考えよう!平塚市の環境問題

三重県RDF事故から考える 平塚市リサイクルプラザの危険性


小林



 10月9日NHKクローズアップ現代「なぜ爆発?夢のゴミ発電施設」が放送された。8月19日三重県企業庁のゴミ固形燃料(RDF)焼却・発電施設における消防士2名が死亡した爆発事故についてであった。 RDFは、家庭の生ゴミを砕き乾かし棒状に固めたものである。その貯蔵庫で事故が起きた。
 国は、所沢などのダイオキシン騒動以降、根本的な対策はとらず、大型焼却施設、RDF発電、リサイクルプラザなど事業を進めた。ゴミを発電施設の燃料にすれば資源の循環ができる、石油の代替となるのでCO2が削減でき温暖化対策となるなどが理由である。その一方で、環境ビジネスという補助金の大盤振る舞い行った。その結果起きたのが今回の事故である。番組では、施設建設時に安全性が議論されていなかった、国に安全基準がなかった、RDF事故が全国的に起きていたのに検討されていなかった、技術的に未完成な新しい施設だったなどから今後の課題として多面的な検証と安全確保をあげた。国の政策への言及はなかった。
 想定外の問題が起こる可能性は、平塚市リサイクルプラザにおいても否定できない。4月から稼動を目指し現在平塚市四之宮に建設中の平塚市リサイクルプラザでは、新たに廃棄プラスチックの回収が行われ同施設で圧縮され指定法人へ送られる。平成8年4月プラスチックゴミを積み替え圧縮する東京都杉並中継所が稼動開始した直後から、その周辺で体調の急変を訴える住民が続出した。嘔吐、発熱、喘息症状、湿疹、足のしびれ、呼吸困難などである。平成14年6月26日の公害調整委員会の裁定では、稼動5ケ月間に限ったが杉並中継所の操業と周辺で起きた健康不調の因果関係を認めた。平塚市においてもプラスチックゴミを圧縮するので同様の問題が予測される。プラスチックの焼却によるダイオキシンの危険性は周知されているが、圧縮も危険なのである。「コンテナーに圧縮機で詰め込む時に摩擦が起こり、その 時のズレの力と部分的発熱などによって多種多様な化学物質(殊にプラスチックの低分子化物質)に変化し、大気中でも太陽やNOx,オゾンの作用で更に変質しながら拡散され、遠方までも健康被害を招く。」
 昨年12月この問題に取り組んだ工学博士の津谷裕子氏に質問した。予測されるので多くの人に知らせるようにとのことだった。稼動前のクロマトグラフによる定性分析、疫学調査、稼動前の実験による安全確認の実施についてアドバイスを受けた。県環境科学センターに問い合わせたところ、クロマトグラフによる定性分析は市の依頼があれば可能とのことだったので是非実施していただきたい。また、津谷氏を招いての勉強会も検討願う。
 環境省廃棄物対策課にリサイクルプラザ稼動に伴う化学物質毒性被害の想定について確認したが想定されていなかった。また、リサイクルプラザで何か起きた場合の責任は設置した平塚市となる。平成11年2月18日の地元との覚書には、「3施設整備事業の実施に当たっては、乙(平塚市)公害の未然防止等環境保全対策を施した施設を建設するものとする。4建設後の施設の管理運営に当たっては、乙は甲(地元)と十分協議して、乙の責任において行うものとする。」また、平成10年11月8日の地元説明会では、杉並中継所の問題が出され管理課長が早急に調べると回答しているが、その後については不明だった。  
 廃棄プラスチック圧縮施設は県内で3例めである。法令を遵守していても安全とは言えない、これが三重県RDF事故の教訓である。十分なリスクコミュニケーションを行うべきである。

 *リスクコミュニケーション:化学物質による環境リスクに関する正確な情報を市民、産業、行政等のすべての者が共有しつつ、相互に意思疎通を図ること。


↓ (仮称)平塚市リサイクルプラザ建設工事
平成14年9月20日現在 計画図より

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