政策評価をしよう!no3

市民の手で政策評価を!


小林



 本来なら、前回(No5)の続きを書くべきところですが、今回は政策評価について紹介します。
 ところで、私が政策評価に注目するようになったのは、18年間環境問題に取り組んだ事からです。環境政策において、理論的な展開か、実効性はどうか、政策そのものや結果が精査されているのかなど多くの疑問を持ちました。また、プラス・アルファの活動で平塚市を取材すると、No6では、下水上廃棄物処分場の構造図が示されませんでしたし、No5では、馬入堤内地55億円の大規模公共事業について今後の予算計画を求めましたが、手書きのメモしか渡されませんでした。危機管理はどうなっているのだろう、現場との整合は図られているのだろうか、責任は誰がとるのかなど驚きの連続でした。正確な情報が出てこないのでは、「情報公開条例」が役に立ちません。何のための政策、事業、担当者なのでしょう。
 政策評価は、国の行政改革会議の答申を受けて、1998年制定の中央省庁等改革基本法の基本方針に明記され、2001年新省庁体制の発足に合わせて、政府全体として政策評価が実施される事になり、「政策評価ガイドライン」も決定され知られるようになりました。それ以前にも北海道の「時のアセス」や三重県の「事務事業評価システム」が注目されていました。またアメリカでは1993年クリントン大統領が就任に伴い、ゴア副大統領を責任者とし「連邦政府業務再検討」と銘打った行政改革に取り組みました。半年後の報告書の前書きには、「行政改革は、信頼の赤字を埋める目的もある。国民に向かって、汗の結晶である税金をムダなく大切に使っていくことを証明したい。」と書かれています。その後、人件費の削減や内部機構の簡素化を行いました。(五十嵐敬喜・小川明雄著 市民版行政改革、岩波新書)
 このように政策評価は、行政改革として取り組まれるようになりました。そして、政策評価には、逼迫した財政の建て直し、アカウンタビリティーの確保、地方分権推進に伴う自治体の政策的自立が背景にあります。(石原幸宗 朝日総研リポート2002.6) では、実際の政策評価について、国の「政策評価に関する標準的ガイドライン」から紹介します。第1-1目的では、政策評価導入の目的を説明責任(アカウンタビリティー)、効率の良い質の高い行政、成果重視が挙げられています。第1-2の概念では、今後導入される政策評価について「国の行政機関が主体となり、政策の効果等に関し、測定又は分析し、一定の尺度に照らし客観的な判断を行うことにより、政策の企画立案やそれに基づく実施を的確に行う事に質する情報を提供すること。」となっています。第2-2、評価の観点、一般基準等では、「必要性」「効率性」「有効性」「公平性」「優先性」を合理的な手法を用いて総合的に評価するとあります。第2-3では、「事業評価」「実績評価」「総合評価」を必要に応じて採用・実施し、第2-4評価結果の政策への反映では、各府省は、評価結果が企画立案作業に適時的確に反映される仕組みを構築、また、必要があれば勧告を行う、予算に反映などとなっています。第2-5評価結果等の公表では、評価に使用した前提条件、評価手法、データ、学識経験者の意見等評価過程を含めて可能な限り具体的に公表、また、国民に容易に、速やかに、わかりやすく公表するとなっています。平成13年度は、リゾート法、容器包装リサイクル法等の見直しが課題となっています。
 以上は、政策評価に関する国の考え方であり、地方が取り組む場合、いつ、何を対象に、どういう基準で、どういう手法で,誰が主体となって取り組むか等は、そこにすんでいる住民が決めるべきです。なぜなら、納税者ですから。青山貞一氏(環境と公害2001.1)は公共事業の事前評価の重要性を、社会的な「必要性」、科学的な「妥当性」、情報公開等市民参加手続きの「正当性」の3点から提唱されていますが、私は公共事業に限らずこうした視点は重要と考えます。現在平塚市が進めている、馬入堤内地事業や湘南市構想は、きちんとデータを示して住民に信を問うべきでしょう。また、神奈川県のごみ処理広域化計画もSEA(戦略アセスメント)を実施するべきです。
 最後に、日経「全国都市番付、住民サービスここが一番」を紹介します。この本の巻末に、行政サービスを「公共料金」「福祉・医療」「教育」「暮らしのインフラ」で全国の市(区)を点数化した一覧が載っています。一番高いのは東京千代田区90点です。平塚市は69点です。軒並み、都市が高くなっており埼玉県所沢市は80点です。いくら行政サービスが良くても、自然のない町には住みたくありません。また、政策評価において、行政コストが問題にされます。行政運営コストが安いのはもちろん歓迎ですが、心が豊かになるまちづくりを考える事のほうがもっと重要です。自分たちがどういう平塚にしたいのか、自分たちで考え、意思決定できるまちが、私は好きです。

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