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アカウミガメ


小林



平塚市博物館2階の漂着物を拾う会のコーナーに、平塚市龍城ケ丘に死後漂着したアカウミガメの剥製と骨格標本が展示されています。


からだの特長 アカウミガメは、体長が69〜103cm(大人雌)になる海で暮らすカメです。ウミガメは、足が泳ぎに適したひれ状になっていますが、陸に住むカメは、足の指の関節が動くことに違いがあります。ウミガメは、は虫類のなかまです。陸での生活のなごりが残っているため、卵は殻を通して呼吸をします。そのため、陸に卵を産みます。大人も15分〜20分おきに水面に顔を出し息をします。また、海水や食べ物に含まれている余分な塩分をなみだとして排出します。ウミガメの甲羅は、骨(肋骨)と皮膚が変化してできたものです。口に歯はなく、口やあごの皮膚がかたく歯の変わりをします。貝やかにを食べるので、かむ力が強くペンチのようです。普段は、波のうねりを受けない水深5〜6mを人が歩くくらいの速さでゆっくり泳いでいます。一気に200mまで潜ることもできますし、人が泳ぐよりはるかに早く泳ぐこともできます。


産卵 アカウミガメは、産卵のために4月頃日本列島にやって来ます。黒潮の流れ込む茨城県、対馬海流の流れ込む石川県以南から沖縄県八重山地方にかけての海岸で産卵します。海中で交尾した雌は、安全を考えて夜に上陸し、直径20cm深さ60cmくらいの穴を掘り産卵します。産み終わると前足で砂をかけ、後ろ足で踏み固め穴をふさぎます。一回に約110個、多いウミガメで夏の産卵期に6回位卵を産みます。産卵場所は、背後に林がある砂浜と海中に休息する岩礁のある地形が好まれます。しかし、近年はダムや堰の影響で土砂が供給されないため砂浜がやせる、夜間の照明、騒音など、ウミガメが安心して産卵できる砂浜は激減しています。


アカウミガメの旅 太陽の熱で温まった卵から、約2か月後子ガメが地上に出てきます。子ガメは、数日から一週間かけて砂の中をもがきながらのぼっていき、夜を待って海に向かいます。砂の中に取り残され死んでしまう子ガメもいます。地上に出た子ガメは、いっせいに海に向かいます。その時、明るい波うち際が目印になりますが、照明はそれを妨げます。また、野良犬、スナガニ、カモメ、サメなど、天敵が目を光らせています。そうした危険をくぐりぬけ、自分で食べ物を探し生きていかなければなりません。子ガメは、泳ぐ力が弱いので浮かびながら海流に流されて、流れ藻などにいる生き物を食べて大きくなります。ここでも、プラスチックやオイルボールが浮いており危険です。日本のアカウミガメは1年半から2年かけてアメリカ西海岸にたどり着きます。さらに成長すると、今度はカリフォルニア沖から日本を目指して旅立ちます。ハワイの北側を通過するコースを西へ、まるでコンパスでも持っているかのように自力で泳いで日本にやって来ることが最近の調査で解明されました。


太古から海に生きるウミガメが、再び産卵に訪れる砂浜になるようみんなで考えましょう。

(参考:ウミガメの旅 香原知志著 ポプラ社)

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