地域の環境を考えよう!no1

小型ペットボトルついて考えよう!


小林



「+α」No1で呼びかけましたぺットボトルの問題についてまとめましたのでご紹介します。なお、この原稿は、2月17日平塚市博物館、博物館祭り漂着物を拾う会の発表用の一部です。文章のつながりが不自然ですがお許しください。この原稿を書くにあたっては、熊本明治学院大学教授の助言を得ました。記して謝します。



 
次に、ペットボトルについてお話します。ところで皆さんは、平成8年にある社会的な変化があったのをご存知でしょうか。その年いつものように私は漂着物を拾う会に参加していたのですが、そのある社会的な変化を境に漂着物に変化が起きました。それは、それまでは大きいサイズのペットボトルの漂着が多かったのが、その年を境に小型のペットボトルが多く漂着するようになりました。その社会的な変化と申しますのは、それまで飲料業界が自主規制をして日本では造られていなかった小型のペットボトルが、市場に出回り始めたのです。正確には覚えていないのですが、新聞で自主規制解除を知った2ケ月後だったと思います。 ところが、ペットボトルの自主規制が解かれる前年の平成7年は、容器包装リサイクル法が成立した年でした。また、関連する環境政策を眺めてみますと、平成4年、ブラジルのリオで開催された地球サミットにおいて、「リオ宣言」と「アジェンダ21」が採択されました。「アジェンダ21」の内容は、今日の環境問題を社会全体からとらえ、科学的なデータに基づき、予算処置、法的整備などを進め、女性やNGOなどの多様な主体の参加を呼びかけ、実効性のある計画を立て行動することなどでした。それを受け、日本では平成5年に環境基本法が制定され、平成6年、環境基本計画が発表されました。そうした環境に負荷を与えない社会にしようという潮流の中で、容器包装ごみを減らすために容器包装リサイクル法が作られたのですが、その容器包装リサイクル法によって小型ペットボトルの自主規制が解除され、業界によると社会のニーズがあるという理由で製造は増えつづけ、従ってごみとなるペットボトルも増えつづけているのです。業界が、ペットボトルの自主規制を解除した理由は、海外からのミネラルウォーターの輸入により小型ペットボトルが入ってきたためだそうです。
容器包装リサイクル法が目指した、ごみの減量、ひいてはごみの元となるそうした製品の発生抑制には遠く及ばない結果となっています。製品を管理する通商産業省(現・経済産業省)や容器包装リサイクル法を管理する厚生省(現・廃棄物系は環境省)に私が1月4日に電話で問い合わせたところ通商産業省の担当者は、「リサイクルを推進するのでペットボトルの流通を見直す予定はないし、日本は自由主義経済なので特別危害を及ぼす製品などでない限り規制はない。」とのことでした。厚生省の担当者からは、前年12月19日の記者発表を見るように言われました。その報告には、ペットボトルの増加問題が挙げられていました。そのまとめとして、平成16年までにリサイクル率を50パーセントにする当面の目標や円滑なリサイクルの運用を目指すことが提示されていました。
熊本一規明治学院大教授によりますと、ヨーロッパのリサイクルシステムは、拡大生産者責任という考え方が基本になっているそうです。拡大生産者責任というのは、生産者が廃棄過程にまで責任を持つという意味で、それを実現するには、処理・リサイクル費用を生産者が負担し、製品価格に上乗せすることをつうじて、環境に負荷を与えない製品への転換や製品の発生抑制を促そうという考えです。回収・保管費用を自治体負担としている容器包装リサイクル法に見られるように、生産者の費用負担を極力避けている日本のシステムは見直されるべきでしょう。
漂着物を拾う会に参加し、多くの小型ペットボトルの漂着を見ていますと本当にこのままで良いのか疑問がつきません。投げ捨てが多いとリサイクルの法整備が行われても環境への影響は減らせません。現在のリサイクルを前提にした考え方は問われるべきでしょう。また、ペットボトルの変化から、漂着物が現代社会を現わしているような気がしますし、海の中にも多くのプラスチックごみが漂っているのが容易に想像できます。今回の発表でペットボトルを取り上げましたのも、こうした問題が漂着物を拾う会に参加する人たちの共通の認識となっているからです。

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