平塚から新しい形をつくろう

自治について考えよう


小林



 最近気になることだが、「市長に要望しよう」という声を何回も聞く。また、6月議会では、市長の公約を問う質問が相次いだ。4月の選挙で新しく市長になられた大蔵律子氏は公約として、市民参加を掲げられているが、政策執行と市長を単純に関係付けて考えるのは疑問である。まちの主人公は市民であり、市長は市民の信託を受けて働くのだから、まず市民が何を信託するのかがクリアにされるべきであり、取り組む方法も市民合意で進められるべきだろう。
 関連する法律を紹介する。

 憲法 第92条
 地方公共団体の組織及び運営に関しする事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。

 地方自治法 第1条2 地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。
 A国は、前項の規定の趣旨を達成するため、国においては国際社会における国家としての存立にかかる事務、全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動若しくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務又は全国的な規模で若しくは全国的な視点に立って行わなければならない施策及び事業の実施その他の国が本来果たすべき役割を重点的に担い、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねることを基本として、地方公共団体との間で適切に役割分担するとともに、地方公共団地に関する制度の策定及び施策の実施に当たって、地方公共団体の自主性及び自立性が十分に発揮されるようにしなければならない。


 憲法92条では、地方自治の本旨が強調されている。地方自治の本旨とは、住民が自分たちで自分たちの社会について決めることである。また、1999年改正2000年4月施行された地方自治法では、行政間の補完の原則や地域の自主自立が書き込まれた。
 このように考えてくると、はじめから市長に問題を投げかけるのではなく、市民が地域社会の問題を調べたり議論したり自分のできることを試みた上での提案が自治と言えるのではないだろうか。
 その後の市民合意をどう図るかも問題である。私は廃棄物問題での県との交渉で、県が市民の合意を得た平塚市の判断を基に政策立案しているとの説明に、「市民と話し合いも行っていないごみ処理広域化計画に正当性はない」と反論していた。現在平塚市は第3次総合計画のとりまとめを進めているが、個別施策において市民合意が得られているのか疑問である。さらに国の政策である住基ネットや有事法制においても同様である。
 市民合意を得るために、タイムスケジュール、意思決定の方法、前提条件、関係情報、現況、財政処置、担当者などの一覧表記しHP等で公表し、それを元に行政報告会を中央公民館で市民の質疑を交えながら行ったらどうだろう。平塚市は8月に第3次実施計画の意見を公募したが、意見を言おうにも背景や実態が理解できなくては発言できない。専門家を招いて、わかりやすく解説していただき問題やヒントが得られればさらによい。その後、分科会を設け意見交換を行い第3次実施計画のたたき台をつくり、それを市内で回覧し市民の合意が得られればそこから第3次実施計画をスタートさせてはどうだろう。
 足元の環境や市民一人一人の思いを大切にして、暮らしやすい地域社会づくりをこの平塚から始めようではないか?そのために、この+α平塚市民情報誌は、市民の皆様に真実の情報をお届けしたいと考えている。


  参考資料:スタート!地方分権 地方分権推進本部
  ジュリスト増刊 2000.5 有斐閣
  ジュリストNo.1203 2001.6 有斐閣
  地方自治 新藤宗幸 現代書館
  新地方自治法 兼子 仁 岩波新書

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