地域の環境を考えよう!no2

馬入水辺の楽校は環境にやさしいか?


小林悦子



3月15日の広報ひらつかをご覧になりましたか。相模川の河川敷(国道1号線馬入橋)上流をお花畑や自然観察のできる場所として平塚市が整備を進めてきた場所に「馬入 水辺の楽校」がオープンするので、記念イベントを4月15日に行うので市民の皆さん参加しませんかと表紙1ページすべてを使ってPRしています。また、水辺の楽校というのは、国土交通省が進めている事業です。1997(平成9)年の河川法の一部を改正する法律が国会に承認されました。その結果、今まで治水だけで進められてきた河川管理が、市民がより水辺に親しめるようにとか環境により配慮するようにという方向性が打ち出され、それに沿った事業としていくつかのメニューが市町村に提示されその中から平塚市が水辺の楽校を選び、予算は国土交通省持ちで進めているのが、「馬入 水辺の楽校」です。広報を見るとお花畑や自然観察のゾーンがあり、自然観察やお花畑の手入れに市民の方は参加しませんかと参加呼びかけています。
それなのに、なぜ反対するようなタイトルにしているのと思われるでしょう。実は小林は、この計画がはじまる頃から河川敷の環境配慮と市民参画について意見を述べてきました。(1997,1998,1999年)ところが平塚市の事業への一般市民の参加呼びかけは今回が始めてです。その結果、お花畑や自然観察ゾーンが既存のものとしてできあがり、昨年から市が内々で呼びかけた市民グループの話し合いを元に方向性もできつつあります。つまり枠ぐみやレールが半ばできた状態で一般に呼びかけているわけです。
そういう呼びかけ方は、公平ではないと思います。私は自然配慮や市民参画をきちんとやって欲しくて平塚市に意見を述べてきました。しかし考慮されることなく半ばできた状態で参加をと言われても、自分が考えたわけではないので素直に参加しようという気持ちにはなれません。特に平塚市は環境基本条例において環境へ配慮すると述べていますが、お花畑では環境への配慮が欠けていると思います。しかし、お花畑について議論しようにももうできていて、お花畑の管理には多くの市民が参加しているので公平な雰囲気で議論はできません。
平塚市がお花畑を作ったのは、それ以前は不法投棄がひどく荒れていたためだそうです。でしたら不法投棄対策をまず行い、その上で環境配慮と市民意見の聴取を行った上で開発計画を進めるべきではないでしょうか。市民にお花畑を作りたいというニーズがあるのでしたら、高齢化が進み衰退しつつある農業と市民を結ぶ事業はどうでしょう。また都市部の公園管理を市民に開放するとか、代替案は考えることができます。河川敷は、都市に残された貴重な自然環境です。
公共事業において、初期の意思決定の場を公開し広く市民に呼びかけ、合意を得た上で進めるべきです。また、考えるプロセスを公開するべきです。内容や進め方を市民が自分達で考えることによって、市民の思いが育ち、そのことによって事業はいい方向へ向かうはずです。平塚市が良かれと思ってお花畑を作っても、市民意識は育ちません。これからの行政にとって、建前だけの市民参画では市民の気持ちを受け止めることはできませんし、信頼関係は築けません。そして環境配慮は、単純に草木を植えることではありません。平塚市は、市民といい関係を作りいいものを作りたいのであれば、今回のようなやり方は見なおすべきでしょう。

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