神奈川県西部地震と予想される震災


日本国際地図学会会員 野上純與



 2007年〜2019年(+−5年)に発生する現実的可能性のある東海巨大地震の余震として、その発生直後から2〜7年以内に発生する現実的可能性がある神奈川県西部地震は、約210年を地震発生サイクルとする南関東地震の間に、約70年を地震発生サイクルとして発生する。
 南関東地震が、相模トラフおよび国府津・松田断層を震源域とするマグニチュード8クラスのプレート境界型の巨大地震であるのと異なり、神奈川県西部地震は相模トラフ西側の西相模湾断裂を震源域とするマグニチュード7クラスの大地震である。
 西相模湾断裂は、その西側の大島火山(三原山)〜熱海火山〜箱根火山など火山性地質の地殻と、東側の非火山性地地質の地殻との地質的境界であり、西相模湾断裂西側の軽い火山性地質の伊豆半島の北端は重い東北日本マイクロプレートにある丹沢山地にせりあがり神縄逆断層を形成し、陸の東北日本マイクロプレートよりも重い西相模湾断裂東側の非火山性性質の地殻は相模トラフおよび国府津・松田断層で東北日本マイクロプレートに沈み込む。
 1703年に発生した元禄地震(マグニチュード7.9〜8.2)から約210年後の1923年に大正関東地震(マグニチュード7.9)が発生した。その間、約73年の地震発生サイクルで、マグニチュード7クラスの大地震が西相模湾断裂を震源域として、天明地震(1782年)〜嘉永地震(1853年)と発生した。
 1972年の八丈島東方沖地震以後、伊豆諸島・伊豆半島を北上して発生したマグニチュード5以上の地震の震源域は、1980年の伊豆半島東方沖地震を経て神縄逆断層に到達して西相模湾断裂の周辺に停滞。以後、大島火山(三原山)・伊豆半島東方沖海底火山・三宅島火山の活動が活発となり、2001年に箱根火山の山体が膨脹する地殻変動や丹沢山地を震源とする小地震が発生し、箱根火山周辺地殻変動は2006年夏以降にも発生している。2002年には西相模湾断裂南部の伊豆半島沖で群発地震が発生し、2006年4月21日には伊豆半島川奈崎沖を震源とするマグニチュード5.8の地震が発生した。
 しかし、1998.4年(+−3.1年)を発生のピークとした神奈川県西部地震の発生は遅れている。
 その理由は、1996年に東海巨大地震の震源域の微小地震の活動が静穏化して、1998年にスロースリップ(ゆっくり滑り)とよばれる異常地殻変動が現れ、2001年からは北西方に向けての地殻変動が南東方に向けての地殻変動に反転し、2002年以後、その中心が東方へと移動した東海巨大地震の震源域の異常地殻変動の影響を、西相模湾断裂がうけていることによる。
 神奈川県西部地震が発生した場合、神奈川県の大部分の地域と静岡県・山梨県・東京都の神奈川県に近接する地域が震度5弱以上となる。酒匂川の沖積低地からなる足柄平野の地域は震度6〜7となり、砂質土・シルト・砂礫の地盤は液状化して流動し、東海道本線・新幹線を含む交通機関などが被害をうける。また、自然破壊の進む箱根火山に地すべりを含む地盤災害が多発し、相模湾西部の震源域に発生する波高3メートル程度の津波が相模湾・相模灘・浦賀水道の沿岸を襲い、大きな被害をもたらす津波災害の発生する心配もある。
                                          以上
                                             (2007.3.1)
     No.24 2007〜2019(+−5年)に東海巨大地震・南海巨大地震発生の現実的可能性 正誤表
      誤         正
p3 
    房総半島地震    房総半島沖地震
     境界型地震    プレート境界型地震
p4
    兵庫南部地震    兵庫県南部地震

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