横浜市金沢区で始まった   

中途障害者ピア・カウンセリング活動


ピアズ金沢 幹事 笠井



 ピアズ金沢は脳血管障害後遺症と闘っている有志が「@ 自分たちの経験を後輩へ伝えることにより少しでも役立ててもらおう、A それにより自分たちも社会参加しよう」と設立した障害者団体です。
 平成15年1月横浜市金沢区に地域ケアプラザが開所しました。運営は社会福祉法人が横浜市から委託されておりますが、それとは別に地元の意見を反映するために12名からなる運営委員会が構成されました。障害者の意見を反映するために筆者も運営委員の一人になりました。そこでケアプラザの業務としてピア・カウンセリングの採用を提案してみました。
 ご承知のようにピア・カウンセリングは医者などの専門家によるカウンセリングではなく同病の仲間、先輩による経験を通じたカウンセリングです。
 たとえば、不登校の子供にたいするもの、エイズ患者にたいするものなどが良く知られております。
 我々脳血管障害者もまた健常者である医者や保健師には解らない多くの悩みを抱えています。しかし、これらの医者や保健師などには解らない悩みでも同病の先輩の経験を知り、また同病の仲間を得ることにより解決できないまでも、ずいぶん救われた経験をもっています。そのような経験から後輩の障害者にとって我々先輩の経験はきっと役に立つと考えました。
 一方で、先輩障害者自身にとってもピア・カウンセリングは社会参加のチャンスになり生甲斐にもなると考えています。というのは、障害者の自立が叫ばれているにもかかわらず今の日本では障害者は保護される対象でありますが、自立し社会に貢献するという役割を見つけることは困難です。発病後1,2年は保護される対象であることはありがたいことですが、3年4年と経ち体調も少しずつ快復し自立を模索するころになっても自分が社会参加できる役割を見つけることができないことに失望する障害者は多いのです。 そういう意味で、このピア・カウンセリングは自分たちの経験が後輩の役に立つ社会的役割であり、障害者でなければできない仕事なのです。
 さて、このような趣旨から運営委員会でピア・カウンセリング業務を提案したのです。
 当初は「ケアプラザが障害者を雇ってピア・カウンセリングを実施」してほしいと提案したのですが、「ケアプラザで障害者団体がピア・カウンセリングを実施」となりました。障害者が社会参加できる仕事を創り出すためにできることなら「で」ではなく「が」の方がよいのですが、まだ実績も何もない状態で高望みをするよりは着実に実績を積み上げるほうが先決だろうと思いました。このような経緯で、ボランティア団体「ピアズ金沢」が結成されました。
 具体的にはケアプラザが受付をし、ピアズ金沢のメンバーがカウンセリングをするということです。とはいうものの症状や性別、年齢、抱えている問題により当該メンバーで対応できない場合はバックアップ・グループ(仲間の障害者有志たち)に応援を求める。たとえば、左マヒの先輩は、左マヒの後輩にはアドバイスできるが右マヒや失語症の後輩には適切なアドバイスが難しい、その場合は右マヒや失語症の先輩に応援を求める。後輩が復職を考えている場合は復職経験者の支援を求める。
 このようにピアズ金沢は平成15年4月発足しました。これが起爆剤となりこのような活動が各地に広がっていけばより多くの脳血管障害の後輩に先輩の経験を伝えることができます。また先輩障害者の社会参加のチャンスも広がるのではないかと期待しております。
 ここでは触れられませんでしたが、カウンセリング、各種イベントなどの実際の活動についてはチャンスがあればまたご報告させていただきます。
 このほかに、ピア・カウンセリングの一環として多くの先輩の経験を綴った「脳血管障害の先輩から後輩へ―――暮らしのハンドブック」を出版し草の根ルートで後輩たちに配布しています。
                           連絡先 西金沢ケアプラザ Tel 045−788−2228
                                    グループ・ピアズ(脳血管障害者の広場)

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