよりどころである平塚市の姿を見せていただけるよう希望し、以下の質問をさせていただきます。

 有事法制の必要性について政府の説明は十分だと思われますか? 
  政府の説明は十分ではないと考えています。
 有事法制に関して平塚市から政府に対して何らかの問い合わせをしていますか?
  問い合わせはしていません。
住民への罰則規定や私権の制限を含む有事法制案は、平塚市市民にどのような影響を及ぼすとお考えですか?
  今後の推移を慎重に見極めなければなりませんが、憲法に定める基本的人権が最大限尊重されるべきであると考えます。
 地方自治権の制限について、地方自治体の長としてどのようにお考えですか?
  具体的にどのような制限になるのか、今後の推移を慎重に見極めたいと考えます。
 平塚市は、平塚空襲の体験から平和行政をすすめ、非核都市宣言も行っていますが、その市の姿勢から見て有事法制案をどのようにお考えですか?
 核兵器廃絶平和都市宣言は、憲法に基づくものとして昭和60年に制定しました。有事に備えて法整備を行うことは否定すべきものではないと思いますが、今後、基本的人権の確保について期待したいと考えます。」

 当日、対応した藤本総務課長と総務課高田氏によると、閣議決定後、法案だけが説明など無しで送られてきているとのことでした。説明を要する部分と考えるのは、首相に権限が集中していること、代執行ができる点だと指摘していました。私権の制限、市民への罰則などについては、具体的にどのようなことになるかわからないが、可能性がゼロということはないと思う。市民に対して不都合と思われることが起きた場合は、市長会などを通して意見を言っていくとの答えでした。 いずれにしても基本的人権や平和主義が尊重されることは大切だと考えており、 制定には十分な論議が必要で、市民からの意見があれば国への問い合わせをしないことはない、と明確に答えました。
 こちらからは、市民の安全に責任がある市長が、説明が不十分と思いながら問い合わせもしないのでは困る、法律ができてしまってからでは法に従うことしかできないので、審議をしている今、政府に慎重な審議を要請してほしいと強く要望し、その結果を後日尋ねる旨伝えました。また地方自治体は政府と対等な地方政府と考えられなければならないのに権限が侵される不安、これまで日本がとってきた戦争に依らない紛争解決という外交姿勢が基本的に壊れる心配、次代の子どもたちが戦争に巻き込まれる恐れなどを訴えました。そして市庁舎内で有事法制に関係する全セクションによる対応・検討機関を作ること、市民との勉強会を持ってほしいことなどを要請しました。
 さらに6月市議会の初日、「有事法制の立法化に反対し、意見書を国に送付してください」という請願書を提出、各会派を回り、紹介議員になってほしいと依頼。趣旨に賛同の意思表示のあったのは、新政クラブ、共産党、ネットワーク運動、ひらつか市民の党、市民派の会でした。他にも2団体から同趣旨の請願が出ているようでした。この請願は6月17日の総務経済常任委員会にかけられましたが、議長を除いた7人の委員のうち、賛成3人(田中氏、端氏、柳川氏)で不採択となってしまいました。最終的には6月24日の本議会で採決されます。

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